アメリカの大手ドキュメンタリーチャンネルの「ディスカバリーチャンネル」。何度かロゴのリニューアルが行われていますが、今回は昨今のシンプル化の流れを大いに汲んだリニューアルと言えそうです。とはいえ、このリニューアルは単に要素を削ぎ落とすだけの「シンプル化」ではありません。ブランドの象徴である地球(アース)を中心に、世界中の自然や未知の領域を探索・発見するチャンネルの魅力を、より明確に視聴者へ伝える意図が感じられます。
そもそもドキュメンタリー番組は、世界中の多種多様な文化や自然科学の神秘を伝える役割を担ってきました。ディスカバリーチャンネルは、その映像クオリティと独自の編集手法で、私たちを画面越しに世界旅行へ連れ出してくれる存在と言えるでしょう。こうした「知的好奇心の入り口」ともいえるチャンネルが、ロゴを通してもその理念を表現することは、ブランディング戦略として極めて重要です。グローバルに展開する企業やメディアほど、ロゴ一つで受け手が得るイメージや感情に敏感であり、時代の変化に応じてデザインを見直すことは欠かせません。
視認性を高めるためのシンプルなデザイン
・ディスカバリーチャンネルの新ロゴ – monticellllo – stock.adobe.com
シンボリックなアースアイコンが、ロゴタイプの中に取り込まれ、色もモノトーンに統一されました。以前のロゴはアースアイコンがとてもリアリスティックでしたが、今回はフラット。Youtubeチャンネルも人気を博し、スマートフォンからの視聴者が増加する中、小さくなっても視認性を保てるような配慮が感じられます。
この変化は、いまやスタンダードになりつつある「モバイルファースト」なデザインアプローチの象徴とも言えるでしょう。ディスカバリーチャンネルはテレビ放送のみならず、デジタルプラットフォームやSNSでも積極的にコンテンツを配信しています。そこで求められるのは、あらゆる端末上でロゴが判別しやすく、なおかつインパクトを失わないビジュアルです。
フラットデザインやモノトーンの採用は、一目でブランドを想起させながら、画面の大きさに左右されにくいというメリットがあります。また、鮮やかな色彩や凝った装飾に頼るのではなく、アイコンやタイポグラフィの“形”そのもので魅せることで、世界中の視聴者に対して統一感あるブランドイメージを訴求できるのです。情報過多の時代だからこそ、単純明快なロゴはかえって印象に残りやすく、差別化の武器にもなります。
Today on Brand New (Noted): New Logo for @Discovery https://t.co/uuhboUIKU9 pic.twitter.com/36NgDtZT8t
— UnderConsideration (@ucllc) April 4, 2019
左がBefore / 右がAfter(最新ロゴ)
ロゴに込められたメッセージ性
映像再生中の右下に存在するロゴは、アースアイコンがくるくると「自転」しています。単純化されたDと組み合わせることで、それは地球儀のようでもあり、世界を股にかけるディスカバリーチャンネルのイメージにもマッチしています。
この“自転”アニメーションは、ロゴの躍動感を与えると同時に、視聴者へ「世界を巡る冒険」を想起させる役割を果たします。番組を通じて新たな知識を“発見”してほしいという思いが、この小さな動きに凝縮されているようにも感じられます。シンプルなビジュアルだからこそ、ちょっとしたモーションが引き立ち、ロゴ自体がストーリーを語る手法となっているのです。また、こうしたアニメーションを画面の隅でさりげなく実装することは、視聴体験を損なわずにブランドの世界観を強調する巧みな演出でもあります。視聴者が番組に没頭している最中にも、ディスカバリーチャンネルの“地球規模の探索”というコンセプトが常に思い起こされるように仕組まれているわけです。
デジタル時代に適応するロゴデザイン
ロゴデザインは企業やチャンネルのアイデンティティを端的に表すものです。そのロゴがシンプルでありながら、強く印象に残ることは、これからますます多様化するメディア環境において重要性を増していくでしょう。ディスカバリーチャンネルのロゴリニューアルは、ブランドの根本的な価値を見失わないまま、デジタル時代に即した形へと最適化する好例と言えそうです。従来の魅力を保ちつつ、よりモバイル視聴者にもアピールできる柔軟性を獲得した点は、多くの企業やメディアにも示唆を与えるのではないでしょうか。今後、どのような形で地球の“自転”が私たちを新たな場所へ連れて行ってくれるのか、期待が高まります。
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