ある日、いつものシェラトンホテルのエントランスに足を踏み入れたあなたは、頭上のロゴマークに違和感を覚えるかもしれません。お馴染みの月桂樹に囲まれた「S」のエンブレムが、洗練された新しい姿になっているのです。シェラトンホテル&リゾーツは約30年ぶりにロゴを刷新し、ブランドの新時代を切り拓こうとしています。
長い歴史を持つブランドの転機
シェラトンホテルの旧エンブレム – Tupungato – stock.adobe.com
1937年創業のシェラトンは、アメリカ発の老舗ホテルブランドです。その名は、創業者が買収したホテルの屋上看板に大きく掲げられていた「Sheraton」をそのままチェーン名にしたことに由来します。以来シェラトンは世界各地に拡大し、中国や東欧・ロシアにいち早く進出したアメリカの国際ホテルチェーンとして知られています。月桂樹に囲まれた「S」のロゴマークは世界中で親しまれ、「世界で最も認知度の高いホテルエンブレムの一つ」とも称されてきました。
旧ロゴの月桂樹の冠はブランドの栄誉と伝統、重厚なセリフ体は安定感を象徴し、シェラトンの品格を表していました。しかし時代とともにブランドイメージは次第に古び、競争激化の市場で変革の必要に迫られていたのです。こうしてブランド再生への舵が切られ、シェラトンは転機を迎えました。
新ロゴに込められたメッセージ
シェラトンホテルの新エンブレム – annavee – stock.adobe.com
2019年に発表された新しいシェラトンのロゴは、旧来の象徴を受け継ぎつつ現代的なエッセンスを加えたものとなりました。最大の特徴は、象徴的だった月桂樹の輪を再解釈し、よりダイナミックなシンボルに昇華させたことです。月桂樹の葉は世界中から集う人々の躍動やエネルギーを表す抽象的な形状へと変化し、中央の現代的な「S」を取り囲んでいます。
抽象化された円は人々が集う現代の広場を思わせ、ホテルを地域コミュニティの中心とするブランドの志向を示唆しています。それはまるで四方に向かう矢印のようにも見え、前進を想起させます。さらにロゴタイプ(「Sheraton」)は従来の重厚なセリフ体を洗練されたサンセリフ体に改め、色も黒から上品なグレーに変わりました。こうしてロゴはモダンで軽快になりつつも、シェラトンらしい威厳は失われていません。
ロゴ刷新がもたらすブランドの未来
今回のロゴ変更は見た目を変えるだけでなく、ブランド全体の再活性化を象徴しています。実際、世界各地のシェラトンでは施設やサービスのリニューアルが進み、約3割のホテルで改装が進行中とも報じられています。米国アリゾナ州のシェラトン・グランド・フェニックスは新ロゴを掲げた最初のホテルとなり、ロビーは未来的な「町の広場」のような開放的な社交空間に生まれ変わりました。ラウンジや共用ワークスペースなどを備え、ゲストと地域住民が自然に交流できる場となっています。
こうした変革を進めるシェラトンは、老舗ながら現代のニーズに即した革新で競争力を高めています。近年、老舗ホテルがロゴをモダンに改める例が相次いでいますが、シェラトンの新ロゴもその潮流に沿いながら同ブランドならではの物語を紡いでいます。
変わりゆく伝統とこれからの旅路
新しいデザインになっても、エントランスに掲げられた月桂樹と「S」のエンブレムにはシェラトンの魂が宿っています。次にシェラトンを訪れる際は、その新しいロゴに注目してみてください。そこには80年以上の歴史の重みと未来へ踏み出す意志が美しく融合しています。このロゴが示す通り、シェラトンホテル&リゾーツは今後も世界中の旅人とコミュニティを迎え入れる「時代を超えた社交場」として進化し続けるでしょう。
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