インターネットが普及して数十年。パソコンからはじまったネットワークへのアクセスは、プロフェッショナルから企業、そして個人へと広がり、今ではスマートフォンなどの端末を通じ、個人が当たり前にインターネットを使う時代になりました。
はじめは、調べものやショッピングなど、情報や利便性を求めてアクセスするのがネットワークの利用法でしたが、ここ数年でその在り方はガラリと変わりました。
「SNS」・・・はじめは聞き慣れなかったそのサービスは、ネットワークの特徴を最大限生かし、情報を個人単位で共有するサービス。インターネットというツールを使い、人と人との繋がりを生むソーシャルネットワークサービスは、瞬く間に世界標準となりました。
今までなかったジャンルのサービスに乗り出した企業は数えきれないほどありますが、現在残っているブランドはその中でも一握り。デジタルデバイスの画面で一目でその存在をアピールするロゴデザインは、そのサービスの顔となる大きな存在です。サービスの内容はもちろん、イメージを大きく左右するロゴはブランドの成長にも大きく関わっています。どのようなブランドがどんなロゴで認知されているのか、今もなお成長を続ける有名どころを中心に見ていきましょう。
黄金比をベースに描かれた鳥がトレードマーク「twitter」のロゴデザイン
AlesiaKan / Shutterstock.com
「つぶやき」という新たな文化を作った「twitter」。メールとは違い、自分の思ったことを自由につぶやくというスタイルは、これまでにない新しい表現方法でした。
その広告塔となっているのが、青い鳥のシンボルマーク。2012年に刷新された新たなロゴマークはこれまでシンボルマークに付随していたロゴタイプを廃し、シンボルマークであった鳥の絵柄だけをロゴマークにするという、これまた斬新な取り組みでした。
twitterの旧ロゴ Annette Shaff / Shutterstock.com
初代の鳥は、頭にトサカがあり、今の鳥の比べると少々ずんぐりとしたイメージでしたが、現在のロゴマークの鳥は、身体全体が均整のとれたプロポーションとなり、鳥の角度自体がやや右上を見るような形になっています。とさかもなくなり、シンプルなスタイルになっています。
2012年までの鳥は、NBAの伝説的な選手にちなみ「ラリーバード」と呼ばれていましたが、現在の鳥はシンプルに「ツイッターバード」と呼ばれているそうです。そんなツイッターバードには、「自由」「希望」「無限」という3つの意味が託されているといいます。右上に向かって飛び立つような鳥の姿は、まさに自由を求めて飛び立つ瞬間なのかもしれませんね。
また、この鳥のデザインは、世界共通で美しいといわれているデザインの黄金比「1:1.618」で構成されています。Apple社のロゴも黄金比でできていると知られる通り、普遍的な美しさは各界のリーディングカンパニーに好まれる傾向にあります。
シンプルなロゴタイプが読みやすい「Facebook」のロゴデザイン
rvlsoft / Shutterstock.com
世界中にアクティブユーザーが22億人以上いるとされる、SNSの最高峰「Facebook」。近況を報告したり、友人知人の動向をチェックしたり、コメントを交換するなどの、SNSの礎を作ったサービスといっても過言ではありません。
そんなFacebookのロゴデザインは、ブルーの背景に読みやすいサンセリフ書体でロゴタイプが打たれた非常にシンプルなデザイン。気がついていない人も多いようですが、じつは、2015年に一度、デザインが刷新されています。
facebookの旧ロゴ rvlsoft / Shutterstock.com
もともとサンセリフ体を使ったロゴタイプでしたが、2015年に変わった際は、以前のものと比べ、書体がややスリムになり、現代味を帯びた洗練された書体に変更されています。字間も以前より広くとられ、全体的に読みやすくなっています。これは、ユーザーのモバイル端末を使う比率が高くなったことに起因しており、小さな画面でも読みやすいようにと配慮された結果。あくまでも、インターフェイスとしての側面を優先させるデザインは、SNSという業態ならではの選択といえるのではないでしょうか。
大胆な刷新を行った「Instagram」のロゴデザイン
rvlsoft / Shutterstock.com
「インスタ映え」という流行語まで生み出し、今やFacebookと並ぶSNSとなった「Instagram」。初期の頃は、リアルなカメラのアイコンで知られていましたが、2015年にロゴデザインを大幅に刷新しています。
iphoneなどのUIにも採用されていた写実的なデザイン法「スキューモーフィックデザイン」は、スマートフォンの普及期には全盛でしたが、昨今のフラットデザインブームにより、OSのインターフェイスをはじめ、さまざまなメディアのデザインがフラット化されています。
Instagramもその波に乗り、大きな変更を余儀なくされ今のデザインに至ります。デザインチェンジに際し、Instagramのデザインチームは、いかにこれまで築いてきたInstagramらしさを残し、現代のデザインにアレンジできるか頭を悩ませたそうです。その結果、辿り着いたのが、ユーザーがInstagramのアイコンで気に入っていた、カメラのレンズと左上にアクセントとしてあったレインボーカラーを生かすという道。
カメラとレンズの形を極限までシンプルにあらわし、背景をレインボーのグラデーションにすることで、これまで培ってきたInstagramのコンセプトを継承したのです。
業界の変わり種「snapchat」のロゴデザイン
Ink Drop / Shutterstock.com
投稿した画像や動画が一定時間経過すると消えてしまうという、変わったSNSアプリ「snapchat」。海外のセレブリティが利用したのをきっかけに世界的に流行しました。
そのロゴマークは、アプリの特徴をユニークにあらわした「おばけ」をモチーフにしたイラスト。陽気さや賑やかさを感じる明るいイエローを背景に、シンメトリーなおばけが手を広げている絵柄がアイコンになっています。ロゴタイプも存在はしているようですが、存在感の強いおばけの絵柄に押され、「snapchat」といえば「おばけ」という図式が安定しているようです。
ほかのSNSと比べ、圧倒的にユニークであるサービス内容を全面に出したアイコンは、否応なしにユーザーの目を引く力強いロゴデザインです。
まとめ
SNSが定着して数年。私たちを取り巻く時代の流れは一層スピードを増し、デザインをはじめトレンドはめまぐるしく変化を続けています。そんな中で、時代を牽引しているネットワークサービスは常に新しく、先端を行く必要があります。SNSのロゴデザインは、そんな流れを象徴するように、ブランドのアイデンティティを上手く残しながらも、新たなテイストを積極的に取り入れています。
ロゴは認知を図るためのブランドのアイコン。普遍的に変わらないイメージは継承すべきであるのは明白ですが、そのデザインが世間に与える影響を考えると、SNSが時代の波をつくる早さのように、アップデートしていくことも重要なのかもしれません。
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