色が人に与える印象は様々です。企業が用いるロゴに使われている色をよく観察すると、企業がそのロゴに託そうとしたイメージがうかびあがってきます。それは多くの場合、慎重に注意深く検討され、顧客により良く強い印象を持ってもらうために考え抜かれたデザイン戦略から導き出されたイメージであり、それを示す色なのです。
今回は青色を使ったロゴを見ていきましょう。青は爽やかで清潔なイメージがあります。「信頼」を与え「誠実」な印象を持つ色です。この色を選ぶ企業によく見られる特徴は、高い信頼性を必要とする商品・サービスを提供していることです。自動車や航空会社、電子機器、Webサービスなどの業界によく見られます。特にweb関係のロゴでは、青は最もよく使われている色だそうです。
青色のロゴの代表的な事例を見ていきましょう。
全日空(ANA / All Nippon Airways)のロゴデザイン
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ANA(全日空)は現在、日本最大の航空会社となりました。はじまりは国内線のみの運行で、国際線はJAL(日本航空)が担っていました。当時のJALのロゴは「鶴丸」と呼ばれる鶴のかたちを丸くデザインした赤いロゴで、ANAも同様に、赤色を使った丸いロゴで、中央にレオナルド・ダ・ヴィンチが考案したヘリコプターの図案がありました。このロゴは2012年まで使用されていました。
1969年から登場した機体には、機首から尾翼に向かって水色の塗装が施されており、それがモヒカン刈りの形に似ていたことから「モヒカンジェット」と呼ばれ愛されていました。
1986年からの国際線進出の少し前から、「トリトンブルー」と呼ばれる濃い青色が機体色に登場し、それまでの水色は「モヒカンブルー」と命名され、サブカラーの位置に移り変わっていきます。メインカラー「トリトンブルー」は海の波と風を鎮めたといわれる海神トリトンにあやかって命名されています。「旅の安全」を願う気持ちが込められているのです。
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2003年に公式呼称が「全日空」から「ANA」に変更統一され、ロゴも一斉リニューアルが行われました。ANAの文字はやや右上がりの斜体ぎみにデザインされ、トリトンブルーが使われました。機体の尾翼にあった旧ロゴも刷新され、尾翼一面のトリトンブルーに白ヌキの新ロゴが配されました。モヒカンブルーの水色はその下に差し色のように入り、落ち着いた類似色相配色となっています。現在のロゴの右側に配された2本線も、この基本配色が使われています。
搭乗するお客様の安全を確保するために万全を期する企業姿勢がこのカラーリングからはうかがえます。重要なのは「安全な空の旅」を納得させる着実な運用実績の積み重ねであり、そこから培われる「信頼感」こそが何より大事である、とこの青色は語っているように思われます。
フォルクスワーゲン(VW)・フォード(Ford)のロゴデザイン
車は便利であり、私たちの生活に無くてはならないものとして広く普及している反面、故障や事故などのリスクを孕んだ機械でもあります。WHOの統計によると、世界での交通事故の死者は年間100万人を超えるそうです。
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車を作り世に送り出す企業に求められる姿勢としては、安全への配慮、またそれを機械というプロダクトにしっかりと反映させる責任感が求められます。自動車メーカーによく見られる青色のロゴは、信頼を象徴していると言えるでしょう。アメリカのフォード、ドイツのフォルクスワーゲン。エンブレムの銀色を白に見立て、バックに青を配したロゴが示すものは、誠実さを第一に顧客に訴えかけたいという企業の姿勢なのです。
デル(DELL)・アイビーエム(IBM)・インテル(intel) のロゴデザイン
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ここに挙げた企業はいわゆるITメーカーとして世界のトップクラスです。そのロゴは、テクノロジーの基盤となるゆるぎないツールである「合理性」を象徴する「青」であるともいえるでしょう。
我々の日々の暮らしはコンピューターによる情報処理の信頼性に依存しています。そのベースとなっているのはこれらのメーカーが造る製品の信頼性なのです。DELLとIBMはPCメーカー、intelはPCのパーツであるCPUのメーカーです。いずれのロゴも形状はシンプルでストレートなデザインです。
フェイスブック(Facebook)のロゴデザイン
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ソーシャルネットワークの広がりが強く喧伝される中、フェイスブックはそのセンターの位置を取ることに成功しました。匿名性を良しとして伸びていたそれまでのSNSから、本人の顔写真を必ず入れることをルールとしたフェイスブックは、ずば抜けた成長を見せました。相手の顔が見えないネット社会において、なにより価値となる情報の「信頼性」を顔写真で担保したことが成功への道だったのかもしれません。
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小文字のみでシンプルにまとめられたこのロゴはある意味「弱く」感じられます。しかし、社会における個人の等身大の信頼性を表わすデザインとして、この企業の姿勢を的確に表現していると言えるでしょう。
まとめ
「青」のロゴデザインに共通しているのは、信用を必要とする商品を送り出すための「信頼」「誠実」という印象を大切にする姿勢でした。また、合理性・スピードを武器とする一歩上の戦略を狙う企業の姿も浮かび上がりました。近代的なイメージを持つ青色は、最先端を獲り続け、なおかつ消費者優先の現代社会において信頼を重視する企業にとって、一番人気の色であり続けているのです。
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