企業ブランドの印象を決定づけるロゴ。既存の顧客や、これから顧客になり得る人たちにどう思われたいのか?そのような企業の「気持ち」が、ロゴから読み取れるでしょう。良いロゴは、細心の注意をはらって形と色を探り、その企業の「気持ち」を象徴化しています。中でも、色選び~カラーリング~はとても重要な要素です。色はそれを見る人の大多数にある一定の印象を引き起こすことが分かっています。この心理的特性をふまえて、デザイナーはロゴのカラーリングを行っています。
赤色にポイントを置いて考えてみましょう。赤は「情熱」を象徴し「躍動」の印象を持つ色です。この色を選ぶ企業に共通するポイントは、激しい競争に勝つため、攻める姿勢が求められていることが多いようです。外食、食品、webコンテンツなどによく見られますが、他社に対して「攻め」に転じる時に赤色をベースにロゴをリニューアルするケースもあります。代表的な事例を見ていきましょう。
コカコーラ(Coca Cola)のロゴデザイン
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コカコーラ社は飲料業界で最も有名な企業の一つです。その看板となっている定番商品「コカ・コーラ」のロゴデザインは「不動の赤色」を崩しません。
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このロゴからは「高揚感」「躍動感」が強く感じられます。英字の筆記体をベースに遊び心たっぷりにアレンジされたフォルムは、風を受けたリボンのようにも見え、左から右に吹き抜ける「清涼感」が表現されています。爽やかな清涼感をもたらす炭酸飲料でありながら、飲めば気持ちが高揚する!このようなコカコーラを飲むことのイベント感は、優れたロゴデザインにより巧みに演出されています。
日清(NISSIN)のロゴデザイン
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赤いドンブリを思わせる日清のロゴ。飛び出すSの形は、すくい上げられた麺を表現しているように見えます。世界中に積極的な姿勢で展開している日清ブランドは、その方向性をしっかりと赤色で表現しています。主力商品であるカップヌードルの初代デザインは、白い文字を赤で覆い、シンプルでありながら強い印象を商品に与えています。
ケンタッキーフライドチキン(KFC)のロゴデザイン
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赤系統の色は暖色と呼ばれ、あたたかい印象を与え食欲を刺激します。ケンタッキーフライドチキンの強い赤色は、商品の特徴である秘伝のスパイスがもたらす「心地よい刺激感」を象徴しているようにも思えます。有名なアイコンとなっているリアルなカーネルサンダース像とKFCの文字はやや右上に傾いた方向性を持ち、「成長」「躍進」するイメージを表現し、エプロンと背景の赤色はその印象をしっかりサポートする役目を果たしています。外食を検討している顧客を呼び込むサインとしても非常に強いデザインです。
ユニクロ(UNIQLO)のロゴデザイン
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正方形を意識した強いインパクトのあるロゴデザインの「ユニクロ」。挑戦的な姿勢が感じられます。ファストファッション業界は合理的かつ大規模な商品開発と販売戦略で凌ぎを削っています。正方形の安定感のあるデザインですが、絶えざる挑戦と発展を続けるユニクロの気構えを、このロゴからは感じとることができます。
リーバイス(Levi’s)のロゴデザイン
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リーバイスの主力商品であるジーンズは青色。赤いタグと白い文字はその主力商品とのカラーマッチングから導き出されています。逆さ王冠の形状と、白い文字のバランスが絶妙で強い仕上がりになっています。
ネットフリックス(NETFLIX)のロゴデザイン
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Webサービス業界では、青を基調にするケースが多いですが、娯楽コンテンツをメインに展開するネットフリックスは「高揚感」を重視しているためか赤色を使用しています。このロゴはリニューアルバージョンで、この前のバージョンでは立体感を持たせた、より「映画っぽい」雰囲気がありました。しかしながら、Webサイトやスマートフォン上で展開するサービスではロゴを小さく表記する場合も多いため、流行のフラットデザインの方向性で現在のようなロゴデザインに変わりました。ロゴの下部にみられる上向きカーブは、映画館のワイドスクリーンを連想させます。劇場を訪れるときの高揚感が演出されていますね。
ユーチューブ(YouTube)のロゴデザイン
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動画投稿サイトから始まり、今や動画コンテンツとしては最大手の存在になったユーチューブ。初期のロゴは社名の「Tube」の部分をテレビスクリーンのような赤い形で包んだデザインでしたが、2017年の夏に下のデザインにリニューアルされました。再生ボタンの形がマークとなり、社名の左側に配されました。スマホアプリでは、このマーク部分のみをアプリアイコンとして使い、従来より強くスタンダードな印象を持たせることに成功しました。シンプルを極めた形状で、間違いなく押しやすくなったこのユーチューブロゴが「押された」回数は、もはや天文学的な数値になっているでしょう。
まとめ
「赤」のロゴに共通して言えるのは、「赤色」のもつイメージである「挑戦」や「躍動」という印象がやはり強く感じられたこと。そこには、あらゆる人を対象として、まず一番に認知してもらい、覚えてもらいたいという幅広い「攻め」の企業姿勢が伺えます。どの商品やサービスも確固たる人気を獲得し、「定番」となる意欲が感じられました。
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