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パッケージデザインの今までとこれからについて

パッケージデザインの今までとこれから~知っておきたい基礎知識


パッケージデザインの今までとこれからについて

コンビニやスーパーに陳列されている商品群。今やパッケージに写真やイラスト、文字が入った「パッケージデザイン」は当たり前のことですが、ひと昔前を振り返ると、その歴史は意外に短いものです。

パッケージデザインは、スーパーマーケットなどに代表される量販店の発展とともに歩んできました。量販店が登場する前の時代は、買い物といえば近所の商店街などの個人商店に出向き、店員さんとの対面販売が基本。八百屋さんや魚屋さん、肉屋さんなどでその日のおすすめを聞いたり、鮮度や産地・味・調理法までアドバイスをもらい買い物をしていました。

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店頭販売

買ったものは、店頭でポリ袋や持参した器に入れてもらい持ち帰るため、機能的にもパッケージはそれほど必要とされていませんでした。その頃にも、缶ジュースや瓶飲料・お菓子・食品以外のプロダクトなども販売されていましたが、今ほどメーカーやブランドが多くなかったせいか、しのぎを削るような価格競争も見受けられることはありませんでした。

そんな時代が終わりを告げたのは、1900年代半ばを過ぎてからのこと。

日本ではじめてスーパーマーケットがあらわれ、パッキングした生鮮食品が売られるようになり、加工食品や日用雑貨が棚に陳列されて売られるようになりました。そして、それを追うようにして現れたのがコンビニエンスストアです。スーパーより身近に長時間営業する店舗が日本各地に急激に増え、コンパクトにパッケージされた商品の幅もぐんと増えます。フィルム包装の発達によって、食品の衛生管理技術も飛躍的に向上しました。

商品のパッケージング

これまで店頭で店員さんから商品の説明を受け、購入する段階でパッケージされていた買い物のカタチが、店頭で自ら商品を手に取り、選んで購入するというセルフサービスのカタチへと変化を遂げると同時に、商品自体が消費者に自らをアピールしなくてはならない時代がはじまったのです。

メーカーの手を離れた商品が、さまざまな広告戦略で世に発信され、消費者への最終的なプレゼンテーションをするのがパッケージデザインとなった現代。商品を売るためにはどのようなパッケージデザインを作るべきか、基本の知識について解説していきます。

 

商品パッケージの役割とは

チラシやDM、ホームページやSNS、テレビCMなど、世の中に溢れる広告物は、そのものが媒体であり、独立した存在です。しかしながら、パッケージは内容物があってこその物であり、広告宣伝をするという意図ももちろん持ってはいますが、その前に「包装」としての機能が求められます。

パッケージの役割

パッケージに求められる役割とは、

  1. 内容物の保護
  2. 内容物を扱いやすくする利便性
  3. 内容物が何であるかを視認させ販売促進を図る

以上の3点です。

チラシなどの広告宣伝だけを目的としたものは、「見た目」に特化したもので十分ですが、パッケージは、「運ぶ」ことと「使う」ことを前提としたデザインでなくてはなりません。

その2点をクリアした上で、「見た目」にもこだわるのがパッケージデザイン。プロダクトデザインとグラフィックデザインの二つの視点から組み立てる必要がある、奥の深いデザインカテゴリーなのです。

 

パッケージデザインのコンセプト

では実際にパッケージデザインを作るには、どのようなプロセスで進めていくのでしょうか。

パッケージデザインのコンセプト作り

他の広告物と同じように、まずは商品についての理解を深め、市場でどのようにポジショニングしていくのかを策定するため、同じ市場でどのような商品がヒットしているのか?市場全体の流れはどうなっているのか?トレンド調査をすることからはじめます。

その上で、販売する商品が【どのような人が、どんなシーンで、どのように、どんなメリットを求めて選ぶのか】を明確にし、商品コンセプトを立てていきます。

どのような人をターゲットにするのかが明確になると、デザインの方向性が絞られていき、使用するシーンや使い方によってパッケージの形や利便性を追求できます。また、ターゲットにとってのメリットをはっきりさせることで、訴求すべきポイントが見えてくるので、デザインやキャッチコピーなどに反映することができます。

 

パッケージデザイン制作のポイント

商品コンセプトが明確になったら、デザインの段階へ進みます。

商品パッケージのコンセプト

ターゲットとコンセプト、この二つを柱にし、パッケージデザインは形作られていきますが、具体的なデザインを考える際、いくつか気をつけておきたいポイントがあります。

わかりやすいパッケージであるか

店頭で商品を選ぶとき、目の前の商品がどんな商品であるか判断する時間は、わずか数秒といわれています。その数秒の間に、商品が何であるかの情報を与え、尚且つ興味を持ってもらうには、最低でも一目見た瞬間に何のパッケージであるか判断できるデザインであることが条件になります。

注目されることに注力し、奇をてらったデザインにするのも一つの手段ですが、あまりに変わったデザインにすると、何のパッケージだかわからなくなってしまったり、購買意欲に結びつかなくなるケースもあり得ます。

誤解を招かないデザイン

商品を少しでも良く見せて購買につなげようという努力は、デザイナーであれば誰しも考えることですが、あまりに度が過ぎると実際の商品とのギャップが大きくなり、パッケージに「偽りあり(優良誤認※)」というレッテルが貼られてしまいます。結果的には、ブランドのイメージが著しく低下し、信用を失い、消費者がリピートすることはなくなるでしょう。※景品表示法第5条1項に規定されている違反事項の1つです。

パッケージに商品の写真やイラストを掲載する場合は、極端な誇張表現はせず、実物に近いビジュアルを載せるよう心掛けましょう。また、キャッチコピーやボディコピーも同様で、大げさな煽りコピーや信憑性のないデータはコピーとして採用しないように気をつける必要があります。

商品パッケージのデザインは、時に容器リサイクル法、薬機法、景品表示法などの法律知識が求められます。

コピーは優秀なセールスマン

写真やイラストだけでは伝えきれない、商品の特徴やこだわりなどはコピーとしてパッケージデザインに取り入れていきましょう。特に一風変わったコンセプトの商品や、今までない特徴の商品、商品を使ったライフスタイルの提案など、消費者に伝えたいことが複雑な場合はコピーを積極的に利用し、趣旨が伝わるデザインになるようにしたいものです。

コピーを際立たせつつ、デザインに違和感なく馴染むようにするには書体の選択も大事なポイント。可読性をキープしつつ、デザインテイストに合った書体をセレクトしましょう。

一目でブランドを認識させる

メーカーや商品ブランドに確固たるブランド力がある場合、または、これからブランドとして育てていきたい場合、統一されたブランドイメージをパッケージデザインにも取り入れ、この商品がそのブランドのものであることを一目で判別できるようにしておきたいものです。

ブランドイメージをパッケージデザインに取り入れるには、ロゴマークやブランドカラーなど、CI(コーポレートアイデンティティ)やVI(ビジュアルアイデンティティ)をデザインに採用し、競合商品とは一線を画すことです。ブランディングが成功しており、ブランドに一定の「信用」がある場合、そのブランドを冠した商品は他商品と詳細を比べられることなく選ばれやすくなります。また、ロゴマークなどでブランドを際立たせたデザインは汎用性が高く、同じシリーズでのバリエーション展開や別ラインでの商品展開がしやすくなります。

パッケージの素材にこだわる

パッケージデザインはグラフィックデザインの領域だけではありません。内容物を入れたり包んだりする素材そのものもデザインの一部。実際に手に取ったり、間近で見て買うかどうかを検討する際、肌触りや重量感、素材の見た目も大きく、パッケージとして役目を終えた後も側に置いておきたくなるようなパッケージは付加価値を生み、内容物をより一層価値のあるものへと押し上げます。

ネーミングやロゴタイプ

ネーミングやロゴタイプに気を配る

パッケージの中でもっとも目を引くのが、内容物が何であるかを表す「商品名」です。

すでに商品名が決まっている場合は、その限りではありませんが、これから商品名自体を検討する場合は、商品のコンセプトに合わせてネーミングを考えてみましょう。

機能性を重視する商品であれば、説明的な要素を商品名に盛り込み、その商品がどのような特徴を持っているのかを商品名自体で表わすのもよいでしょう。また、市場に競合商品が多く差別化を図りたいなら、聞きなれた言葉は回避し、新たに造語を考えたり、擬音をアレンジするなどして、インパクトのある覚えやすい名前がおすすめです。

商品名が決まったら、パッケージにデザインするためのロゴタイプを考えます。ブランドのロゴマークのように、商品のイメージを象徴するビジュアルになるので、コンセプトに合わせたイメージでデザインすることが大切です。既存の書体を使ってデザインすることもできますが、そのままだと他の商品とイメージが被る可能性もあるので、既存の書体をアレンジしたり、オリジナルの書体を作ったり、手書き文字で描き起こすなど「独自性」のあるロゴタイプが望ましいでしょう。

シズル感のあるビジュアルを用意する

中身を見ることのできないパッケージの場合、どのような商品なのかを伝えるために欠かせないのが写真やイラストです。とくに、食品の場合は「美味しそう」に見えることが大前提で、「百聞は一見にしかず」という言葉の通り、どんなに言葉で美味しさを伝えるよりもビジュアルで伝える方がダイレクトに商品の魅力が伝わります。

そのような「美味しそう」なビジュアルのことを「シズル感」のあるビジュアルと呼びます。元は、肉をジュージューと焼く様子を表した英語の「sizzle」が語源であったそうですが、今では、食品をはじめ、迫力のある臨場感が伝わる絵柄に対し全般的に使われる広告用語です。

商品の印象を決めるイメージカラー

商品の印象を決めるイメージカラーを選ぶ

ロゴタイプ、シズル感のあるビジュアルと並び、パッケージデザインにおいて重要な位置を占めるのが「イメージカラー」です。

色は遠目からでも視覚で捉えることができ、強い印象を残すと共に、色と紐づいたイメージをもたらします。自動販売機についている赤や青のボタン、同じように蛇口についている赤と青のライン。言葉で説明がなくても「赤=あたたかい」「青=冷たい」というように、私たちは色そのものに固有のイメージを持っています。

パッケージデザインでも同じように、色が持つイメージを利用し商品の印象を伝えることができます。カレールーのパッケージなら、カレーのイメージカラーである「黄色」や辛みを表現する「赤」、ルーの色である「茶色」などをベースにし、独自の配色で色彩を設定します。

他商品と差別化するために、商品が本来もつイメージとはかけ離れたカラーを選ぶという演出も考えられなくはありませんが、消費者目線で見ると違和感を覚え、よっぽどしっかりとしたコンセプトを持たない限り、選ばれることは難しいでしょう。難度は高いですが、成功すると強いブランドイメージに繋げることが可能です。(オレオの青など)

また商品のもつイメージに縛られず「ブランドカラー」で色彩を統一するという方法もあります。「赤い缶ジュースといえばコカ・コーラ」というように、必ずしも中身とパッケージのカラーがマッチしなくても、ブランドのイメージが固定化できれば、色と形状を見るだけで特定のブランドの商品であることを識別することができます。

パッケージは「単独で完璧」より「棚の中で目立つ」を優先する

パッケージデザインを進めるとき、つい「自分のパッケージ単体での完成度」を追求しがちですが、実際の売り場ではその商品は他社製品と並べて陳列されます。単独で見たときに魅力的でも、棚の中で同系トーンの製品が並ぶと埋もれてしまう、というケースは少なくありません。

事前に確認しておきたいのが、「想定される売り場で、どのような他社製品と並ぶか」です。同じカテゴリの商品を5〜10種類実際に集めて、自社のパッケージ案と並べてみると、第一印象でどれが目を引くかが客観的に判断できます。同じカラーが多ければあえて違う配色を選ぶ、皆が縦長フォーマットなら横長を選ぶ、装飾的なものが多ければシンプルな印象で攻める、という差別化の方向が見えてきます。

ECサイトでも事情は似ています。Amazonなどの検索結果ページには、複数商品のサムネイルが並びます。「単独で見て美しい」より「並んだときに視線を集める」を意識した設計のほうが、実際の売上につながりやすくなります。

 

売り場で求められるパッケージデザインのカタチ

店頭パッケージデザイン

どのような商品も実際に店頭で販売される際は、たくさんの競合製品と並び、同じような大きさのパッケージが並ぶ棚に陳列されて販売されます。

商品単体で見た時に素晴らしいデザインに見えていたパッケージも、他の商品と一緒に棚に並ぶと埋もれてしまい、思ったほど消費者に対しアピールできていなかったということも少なくありません。

消費者が商品を購入するに至るまでには、まずは売り場で手に取り、商品の内容や品質・機能・量や価格を競合商品と比較し、吟味された上で成立します。

デザインを考える際は、手に取ってもらえるほど競合製品と並んでも主張ができる独自性のある見た目であることや、商品の特徴を十分にアピールできているかという点を十分に検討する必要があります。

また、売り場の種類によっても求められる商品のスタイルは異なります。

お菓子を例に挙げると、スーパーやコンビニエンスストアなどで売られる商品と、百貨店や専門店などで販売される商品、空港や駅で販売している商品ではそれぞれ目的が異なります。

スーパーや量販店の商品パッケージに求められること

スーパーなどの量販店などで売っているお菓子は、主に自宅で消費されることを前提に販売されているもの。過剰な包装やパッケージはさほど必要とされておらず、品質にある程度の信用がおけ、量が多く価格が安いものが求められる傾向にあります。

百貨店や専門店の商品パッケージに求められること

百貨店や専門店で販売されているお菓子は、自宅用ではなく、友人知人宅を訪問する際の手土産やちょっとしたご挨拶用に贈答すること等を目的としている場合が多く、量の多さや価格設定よりも高級感のある見栄えのするパッケージで、質の良い商品であることが求められます。

空港や駅の商品パッケージに求められること

空港や駅で販売されるお菓子は、家族や友人知人、会社の同僚などにお土産として買っていくことを目的としています。ある程度の品質の高さとご当地感のあるパッケージデザインが好まれ、個包装で渡すことも多いことから、細部までこだわったデザインが好まれます。

このお菓子の例のように、パッケージデザインは、商品のプレゼンテーションである傍ら、消費者の目的に沿ったデザインであることが求められます。デザインの良し悪しは単に見た目だけの問題ではなく、いかに使用するシチュエーションに適したものであるかが重要なポイントです。

 

これからのパッケージデザインに求められること

パッケージの未来について

小売店の時代から量販店の時代に移り変わったように、これからはネット販売を中心とした通信販売がより拡大していくことが見込まれます。商品を手に取り吟味していた買い物のスタイルが、ブラウザ越しに商品を見る時代に変われば、当然求められるパッケージデザインも変わります。

「インスタ映え」という言葉が流行ったように、パッケージデザインも「画面映え」するようなデザインが中心になっていくのかもしれません。

また、環境問題がクローズアップされる昨今、プラスチック製の包装が自粛されはじめ、パッケージデザインの世界にも大きな影響を与えています。サステナブルでシンプルな包装が世界で支持を得ているため、日本の過剰包装は今後減少して行くことが考えられます。

パッケージは「捨てられ方」までセットで設計する時代になっている

環境問題への対応が記事でも触れられていますが、これからのパッケージデザインでは「捨てられ方」「リサイクルされ方」までセットで設計する発想が求められるようになっています。

具体的には、複数素材を組み合わせると分別が難しくなるので、可能な限り単一素材で構成する、リサイクルマークを目立つ位置に配置する、紙とプラスチックが容易に分離できる構造にする、といった工夫が重要視されてきています。海外では、こうした「分別しやすさ」「リサイクル適合性」を評価する仕組みが広がっており、輸出商品では避けて通れない要件になりつつあります。

販売後の体験まで設計に含める発想は、消費者のブランドへの好感度にも影響します。「使い終わったあと、ブランドにどんな印象が残るか」まで含めて考えると、パッケージは購入の瞬間だけでなく、商品体験の最後の場面にも関わるタッチポイントだ、ということが見えてきます。開封前の見た目から、捨てる瞬間までを通して評価する視点が、これからのデザインのスタンダードに近づいていきそうです。

デザインはパッケージに関わらず、時代の流れに大きく左右されます

パッケージデザインは消費者にとって一番近いデザインであるからこそ、尚更受ける影響が大きいのかもしれません。

時代の変化を敏感に感じ取り、トレンドを柔軟にデザインに反映させてこそ、消費者に受け入れられるパッケージデザインができるのではないのでしょうか。

EC前提の設計では「画面と実物のギャップ」を埋める情報が要る

ネット販売中心への転換が進むなかで、パッケージデザインでは「画面で見たときの印象」と「実物が届いたときの印象」のギャップが、新しい課題になっています。

実店舗では、購入者が手に取って素材感・重量・サイズを確認できますが、ECでは画面の写真と寸法表記だけで判断します。届いた瞬間に「思ったより小さい」「写真より色が違う」「素材感が想像と違う」と感じられると、パッケージへの満足度が下がり、リピート購入に響きます。

対策としては、商品ページで「実際のサイズ感がわかる写真」(手に持った写真、身近なものと並べた比較写真など)、複数アングルからの撮影、素材のクローズアップ写真を用意することが効きます。さらに、開封体験を意識した設計(開けたときの内側の処理、開封手順自体が体験として残る構造など)も、レビューやSNSで好意的に言及されやすい要素です。EC前提のパッケージは、「商品が届いてから開封するまでの体験全体」として設計する視点が必要になってきています。

 

まとめ

パッケージデザインは解説してきたように、考慮すべきポイントが数多くあります。

選ばれるデザインを作ることはもちろん、消費者から見て、わかりやすく、使いやすく、安全なパッケージを作ることが何よりも大切なことなのかもしれません。

 

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この記事について

執筆: ASOBOAD編集部

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