会社案内や商品を紹介するパンフレット、フロアマップやカフェのメニューを紹介するリーフレット・・・。ページ立てされた紙面に情報をカテゴライズし、読みやすく編集されたハンディな販促物は、情報をテイクアウトするのにうってつけの媒体です。
「TAKE FREE」や「ご自由にお持ち帰りください」などという案内と共にラックやテーブルに陳列されたパンフレットやリーフレットは、同じく無料で配布されるチラシとはどこが違うのでしょうか。
パンフレット&リーフレットとチラシの違い
パンフレットは、中綴じや無線綴じで製本された簡易的な小冊子、リーフレットはチラシと同じく一枚ペラの印刷物で、チラシと異なるのは必ず折り加工が入っているという点。一枚の紙を折ることで「ページ」が生まれ、小冊子のように情報を分類して落とし込むことができます。
パンフレットは何枚もの紙を使い、ページ数が多い分、必然的にたくさんの情報を載せることができます。リーフレットとチラシは同じ一枚の紙から成っているため、掲載できる情報の量に大きな違いはありません。ただし、その形状と構成方法は大きく違い、スタイルだけで比較すると、リーフレットはパンフレットのミニチュア版のようなイメージと言えるでしょう。
チラシは主に新聞折り込みやポスティングなど、ユーザーの居所へ配布されることが多いですが、パンフレットやリーフレットは店頭などに設置されるケースがもっとも多く、ユーザーが自らの意志で持ち帰るというパターンが多く見受けられます。
コスト面では、チラシの方が圧倒的に安く、折り加工や製本が必要となるパンフレットやリーフレットは単価が高くなります。故に、チラシが集客を主な目的とするのに対し、パンフレットやリーフレットは、チラシに比べ、高単価の顧客やすでに見込み客である顧客をターゲットにする傾向にあり、店置きの商品案内やテイクアウトメニュー表、館内マップなど、顧客が手元に保管して見返したり、使うことを想定して制作されるパターンが多いといえます。
パンフレット&リーフレットをデザインする前に準備すること
パンフレットやリーフレットの必要性を感じた時、何から手をつければよいのでしょうか。予算が先立つものなら、ある程度の部数やページ数も決まってきますが、内容の精査を行わず制作をスタートしてしまうと、時間も労力も先が見えず、結果的には遠回りになるという場合も。
制作を始める前に、誰に何を伝える媒体にしたいのかを整理し、どこに設置され、どのように使われるのか用途をクリアにしておきましょう。その上で、掲載内容とボリュームの目星をつけ実寸の紙に手書きでざっくりレイアウトを描いてみるのがおススメです。
この段階では、詳細な原稿や写真、イラストなどは必要なく、どのページにどんな内容を入れるのか整理していくことが目的です。とくに、ページものは、読ませるテンポが大切なので、1ページに収まる情報量を考慮し、画像とテキストの分量や、見せ方をしっかりシミュレーションしておきましょう。
骨子となる構成案をまとめる
ある程度内容に目途がつき、ページ数が決まったら、パンフレットの場合は「台割り」と呼ばれる一冊通してのページごとのレイアウト、リーフレットは表裏の折りの位置を考慮したラフを制作しましょう。
同時に、読んでもらうターゲット層を考慮し、どのような切り口でデザインしていくかスタイルの方向性も決定していきます。自分でデザインしない場合は、他社のパンフレットやリーフレットのサンプル、参考になる画像などを集めておくとイメージが伝わりやすいでしょう。
《まとめておくべき構成案》
●サイズ・ページ数・部数
●コンテンツの整理とページネーション
●写真・イラスト等のビジュアル素材、原稿の手配
●ターゲット層と用途の明示・デザインテイストの方向性
内容に適した媒体と折り方について
構成案を考えている段階で、ある程度、パンフレットとリーフレットのどちらが適しているのか判断はつくと思います。会社や商品について、より深く掘り下げたり、幅広いラインナップを紹介するなどボリュームのある『詳細』を案内したい場合はパンフレットを、商品やサービスの『概要』を案内したり、マップやガイドなど実際に使うことを目的とする場合はリーフレットが適しています。
パンフレットの場合は、1ページ当たりのボリュームを設定し、それに基づき台割りを作成して、どの位のページ数が必要になるのか見当をつけます。
リーフレットの場合は、ボリュームだけでなく、構成や演出に合わせて用途に適した折り方を選ぶのがポイントです。
《リーフレットの代表的な折り方》
二つ折り
1枚の紙を二つに折ったシンプルなリーフレット。ページ数は、表紙裏表紙と中面2ページの合計4ページ。メニュー表や簡易的なサービス案内に適しています。
巻三つ折り
片側を中に折り、三つに折ったリーフレット。全部で6面に分かれており、内容によっては面をつなげてスペースを広く使うこともできます。適度な情報量を区分して掲載することができ、自由度が高いことから、リーフレットとしてよく使われるスタンダードな形です。
外三つ折り(Z折り)
アコーディオンのように、蛇腹に折った三つ折りの形。外見は巻三つ折りと変わりませんが、展開の仕方が異なります。巻三つ折りは、順序立てて1、2の順で開いていくのに対し、外三つ折りは、左右を持って開くとワンステップで紙面がすべて開けてしまいます。表紙と繋げてテンポよく読ませたい場合や、ラインナップを紹介するメニュー、紙面を広く使うマップなどに適しています。
観音開き折り
観音開き折りは四つ折りの中でもよく使われる折り方で、横長(または縦長)の紙を両端から折り、さらに真ん中で折る折り方。全部で8面になりますが、開いていく際に、見開き部分が2回出てくるのが特徴です。
名前の通り、扉を開けるようにして開き進めていくため、ストーリー性のある演出を可能にします。はじめの見開きで興味を湧き立たせ、次の見開きで一気に展開するなど、ユニークでドラマチックな仕掛けを作ることができます。デザインにこだわると面白いものができそうですね。
巻四つ折り
こちらも四つ折りの一つのパターンで、二つ折りを二回繰り返す折り方です。仕上がりは観音開き折りと同様のサイズになり、全部で8面できますが、開く順で見ると、表紙・裏表紙→2面使った導入ページ→4面使った中面という構成になります。
折り方や開き方がシンプルなので、迷いなく展開できるのがポイント。施設や店舗の紹介、マップなどに向いています。
巻々四つ折り
片側に一回、反対側に二回折ってできる折り方。こちらも全部で8面できますが、開く度にスペースが広がっていき、最後に4面すべてが見える折り方になるので、順を追って説明したい内容や、コンテンツを分けて説明したい場合に適した折り方です。
クロス折り
長辺を二つに折り、さらに90度回転させてもう一度二つに折るクロス折り。二回二つ折りすることで8面取れますが、もう一度回転させて二つ折りすると16面とることができます。順に開くことができるので、読み物やガイドブックなどにも向き、最後に中面が一気に現れる折り方になるので、ダイナミックな演出が可能です。中面を地図にした観光ガイドブックや商品カタログ、中面をポスターにするなど幅広い展開が見込めます。
持ち帰りたくなるデザインのポイント
戸別に配布されることの多いチラシと比べ、店頭やラックに設置されることが多いパンフレットやリーフレット。顧客に見てもらうためには、まずは手に取ってもらい、「持ち帰る」という選択をしてもらわなければなりません。
知りたいことが分かる、後で使うことができる、その場で役に立つなど、明らかな有益性や実用性が理解できる場合は、さほどデザインの力がなくても持って行ってもらうことができますが、競合するサービスや商品と並列しておかれる場合や、新規や見込み客の開拓など、新たに興味を持ってもらいたいケースや、ブランドやショップのイメージアップなど戦略的にイメージを操作したい場合は、「手に取りたくなる」ようなビジュアル作りが必要です。
表紙や形で興味を引く
どんなに中身に自信があるものでも、手に取ってもらわなければ中身を知ってもらうことはできません。配置してある状態で「見てみたい」と思わせるビジュアルであることが、まずは第一の関門。心に響くキャッチコピーや視線を集めるアイキャッチなど、第一印象に残る表紙作りがポイントです。また、外形に変化を持たせてみるのも一つの手。商品の実物の写真を使用し、型抜き処理で印刷したり、正方形や円形、コンパクトなカードサイズなど、競合の印刷物に埋もれない個性的な形で差をつけると手に取られやすくなるでしょう。
ワクワクするような演出を
折り方やページ立てで変化を楽しめるのがリーフレットやパンフレットの醍醐味。開く度に楽しいと思える仕掛けがあると、ブランドイメージの向上にも繋がります。
迷子にならない適切なページ誘導
あまり複雑な構成にすると、読み手がどこから読んだらよいか迷子になってしまいます。見出しや画像を適切に配置し、読みやすさにも配慮しましょう。一面ごとのスペースが狭いと余白が少なくなる傾向がありますが、全体のバランスを見て統一感のあるレイアウトを心掛けましょう。
ブランドのイメージと統一させる
商品であればパッケージやその他の広告、店舗なら店の内装の雰囲気や看板など、ブランドの方向性とマッチしたデザインを採用することで、イメージが拡張し印象が強くなります。
製本の仕方や紙質で品質を訴える
パンフレットやリーフレットは、見た目はもちろん、手触りや質感なども重要なファクター。厚みのある手触りのよい紙はそれだけでも上品な印象を与え、そこにマッチしたデザインが加わることで、相乗効果が期待できます。とくに、パンフレットの場合は、製本の仕方でも印象が大きく変わります。パンフレットの一般的な製本方法は「中綴じ」と呼ばれるもので、真ん中にあたる見開きページをホッチキス止めしたもの。ページが開きやすく、よほどのページ数にならない限りは機能的な問題はありませんが、全体的に雑誌のようなカジュアルな印象になります。それに対し、ホッチキスや針金を使わず背表紙を糊で接着した「無線綴じ」は、冊子というよりは本に近い印象になり、高級感を与えます。
紙質や製本方法は予算によって大きく左右される部分なので、コストを比べながらイメージに合うものをセレクトしていきましょう。
まとめ
パンフレットやリーフレットは、一枚ものの印刷物とは異なり、ページネーションや折り方などの「見せ方の展開」に留意することと、「持ち帰りたくなる」演出がキーポイントです。本格的なデザインの作業に入る前に、実物大でレイアウトを組み、見え方や構成をじっくり検討しましょう。
また、構成・デザイン共に、一枚ものの印刷物よりハードルが上がります。伝えたいことを、より印象的に表現するには、販売促進に精通したプロの目線が役立ちます。手軽に効果を上げるパンフレット・リーフレットを制作するなら、一から相談できるwebのデザインサービスを検討してみてはいかがでしょうか。
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