はじめましてのシーンに欠かせない、小さなビジネスカード。
どんなにオンラインが発達しても、人と人とが共に社会で関わる限り、名刺がなくなることはないでしょう。
名刺は、出会う人に自分が何者であるかを伝え、後に連絡を取るための手段を知らせるためのツールです。その目的だけを考えると、そこにデザイン性は必要なく、紙に名前や会社名、連絡先さえ記されていれば良いだけの話です。
しかし、名刺にはもう一つ重要な役割があります。
毎日たくさんの人が行きかうビジネスの場。いかに相手に印象良く覚えてもらうことができるか。その一助となるのが「名刺」のもう一つの役目。
あなたの差し出した名刺が、相手の名刺フォルダの中で埋もれ、「誰だったっけ?」とならないように。「何だか読みづらいパッとしない名刺だなぁ」と思われないように。
名刺づくりの基本をしっかり押さえ、自分にぴったりの名刺を作りましょう。
名刺に掲載すべき事項とは
名刺で必ず相手に伝えなくてはならない事柄は、
①会社名と名前
②連絡先
さらに、情報として伝えられると良いのは
③どのような会社(人柄)で何が得意なのか
名刺を見返した時に、情報に不足が無いように、掲載する項目をリストアップしておきましょう。①と②は必須事項なので、以下の項目は必ず掲載するようにしましょう。
●会社名(事業名・屋号・ある場合はロゴマーク)
●肩書き(役職や職種)
●氏名(できればフリガナやローマ字表記も)
●連絡先(住所・電話番号・メールアドレス)
そして必須ではありませんが、どのような事業を行っていてどんな分野が得意なのか、また人柄が分かる情報を入れておくと、営業ツールとして効果を発揮します。
●キャッチコピーや営業品目
●本人の写真や似顔絵
●ホームページのURL
●SNSのアカウント
●URLやアカウントにアクセスできる二次元コード
名刺一枚で会社の概要や人柄を伝えるのは至難の業でしたが、ITの発達により、アドレスやアカウントを掲載することで膨大な情報に簡単にアクセスし、多くのことを伝えられるようになりました。しかしながら、それも相手に「見てみたい」と思ってもらえてこそのこと。見たくなるようなイメージづくりは依然名刺の大きな役割といえるでしょう。
知っておきたい名刺の基本のレイアウト
掲載するべき事項がまとまったら、基本のレイアウトを確認していきましょう。
どんなにインパクトの強いデザインにこだわった名刺でも、レイアウトが素人じみたものでは思うような印象は残せません。基本を知り、踏襲した上で、個性のあるデザインが生きてくるのです。
①名刺のレイアウトの基本「優先順位」
名刺に限らず、紙面デザインをする上で必ず考慮しなければならないのが、「何を伝えるのか」という、目的の設定です。名刺の場合、自身の名前や連絡先がそれに相当しますが、働き方によっては、携帯電話番号を優先したい場合やメールアドレスを主な連絡先にしたい場合などさまざまです。
そこで、注目してもらいたい項目に自然と目が行くよう、掲載項目の中であらかじめ優先順位をつけておきましょう。
優先順位をつけたら、それぞれのカテゴリーでまとまるようにグルーピングし要素を紙面に配置します。目立たせたい項目は、他の要素と区別し、もっとも視線が集まる氏名周りに配置すると効果的です。
②名刺のレイアウトの基本「揃え」
要素が確定し、紙面に配置したら文章を揃えていきましょう。
デザインにはパッと見ではわからなくても、ほとんどの場合その裏には規則性があります。美しく、見やすさを優先する時には、「揃え」は欠かせない要素。とくに、限られたスペースで文字を羅列する名刺の場合は、強く意識すべきポイントです。
●左揃え
もっともスタンダードな揃え方。自然に読むことができ「安定感」を与えます。
●右揃え
左揃えに比べると「独自性」を感じる配置。うまく揃えるのに少々テクニックを要しますが、クリエイティブな印象を与えたい時には有効です。
●中央揃え
上品でやわらかい印象。女性的な職業や格式の高いイメージを与えたい時に有効です。
●両端揃え
合理的でかっちりとしたイメージ。金融業や建設業など、信用に重きを置く業種に適しています。
③名刺のレイアウトの基本「書体選び」
名刺はどの紙媒体よりも文字を「読んで使うこと」を目的とする印刷物です。ですので、可読性が高いということは必須。その上で、文字の形が与える印象についても配慮する必要があります。
限られたスペースの中でたくさんの種類の書体があるとゴチャゴチャとした散漫な印象になるため、一枚の名刺で使用する書体の種類は1~2種類程度に抑えるのがおすすめ。できれば、同じシリーズの書体の中でウェイト(太さ)にバリエーションを持たせ、デザインに変化をつけるとよいでしょう。
名刺に使われる書体には大きく分けて2つの種類があります。
一つは、「ゴシック体」と呼ばれる均一な太さの線で書かれた近代的な書体。もう一つは、「明朝体」と呼ばれる新聞や教科書等でよく見かける、線の太さに抑揚を持つ古典的なイメージの書体。ゴシック体は、現代的でカジュアルな印象。明朝体は、品格や伝統を感じさせます。表現したいイメージに近い書体を選び、読みやすい太さで表記するのがポイントです。
注目を集めるのに、インパクトの強い装飾性の高い書体を選びたくなる気持ちもわかりますが、可読性を優先させるならこのスタンダードな2種のどちらかを使いましょう。個性を出すなら、会社名やブランド名のロゴタイプやロゴマークを作成しデザインのポイントにするのがおすすめです。
④名刺のレイアウトの基本「余白と強調」
全体の基本的なレイアウトが見えてきたら、注目してもらいたいポイントを「強調」していきましょう。強調するには、
●大きくする
●太くする
●書体に変化をつける
●色を変える
●装飾する
●周りに余白を設ける
・・・
などといくつかの方法があります。
デザインによって選択する方法は変わりますが、どの方法を選ぶかで名刺全体のイメージが変わります。
単純に大きくしたり、太くしたりすることでも強調することはできますが、全体の印象を上品に見せたい時には、あえてダイレクトな強調は避け、周りと距離をとる「余白」を設けるという手段で強調することもできます。
余白は、強調だけでなく、紙面全体のイメージをコントロールするデザインの要。
紙面に対し、どの程度印刷にスペースを割いているのかをパーセンテージで表わした数値を「版面率」といいますが、余白が少なく版面率が高いとアクティブで元気な印象を与え、反対に余白が多く版面率が低いと上品で余裕のある印象を与えます。
また、もっとも小さな文字と大きい文字の倍率差を「ジャンプ率」といいますが、版面率同様、ジャンプ率が大きいと活気あるイメージに、低いと静かで品のあるイメージに仕上がります。
以上のレイアウトのポイントを操作することで、相手に伝えたいこちら側のイメージを作り上げることができます。それに加え、ブランドカラーやロゴの使用、画像やイラストの使用、装飾などでブランドイメージに近づけることで、自身を紹介する名刺が出来上がります。
まとめ~名刺は映画の予告編!?
映画には、必ずといってよい程「予告編」があります。
予告編は、その映画に興味を持っている人にも、持っていない人にも観てもらうきっかけを作るための広告宣伝として存在しています。
名刺もまた然り。自分のプロフィールや会社の理念、ブランドのコンセプトや事業内容・・・、すべてを一枚の小さな紙で表現することはできませんが、映画の予告編のように、伝えたいところをピックアップして、自身や事業のイメージを思うように伝えられたらどんなによいでしょう。
そのためには、自分が伝えたいイメージを整理し、名刺に「デザイン」として反映させることがポイントです。カラーや書体、画像や装飾、紙質や印刷方法に至るまで、選ぶこと、表現することで名刺はあなたの「予告編」に成り得るのです。
今では、ビジネス用のwordやexcelなどのソフトを使って自作したり、テンプレート機能を使ってオンラインでもカンタンに名刺を作れる時代になりました。
コストの面やスピードの面でそれらを選択した方が良い場合もたくさんありますが、自身の分身とも言うべき名刺は、出会ってはじめに渡す最強の営業ツール。せっかく作るなら、納得できる世界で一つのデザインをプロに依頼してみてはいかがでしょうか。
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