繊細な装飾がフォーマルな2人の姿とマッチした、上品なチラシデザインです。
ピアニストとパーカッショニストによる競演コンサートのチラシを制作しました。淡く徐々に変化していく背景が印象的です。色使いとしては、赤系・青系と使用する幅は広いですが、全体を暗めにしているのでカラフルな印象は与えず、上質感のあるチラシデザインに仕上っています。
クラシックの伝統を纏ったアーティストの品格を映すデザイン
このチラシは、ピアノとパーカッションのコンサートを告知する上品でフォーマルなデザインを採用しています。アーティストたちの写真は落ち着いた色調で、彼らのフォーマルな装いと洗練された姿勢を反映し、観客に対して品質の高い音楽体験を約束しています。背景の繊細な装飾は、コンサートのクラシックな美学を強調し、その豊かな歴史を感じさせます。
背景の細工とイベント情報
チラシの背景にあしらわれた芸術的な装飾は、イベントが持つ文化的価値を象徴しており、こだわりを感じさせます。演奏予定の曲目リストが、教育的かつ洗練されたセレクションを示しており、音楽愛好家にとっての魅力を高めています。このアプローチは、コンサートが伝統と革新を兼ね備えていることを示唆しています。
デザイナーの振り返り
■ 演奏者2人のフォーマルな姿を寄り添うように制作したチラシです。背面の繊細なパターンが、細やかな演奏とリンクします。
■ 高級感や落ち着きを出すには黒が適していますが、チラシの背面に黒を使用してしまうと、奏者の衣装と同化してしまい魅力が半減してしまいます。今回はグラデーションを用いることで、2人が映えるようなデザインを心がけました。
■ チラシ裏面にも装飾を施し、重厚な額縁にプロフィール写真を飾ることで、ギャラリーのような高級感のある雰囲気になっています。また2人の実力を感じさせてくれるデザインであるとも言えます。
制作フライヤー・チラシデザインに対する感想
VOICE ※第三者による感想です
良い意味で期待を裏切る、今風のフライヤーですね。
クラシックやリサイタルのような広告物には、定番のような一定の法則が存在します。まず基本単色を使い、出来るだけ強いカラーをつ使用せず、アーティスト、出演者の全体像が分かる画像を中心に据えたデザインにすることです。グラフィカルなロゴデザインはあまり使わず、既存のフォントでタイトルや告知する内容を淡々と表現するのも、その特徴の一つですね。ここでもかつての写真館でよく見る肖像写真の効果を存分に利用しています。ゴールドのサークルで敢えて強調する日付の部分が、アイキャッチの効果があるにも関わらず、チラシ表面の全体のデザインを邪魔する存在に感じさせないのは、サークル内部のグラデーションが右側に流れるようになっており、存在を少し和らげているからでしょう。
ブラックとゴールドは非常に相性の良いカラーなので、品位といったものを感じさせるには非常に感じが良い印象を持つ場合が多いです。デュオリサイタルのタイトルに比べ、ホワイトの淡いセンターに向かうグラデーションがその下のインフォメーションの背景色に使われ、やや読みにくい感じがありますが、曲目に関するキャプションのような役割であり、背景画像の印象を壊さないためには、これぐらいの濃度が限界でしょう。リサイタルの主役と、チケットに関するインフォメーションと日付がこうしたチラシの場合は、最も重要な要素となります。チラシの平均的なサイズはA4が最も多いので、強調する部分を精査し、伝えるべき内容が正確に伝われば、こうした要素は付随的な要素で片づけて構わないでしょう。むしろここではチラシのバック全体のカラーが暗く清楚な落ち着いた配色が基調なので、グラデーションの効果があって逆に良いものとして見ることができます。
チラシ裏面に関しては、アーティストの紹介に非常に重点が置かれ、チラシの告知の割合は、表面で8割は達成している感じがします。従い、リサイタルに興味や関心を持った人が、裏面は補足的な情報を得る場になってれば良いというわけで、アーティストの画像、マップの表示に配慮すれば、その役割はやや薄くても構わないと思います。背景の壁紙のような画像に対し、人物画像を肖像写真になぞらえ、額縁の枠をつけるアイデアは、この場合非常に活きていると感じますね。背景の模様も、画像の枠周辺でぼかしてあるのも、配慮のある工夫だと思います。また、下の帯の部分は全く異なるデザインにしてありますが、これは告知内容はアーティストに関連のある意味合い以外は、まったく別の告知なので、切り離して自由にデザインするというのは、特にこの場合問題ではないでしょう。コンサートのチラシでは、こうしてさりげなくCDアルバムなどのインフォメーションを下段に配置するのは、よくあるデザインなので気にはなりません。
VOICE ※第三者による感想です
デザイン重視でカッコイイ反面、少し文字は小さいように感じました。
クラシックコンサートのチラシデザインは、バンドのような派手な背景にすることは少なく、ミュージカルや一部の演劇のような華やかで慎みやかな感じに仕上げることが多いと言えるでしょう。この場合にも背景を黒にして、派手さを抑えてあることがわかります。しかし、完全に黒にしてしまうのではなく、美術館に飾ってあるような絵を思わせる背景になっています。そのため、2人の存在感がかなり出されていますし、一体感が生まれていると言えるでしょう。
通常はチラシ表面に存在感を出し、裏面でイベントの詳しい説明が行われているというパターンが多いのですが、この場合には表面にイベントの詳しい内容を記載し、裏面は2人のプロフィールが書かれています。アクセス方法もきちんと書かれているのでとてもわかりやすくてよいのですが、もう少し文字数を減らし、文字を大きく記載すれば、読みやすくなるようにも感じました。
※掲載しているフライヤーデザインサンプル・モックアップはイメージです。実際の用途・サイズ・仕上がりとは異なる場合がございます。