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ファストフード

食べる喜びとサービスの向上を目指すマクドナルドの新パッケージデザインが登場


最近マクドナルド(McDonald’s)のハンバーガーを食べたのはいつでしょうか。マックフライポテトと口にしたり文字を見ただけで、香りや味がよみがえるかもしれませんね。ところでハンバーガーやサイドメニューがどんなパッケージに入っていたか思い出せますか?

マクドナルドのロゴ

wolterke – stock.adobe.com

現在マクドナルド社は、パッケージデザインのリニューアルを全世界的に展開中です。2020年末、新しいドライブスルーやスマホアプリを発表するとともに、新パッケージのデザインが公表されました。2021年の2月に全貌が明らかになった新デザインは、全世界共通とアナウンスされています。現行デザインとどう変わるのか見てみましょう。

 

タイポグラフィからイラストにバトンタッチ

今のパッケージデザインがどうなっているかというと、「月見バーガー」とか「辛ダブチ」「Big Mac」「Filet-O-Fish」といった商品名が、力強い書体で印刷されています。アルファベットで書かれたレギュラーメニューでは、はみ出るほど大きくレイアウトされています。全体にカラフルな文字をメインにした元気なデザインです。

今回発表されたパッケージデザインでは、シンプルでフラットなイラストで商品を表現しています。たとえば、エッグマフィンは白地に黄色い丸をおいた、目玉焼きのようなタマゴのイラストです。白身と黄身でエッグマフィンを象徴しています。

商品を説明するためのイラストというよりも、カスタマーが商品をイメージできるかどうかを重視しているようです。ビッグマックは、ハンバーガーの断面のクローズアップ。フィレオフィッシュに至っては波打つ海のイメージで、魚すら描かれていません。

いずれもパッケージをキャンバスとしてポップで楽しいイラストを印刷面いっぱいにレイアウトしています。あとは、M字型のシンボルマーク「ゴールデンアーチ」と小さな文字の商品名が添えられているだけのミニマルなデザインです。

マクドナルドの新パッケージデザイン

Mickis Fotowelt – stock.adobe.com

 

食事を楽しい体験に変える遊び心あふれるパッケージデザイン

マックフライポテトのパッケージデザインは、赤地にゴールデンアーチのみというシンプルさです。そしてポテトを食べ終えると、空になった容器の内側に見えるのがマックフライポテトのイラストという楽しい仕掛けがあります。

現行のデザインもカラフルでポップではありますが、商品名を伝えるという機能面の比重が大きいように思います。今回のデザインリニューアルのコンセプトは、フードそのものだけではなく、マクドナルドで食べる喜びにつながるものです。

今回のパッケージデザインのリニューアルを手がけたのは、ロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコ、コペンハーゲンを拠点とするデザイン会社Pearlfisherです。Pearlfisherのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターHamish Campbell氏は、マクドナルドというブランドが本来持っている喜びをパッケージによみがえらせたのだと述べています。

「メニューをグラフィックではっきりと表現することで、それぞれのパッケージが、マクドナルドの遊び心とより強く結びつき、その遊び心を感じさせるのです」(Hamish Campbell氏)

今年の1月には、マクドナルドのライバルであるバーガーキング(Burger King)がロゴをリニューアルしました。ロゴだけでなく、パッケージからスタッフのユニフォームまでの総合的なリブランディングになっています。これも、メニューそのもののおいしさはもとより、バーガーキングで食事をするという体験を楽しいものにすることも意図したものです。

全世界共通のデザインリニューアル

新しいパッケージは全世界共通のもので、どの国でも同じメニューは同じデザインになると発表されています。2023年までに世界中の店舗で導入される予定です。オーストラリアやニュージーランドでは昨年の秋からすでに使われています。

世界各国のマクドナルドでは、それぞれご当地メニューがあり、日本でも季節限定メニューなどが少なくありません。こういった特別なアイテムの場合、パッケージデザインはどのようなものになるのか興味が湧きます。ご当地メニュー用のフォーマットが何か設定されているのか、あるいは完全に自由なのか、チェックしておきたいですね。

 

ドライブスルーシステムの進化とサービスの効率化

パッケージデザインのリニューアルが昨年末にアナウンスされたときに、新しいドライブスルーシステムも発表されました。2021年に世界の約1万店で実証実験をおこうなうということです。

これは、日本の公式サイトでもすでに「未来型店舗体験」として公開され、一部が運用されています。SNSや広告で目にした人も多いと思います。アプリで注文と支払いができて、列に並ばなくても良い「モバイルオーダー」や、注文後に指定の駐車スペースまでクルーが商品を持ってきてくれる「パーク&ゴー」などです。

新型コロナ禍のなか、ファストフード業界ではドライブスルーの売り上げの割合が大きくなっています。そのため、ドライブスルーの待ち時間を短縮し、効率化を図る必要が出てきました。そこで、計画されたのが、アプリの活用やシステムの改善などです。また、クルーによるサービスのスピードアップを図って、メニューの簡略化も計画されているようですが、具体的にはどのような形になるのでしょうか。

パッケージのリニューアルは、サービスの効率化にも貢献します。色分けされた文字だけのパッケージよりも、イラストの方がスタッフにとっても識別しやすいのは確かでしょう。また、受け取るカスタマーも注文どおりのアイテムかを瞬時に確認できます。

マクドナルドの環境への取り組み

マクドナルドは、すべてのパッケージの素材を2025年までにリサイクル素材やリユース素材、FSC(森林管理協議会)認証の紙素材に切り替えることを2018年に発表しています。また、持ち帰り用パッケージも100%リサクルすることを目指しています。

カスタマーの体験を考慮したデザインや環境への配慮など、マクドナルドの取り組みは、パッケージデザインにかかわる人にとって、大いに参考になるでしょう。


【参考資料】
new-packaging-design (https://corporate.mcdonalds.com/gws-newsroom/corpmcd/en-us/2020/11/new-packaging-design.html)
McDonald’s’ packaging designed to reflect brand’s “playful point-of-view” (https://www.dezeen.com/2021/02/18/mcdonalds-packaging-playful-graphics-pearlfisher/)
Creative Design & Branding Agency – Pearlfisher – Design for Life (https://www.pearlfisher.com/)
McDonald’s global packaging redesign by Pearlfisher (https://www.pearlfisher.com/work/mcdonalds/)

 

※公式WEBサイト情報もあわせてご確認ください。



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