
アメリカやヨーロッパを中心とした欧米企業では、ビジネス戦略の一つとして、コンセプト設定の初期の段階からデザイナーが深く関わり、ユーザー視点での制作が行われる傾向があります。
目まぐるしく世界情勢が変化する昨今ですが、デザインの分野でも同様です。
一時期はおしゃれで人気があったスタイルも、数年後には、『時代遅れのデザイン』とみなされることが多くなり、時間の流れ方がスピードを増しています。
デザイナーにとって、「現在どのようなことが人々の関心を呼んでいるのか」、「 将来、どのようなイメージが人々に共有されやすいのか」、「過去から未来に受け継いでいくべきものはどんなことなのか」など、最新のトレンドや未来の動向を常にキャッチしておくことが必要不可欠です。トレンドを正確に予想・把握したデザインはビジネス面で成功を生み出すきっかけとなります。
写真のトレンドは「デザインのトレンド」を先取りする性質がある
ストックフォトサイトやフォトエージェンシーが発表する「写真のトレンドレポート」は、デザイナーが1年に1度は目を通しておくべき資料です。写真業界のトレンドは、広告・Webデザイン・ブランディングのトレンドに1〜2年遅れで波及する性質があるからです。
たとえば、写真業界で「自然光を活かしたリアルな人物写真」が主流になると、そのスタイルの写真を使ったWeb広告やパッケージデザインが増え、ブランド全体の雰囲気もそちらに引っ張られます。逆に、加工感の強い鮮やかな写真がトレンドだった時代には、デザイン全体も鮮やかな色使いが主流でした。
「次にどんなデザインが流行るか」を予測する実務的な方法として、「来年の写真トレンドを今見ておく」アプローチが有効です。写真は「選ぶもの」でもあり「トレンドを教えてくれるもの」でもあります。

360b / Shutterstock.com
Shutterstockは世界の100以上の国々の14万人の写真家・アーティスト・デザイナーから寄せられた画像のストックサイトです。そのコレクションの数はなんと一億枚以上にもなります。

これらのコレクションを細かく検証し、提起されたのは「ビジュアルの世界の今後は一体どのように変化していくのか」という予測です。Shutterstockは、アーティストやキューレーター、デザイン専門家、そしてレビュアーたちに、未来のイメージ(画像)は何が主流となるのか、トップ・テン・トレンドの推測を発表しました。
その結果が次の通りです。
10位− 日々の生活の中に見られるストリートスタイルの写真


9位− 想像力を掻き立てるハイパーリアリティな画像

8位− 低照度で高品質なISOの高い写真



7位− 人の温度が感じられる手描きの画像

6位− 未処理及びフィルターなしのスナップ的写真


5位− 360度パノラマ写真


4位− 日常を切り抜いた写真
(SnapchatやInstagramによって当たり前になった)



3位− ドローンによる空撮写真



2位− クラウドソース化されたジャーナリズム写真
(誰もが目撃者としてシャッターを切るようになった)

Migel / Shutterstock.com スペインの牛追い祭りの模様
1位− 今や誰もが高画質で撮れ、簡単に共有できるスマホ写真



写真(画像)の未来を提示した結果ですが、これは、現在そして今後のデザイントレンドの動向と密接な関係があります。

日常生活に伴うストリートスナップのように、デザインにおいてもリアルな生活・ストーリーは強力な説得力を持ちます。

また、ドローンや360度写真などは、技術的な進化によるトレンド画像ですが、デザインの世界でも同様のことが起こっています。以前とは異なりデザイナーとエンジニアの境界線がなくなりつつあり、デザイナーでもある程度の技術的知識が必要となってきています。デザイン媒体も多種多様となってきている現在、それに対応できる技術と知識がより一層求められています。

そして、インスタグラムやスナップチャットの台頭による共有できる作品づくりは、まさに今後のデザイナーへの問題提起です。誰でもコンピュータや他のデジタルデバイスがあれば簡単にデザインができるこの時代、デザインを専門とするクリエイターは、人々の記憶に留められる作品や企業戦略を促進させることのできる作品を生み出さなければならない、という提唱でもあります。
デザインをする上で、企業が求めるものは何か、人々に好まれるものはどんなものなのか、クリエイターである限り常に敏感でいたいものです。
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