商標は商品・サービスを区別するマークのこと
「商標」という言葉を聞く機会があると思いますが、この「商標」とは何でしょうか?
「商標」は需要者に対して自社の商品等と、他社の商品等の識別をしてもらうために付する識別標識(以下、標章)です。
法律(商標法第1条)では
「この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」
とあります。
よって、「商標は商品・サービスの区別するための識別標識」であり、それを保護することによって商標権者の業務上の信用の維持や需要者の利益を保護しています。
商標は商品・サービスを購入する際の判断材料になる
例えば、スーパーに買い物へ行ったとします。ある商品を購入する際にA社とB社とがあり、私達はA社またはB社の商品から1つを選ぶ際に何を考えますか?
品質や価格、材料、生産地、企業イメージなど総合的に比較すると思います。
A社〇〇商品は「国内で有機栽培されたオーガニックの材料を使用した製品である。」や、B社△△商品は「日本では入手できない海外の珍しい材料を利用した珍しい製品である。」など様々な事を考えて購入する商品を検討していると思います。
このA社〇〇やB社△△と聞いて「私達が頭の中で思い浮かべるイメージも商標の役割の一つ」です。他にも商標の役割として自社の商品等の品質保証や広告宣伝を備えています。
商標の役割をよりイメージしやすくするために、私が良くする例を紹介します。
「あなたは前の約束が早く終わりました。次の約束まで少し時間があるので、コーヒーでも飲んで一息つきながら次の約束に備えたいと考えています。さぁ、あなたはどこのコーヒーショップへ行きますか?」
その判断の基準もそのコーヒーショップの名前(商標)から惹起されるイメージで選ぶことが多いはずです。
例えば「スターバックス」だとコーヒーの価格がちょっと高いけど、PCの電源も取れるので安心して仕事の資料も確認できる。
「ドトール」だとコーヒーの価格はスターバックスより安く店内の雰囲気はとても静かなのは良いが、着信音やPCの作業音があると周りのお客さんに迷惑になるので仕事には向かない。
「マクドナルド」だとコーヒーの価格はワンコインだけど、店内のBGMは騒がしいし周囲はガヤガヤしておりリラックスには向かない。…などが考えられます。
上記の通り、「私達は商品やサービスを購入する際には商標やそこから連想されるイメージを判断材料にて商標・サービスを選択」しています。
商標は様々な種類があり身近にたくさんある
また、商標には様々なタイプがあり、「文字だけでなくロゴやデザイン、立体的形状、色やホログラム、音」も商標として現在は認められています。
eyewave – stock.adobe.com / ルイヴィトンのモノグラム(ロゴ)
Korn V. – stock.adobe.com / カーネルサンダースの像(立体形状)
例えば、ロゴでは「L」と「V」を組み合わせたルイヴィトンのモノグラム(ロゴ)や立体形状ではケンタッキーフライドチキンの「カーネルサンダースの像」、音ではテレビCMで放送される「インテル♬」などが有名です。
この様に私たちの日常の生活に商標は密接に関連しており、よく考えてみると商品やサービスを購入する場合には、商標を根拠に多くの決断をしていることがわかります。
ですので、現代社会にとって商標が果たす役割は大きく、大企業は自社のイメージアップを図るために多額の広告宣伝費を払っています。例えば、テレビCMやラジオ、雑誌の広告において企業が伝えたいメッセージを何回も繰り返して表現しています。そして、人々の潜在意識の中へ徐々に浸透させていく訳です。
こうして考えると商標の重要性や必要性に気が付いていただけると思います。次回のコラムでは商標の制度について説明していきたいと思います。
※コラムは執筆時の法令等に則って書いています。※法令等の適用は個別の事情により異なる場合があります。本コラム記事を、当事務所に相談なく判断材料として使用し、損害を受けられたとしても一切責任は負いかねますので、あらかじめご了承ください。
<プロフィール> 加藤拓司(弁理士)加藤国際特許事務所 代表
大学卒業後に一般企業でSE(システムエンジニア)として勤務中に弁理士資格を取得して独立起業。現在、主に中小企業向けに起業や新規事業の立ち上げの支援や商品・サービス企画段階で知的財産権を活用したアドバイスを行う。趣味は音楽鑑賞や旅行、サイクリング、妻と娘1人、名古屋市在住。
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