商品パッケージやポスター、チラシ、看板などで毎日目にするロゴマーク。
ロゴマークというと、誰もが知っているプロダクトについているマークや、大きな屋外看板やポスターになっている有名企業のマークなどを思い浮かべますが、今の時代、街中にある中小企業や個人で制作しているクラフト品など、大小関わらずさまざまなジャンルのブランドがオリジナルのロゴマークを持っています。
ロゴマークの必要性とは
そもそもロゴマークとは、何のために必要なのでしょうか。
同じような商品、同じようなサービスが乱立する現代。消費者にとって、どの商品が自分の求めるものなのか、いわゆる「目印」として機能しているのがロゴマークです。
それと同時に、送り手が自社のブランドを競合他社と差別化し、独自性を主張するためのメインツールとしての役割も持っています。
マーケティング戦略で「CI(コーポレートアイデンティティ)」を設定することが当たり前になった今、企業の思いや姿勢、イメージを伝えるために、視覚に訴える「VI(ビジュアルアイデンティティ)」を設けるのは基本。その「VI」のベースになるのが、ブランドの顔としての機能を果たすロゴマークの役割です。
ロゴマークといっても、会社名やブランド名をただ並べただけのものや、それっぽいマークを何となく付加しただけのものでは、ブランドの顔としては機能しません。ユーザーに持ってもらいたいイメージを発信するには、ロゴデザインの土台となる「コンセプト」が必要です。
良いロゴデザインは、ブランドのイメージを一目見ただけで伝えることができます。ブランドイメージを担う、優れたロゴデザインを作るための知識とプロセスを2章に渡り考察していきましょう。
「選ばれる価値」を発信するコンセプトの立て方
技術革新が進む前の世の中は、「生産性」や「効率化」を推し進めるのが先決で、「大量生産」することを第一に発展してきました。今ほど一つの商品に対してバリエーションが多いわけではなく、競合と差別化をする必要もさほどありませんでした。
時が進み、大量生産・大量消費の時代が一段落した現在。消費者のものを選ぶ目線は、より一層シビアに、目に見えないものにも価値を見出すようになってきています。
そのような時流の中、広告戦略で重要視されるようになったのが「ブランディング」です。ブランド自体がもつ、目には見えないイメージや思いを消費者に発信し、ブランドの価値を定着化し顧客を掴んでいくブランディングには、ブランドのイメージを可視化するデザインの力が欠かせません。
そして、デザインを可視化するためには、ブランドの意志や使命、消費者にもってもらいたいイメージを洗い出し、言葉にする「コンセプト」が必要です。コンセプトを明確にするには、ブランドについてよく分析し、競合の動向も視野に入れた上で独自性のある特徴を挙げていくことが有効です。
●ブランドの信念
●ブランドが生まれた背景
●競合にはない特徴と優位点
●ブランドを形容する3つの言葉
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上記のようにブランドの性格について掘り下げていき、紙などに思いつくままブランドのイメージを書きつづる「コンセプトシート」の作成を行うと、より理解が深まり、デザインに移行しやすくなります。また、複数人数で共有することも可能になるため、様々な視点でコンセプトを検討することができます。
ターゲット目線で考えるデザインのヒント
コンセプトを立てるのと同じように大切なのが、ターゲットの設定です。
ブランドのターゲットとする層の、性別・年齢・ライフスタイルを想定することで、デザインのテイストや方向性が定まります。
次に、どのようなデザインテイストが目指している方向性に近いのか、既存の印刷物やweb上の画像などを集めてムードボードを制作しましょう。この際、できればターゲットの人物像に近い人にも参加してもらい、デザインの趣向性について意見をもらうと、より実地的なブレインストーミングになるでしょう。
紙やボードに切り抜きなどを集めて貼るムードボードが基本ですが、web上で作業するならPinterest等を使うのもおすすめです。ボードを共有すれば、離れた相手やデザインの依頼先ともイメージを共有することができます。
ロゴをデザインする前に気をつけたいポイント
ムードボードでデザインの方向性をある程度絞り込んだら、次はコンセプトシートに沿ってラフスケッチをはじめます。コンセプトに形を与えるように、閃くままスケッチブックにロゴの元となるデザインを自由に描いてみましょう。
一見徒労に思える作業ですが、このアイデアスケッチがもっとも大切な作業といっても過言ではありません。何十個ものアイデアをひねり出し、コンセプトとデザインの方向性に合った候補案を数個に絞り、パソコンなどを使い完成形に近い形にブラッシュアップしていきます。
ここで留意しなくてはならないのは、ロゴデザインは、他のデザインと異なり、厳選されたイメージを見る人に簡潔に伝えなければならないということ。以下のポイントに気をつけてコンセプトを具現化していきましょう。
メッセージを絞り込む
ブランドを代表するビジュアルとなると、いくつものメッセージを伝えたくなりますが、詰め込み過ぎはNG。情報が多ければ多い程、一つひとつのインパクトは薄まり、受け取る側にとっては「何を伝えたいのかわからない」デザインになってしまう危険性があります。デザインに反映させたい情報は精査し、「伝わる」デザインを目指しましょう。
類似したデザインがないか確認する
さまざまな資料を見ながらデザインすると、知らず知らずのうちに、「どこかで見たことのあるデザイン」になりがちです。良く使われるモチーフを使う場合は特に注意し、候補案ができた時点で類似したロゴマークがないか確認しましょう。しかし、世界中のデザインを調べることは不可能ですから、例えば実際にトラブルになる可能性が想定されるような、競合他社とのあからさまな類似がないか?などを最低限押さえていくのが良いでしょう。
汎用性の高いデザインを心掛ける
最近では、webやSNSを駆使した広告戦略が一般的。ロゴをデザインする際も、どのような媒体であっても汎用できるデザインであるかどうかを意識して制作するのがポイントです。拡大や縮小はもちろん、どのような場面で見られてもブランドが判別できるよう、時には横から見たり裏から見てみたり、さまざまなシチュエーションでの視認性のテストをしておきましょう。
時代を超越するタイムレスなデザインを
ロゴマークは一度制作したら、長い期間に渡って使われます。デザイントレンドの流行り廃りに流されない、時代を超越したデザインでなければすぐにリニューアルを考えなくてはならなくなるでしょう。
しかしその反面、長い歴史を持つ一流ブランドは、時代に合わせロゴデザインをアップデートしています。「変わらない部分」と「変えていく部分」を見極め、コンセプトを曲げずに変化していく柔軟さもロゴには求められます。
まとめ
デザインの元となるコンセプトは、ロゴを通して消費者へ伝えるメッセージに他なりません。単に、ブランドの目印というだけなら名称をパソコンで打ったり、頭文字を丸や四角で囲めばそれで用は足りるのかもしれません。しかし、選ばれるブランドになるには、消費者に「いい感じ」と思ってもらえるようなアイコンである必要があります。
ロゴを形作るコンセプトは、送り手の想いと受け取り側のイメージを重ね合わせたもの。
具体的なデザインに掛かる前に十分に検討し、ブランドの顔に相応しいロゴマーク作りのベースを作り上げましょう。
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