気鋭の若手ピアニストによるコンサートの、エッジの効いたチラシデザインです。
若手ピアニストによるリサイタルの独特とも言えるテイストのチラシを制作しました。当初の要望から、いわゆるクラシックコンサートらしいデザインにはして欲しく無いとの要望があったので、彼の才能やエネルギー・強い意思を感じさせるようなチラシに仕上げました。
光と影のダイナミズム – アーティストの魅力を際立たせるビジュアル
このチラシは、ピアノリサイタルをドラマティックにアピールしています。アーティストの力強いポートレートに、ダイナミックなピンクの光が重ねられ、その音楽が持つエネルギーと情熱を象徴しています。背景の天体イメージは、演奏される音楽の広がりと深さを暗示し、観客の想像力を刺激します。
演奏会のエッセンスを綴るタイポグラフィ
イベントのタイトルは大胆に表現され、リサイタルの前衛的な性質を前面に押し出しています。コンサートの日時や会場の詳細は読みやすく配置され、予定を立てる利用者にとっての利便性を考慮しています。チラシは、演奏曲目の一覧も提供し、音楽愛好家に対して期待感を抱かせます。
デザイナーの振り返り
■ 若い彼にしか無いであろうパワーやセンスは、時に年配・ベテラン奏者にとっては脅威であるのではないかと思います。そんな迫力が伝わるようなチラシになるよう心がけて制作しました。
■ 奏者の持つスタイリッシュな雰囲気を無駄にしてしまわないように、全体的な色合いは比較的抑え、やや暗めとも言える紙面に仕上げています。タイトル周りのライティングが映える構成になっており、自然と中心に目が行きます。
■ チラシ裏面は演奏者の情報を網羅しており、会場情報も掲載されているため、コンサート当日まで取って置くと便利な仕様になっています。
チラシの作成やデザインなどの作業において最も大切なポイント
依頼主の要望を反映するアプローチ
チラシの作成やデザインなどの作業において最も大切なポイントとは、「チラシの依頼主の要望をどのようにして反映させるか」です。そのために絶対に欠かせないことは、先ず第一にコンセプトを明確にしておくことです。コンセプトとは、概念あるいは構想という意味です。要するに、それを通して何を伝えたいのか、そのテーマをしっかりと組み立てておくことが大切です。
チラシデザインの基盤となるアイデア
たとえば小学生のピアノリサイタルのチラシを作成する際、もしも依頼主から「子供らしい可愛らしさを前面に押し出してもらいたい」との要望があれば、それをメインにしたデザインにするのは当たり前です。ただし問題なのは、「それでは具体的にどうやって可愛らしさをデザインするのか」ということです。そのために重要となるのが、コンセプトです。この場合、一例を挙げるなら、「ピアノの鍵盤の上に添えられた子供の小さな指をアップにしたメインフォトを用いて、可愛らしい子供によるピアノリサイタルである点を強調したい」という意図でデザインを展開するなら、その意図こそがコンセプトになるのです。
デザインの三要素の組み合わせ
チラシデザインにおいては、コンセプトが重要です。たとえどんなに一生懸命頑張って作ったとしても、それは味付けを一切しないで料理を作るようなものです。ちなみにデザインの三要素には、コピーと写真(またはイラスト)とレイアウトの三つがあります。それら三つを組み合わせることで、良いビジュアルが仕上ります。そこにコンセプトが加われば、より良いデザインが生まれると言えます。
制作フライヤー・チラシデザインに対する感想
VOICE ※第三者による感想です
実験的なデザイナーの遊び心を感じるチラシですね。
第一印象としてこのチラシデザインを見ると、極めて実験的な試みを行ってると感じました。縦に貫く人物像を使い、夕景をがバックにやや暗いコントラストに対し、鋭い逆三角形の強い形状の強さ、あえて背景画像にハレーションに色みを乗せた感じや、複雑な暗めのピンク模様が、画像を横断する位置で配置されています。しかし、全体的にカラーバランスが崩れていないのは、背景の加工されたカラーとトライアングルの配色との結びつきに、この模様が絶妙に絡んで関連性を保ち、人物をまるで包むように構成されているからだろうと思います。
加えて、日付の左上の配置は、流れが正方形の枠を感じさせながら、「SAT.」で右に流れ、「第22回朝日音楽現代音楽賞~」の縦の文字へつないで、その流れが人物の画像と強い関連を感じさせる効果が感じられます。「プレイガイド」のやや弱いフォントの強さは、役割とはこの程度で良いのですが、紙面全体では縦文字からの流れで、「2013」の左上の日付と呼応した相対的な位置関係にあり、四隅の要素が、人物を中心に回転するような視線の動きを感じさせてくれます。非常に強い色彩を使いながらも、構成としてバランスは動きをレイアウトで加えてあり、人物も下半分をコントラストと黒みをつぶしてディティールを弱めるなど、タイトルのの文字とその形状を強める効果を発揮していますね。
チラシ裏面は本当に解説然とした内容ですが、人物画像は表面のイメージにちゃんと合わせてあり、メインとなる主役アーティストの紹介とその他で、各コンポーサーとの違いを明確にしてあり、表紙とその内容といった区別が、このチラシではきちんと表裏でその役割を変えてあります。裏面の横と縦2つで構成されたカラム的なレイアウトは、こうした役割さえ明確ならば、表面での視覚的効果が強ければ、自然と裏面は説明に終始しても、広告としての効果は強いでしょう。裏面は余計罫線がなく、段落のボリュームと3つの配置でまとめたのが、非常に落ち着いてピアノリサイタルのイメージを集約しているように感じます。
VOICE ※第三者による感想です
ピアニストの立ち姿がメインのデザインとはユニークだと思いました。
ピアノと言えば発表会がよく知られていますが、発表会と言えば小学生などの小さな子供が大勢の人の前で行うというイメージが強いでしょう。しかし、大人のピアニストが大きな会場でピアノの演奏を行う場合には、リサイタルなどということが多いでしょう。そんなピアノのリサイタルを宣伝するためにも、チラシデザインは用いられているのです。
この場合には、誰が演奏をするのか一目でわかるように、ピアニストの全身の写真が大きく載せられています。背景は曇っている空になっていますが、普通の曇り空ではなく、力が溢れ出しているかのような感じです。かなりエネルギーを感じるようなイメージで作られており、その分インパクトがしっかりと出ています。裏面はピアニストの紹介と、アクセス方法などが記載されている一般的な方法ですが、重要なのは表面を見て興味を持ってもらうことでしょう。興味を持った人が裏面を見て、詳しい内容を知るというのを目的に作成されているので、基本に忠実なチラシの作成方法ではないでしょうか。
※掲載しているフライヤーデザインサンプル・モックアップはイメージです。実際の用途・サイズ・仕上がりとは異なる場合がございます。