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デザインのアイデアの種

アイデアを引き出すには?デザインの種はクライアントの些細な言葉の中に

デザイナーとして仕事をしていると、よくこんな経験をします。クライアントとの打ち合わせやヒアリングで、「特に希望はありません」「お任せします」といった言葉をいただくことがありますよね。でも、よくよく聞いてみると、実はわずかながらも方向性があったりするんですよね。

お客様側からすると「え、こんなのでいいの?」と思うような些細な情報かもしれません。でも、僕たちデザイナーにとっては、それがデザインを制作する上で重要な足がかりになることが少なくありません。

今回は、このちょっとした言葉のやり取りが、いかにデザインプロセスに影響を与えるか、そしてそれをどう活かせばいいのか、考えてみたいと思います。

 

「お任せします」の裏側にあるもの

クライアントのミーティング

「お任せします」。この言葉、一見するとデザイナーに全てを委ねているように聞こえますよね。確かに、クライアントの方々は私たちのプロとしての腕前を信頼して、こう言ってくださっているのでしょう。

ただ、この言葉の裏側には、実はいろいろな思いが隠れていることがあります。例えば…

  • 自分の思いをうまく言葉にできない
  •  具体的なイメージはないけれど、漠然としたものはある
  • プロの意見を尊重したい
  • 自分の意見が邪魔になるのではないか…と遠慮している

こういった様々な理由が、「お任せします」という言葉の裏に隠れているかもしれません。

 

些細な言葉から見えてくるもの

考えるデザイナー

ここで大切なのは、その「お任せします」という言葉で終わらせないことです。少し掘り下げて聞いてみると、意外な発見があるものです。

「色は特に指定はありませんが、明るい感じがいいですね」

「フォントは何でもいいですけど、あまり固すぎないほうが…」

「ロゴの形は自由ですが、丸みがあるとうちの雰囲気に合うかも」

こういった何気ない一言が、実はデザインの方向性を大きく左右することがあるんです。

 

デザイナーの視点から見た、些細な情報の重要性

考えるデザイナー

私たちデザイナーにとって、こういった一見些細に思える情報が、実は宝の山なんです。

クライアントの潜在的なニーズを探る手がかりになる

直接的な要望ではなくても、好みや価値観が垣間見えることがあります。

ブランドの本質を掴むヒントになる

言葉の端々に、その企業や商品が大切にしているものが表れることも。

デザインの方向性を絞り込む助けになる

無限の可能性の中から、焦点を絞るきっかけになります。

クライアントとの共通言語を見つける機会になる

何気ない言葉のやり取りから、コミュニケーションの糸口が見つかることも。

 

クライアントの言葉を引き出すコツ

デザインの商談

では、クライアントからこういった言葉を引き出すには、どうすればいいでしょうか?いくつかのコツをご紹介します。

開かれた質問を投げかける

「はい」「いいえ」で答えられる質問ではなく、「どんな印象を持ってほしいですか?」といった、自由に答えられる質問をしましょう。

具体例を示す

「例えば、こういったデザインはいかがでしょうか?」と、いくつかのサンプルを見せるのも効果的です。

日常的な話題から広げる

「普段から好きな色はありますか?」といった、デザインに直接関係ない質問から始めるのも一つの手です。

感情を引き出す

「このデザインを見て、どんな気持ちになりますか?」といった、感情に訴えかける質問も有効です。

沈黙を恐れない

質問の後、少し間を置くことで、クライアントが考える時間を与えることができます。

 

些細な情報をデザインに活かす

デザインのヒント

クライアントから些細な情報を引き出せたとして、それをどうデザインに活かせばいいのでしょうか?

キーワードの抽出

会話の中から重要そうな言葉をピックアップし、それをデザインのコンセプトに反映させる。

イメージボードの作成

聞き取った情報をもとに、イメージボードを作成し、方向性を確認する。

複数の案の提示

聞き取った情報をもとに、いくつかのバリエーションを作成し、クライアントの反応を見る。

ストーリーの構築

些細な情報をつなぎ合わせて、ブランドやプロダクトのストーリーを作り、それをデザインに反映させる。

 

クライアントとデザイナーの協働

デザイナーとクライアント

最後に、この些細な情報のやり取りが、クライアントとデザイナーの関係にもたらす影響について考えてみましょう。

実は、こういった細やかなコミュニケーションは、単にデザインの質を高めるだけでなく、クライアントとデザイナーの信頼関係を築く上でも重要な役割を果たします。

クライアントは、自分の些細な言葉がデザインに反映されているのを見て、「しっかり話を聞いてもらえた」という満足感を得ることができます。一方、デザイナーは、クライアントの潜在的なニーズを汲み取ることで、より的確なデザインを提案できるようになります。

このように、些細な言葉のやり取りは、お互いの理解を深め、より良い協働関係を築く基礎となります。

 

おわりに

アイデアの種

「お任せします」という言葉の向こうには、実はデザインの種が隠れています。その種を見つけ、育てていくのが、私たちデザイナーの腕の見せどころなのかもしれません。

些細な言葉に耳を傾け、そこからデザインのヒントを見出す。そして、それをクライアントと共に育てていく。そんなプロセスを大切にすることで、きっとより素晴らしいデザインが生まれるはずです。

皆さんも、日々のコミュニケーションの中に隠れた「デザインの種」を、ぜひ探してみてください。

 

よくよく聞いてみると、わずかな方向性があったりするんですよね。 お客様にとっては、「え、こんなのでいいの?」という些細な情報かもしれませんが、私たちデザイナーにとっては、それがデザインを制作する上で重要な足がかりになることもしばしばです。/span>

X (Twitter) – Sep 15, 2019



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グラフィックデザインを中心とした小さなデザイン事務所を経営しています。スタッフや外部のデザイナーさん・ライターさんに助けられながら、コツコツと地道に仕事をする日々が気に入っています。パッケージメーカーのデザイナーとして新卒入社→美容系のベンチャーに転職→家庭用品メーカーに転職...という流れを経て、その後独立しました。フリーランスデザイナーとして、10年以上の経験から学んだことや雑記をブログにしています。情報発信が趣味に近く、それが興じてPhotoshop関連の本を出版したり、noteを執筆したりしています。