
「上手い」だけが正義じゃない。僕がデザイナーより「事業者」として評価されたい理由
突然ですが、僕は自分のことを「デザイナーとして普通だな」と思っています。もちろん、プロとしてお仕事をさせていただいている以上、一定レベルのスキルや知識は持っているつもりです。でも、世の中には息をのむほど美しいデザインを生み出す人や、革新的なアイデアを次々と形にする人がたくさんいます。正直、そういう方々と比べると、僕のデザインスキルは突出しているわけではない。周りのデザイナー仲間も、きっと僕のことを「まあ、普通だよね」くらいに思っているんじゃないかな…なんて感じることもあります。
でも、面白いことに、そんな「普通」の僕でも、デザインを通じてしっかり収益を得て、ビジネスとして成り立たせることができています。これって、すごく興味深いことだと思いませんか?
今日は、スキルが平凡でもビジネスとして戦える面白さと、僕がなぜ単なる「上手いデザイナー」としてよりも、「事業を推進するパートナー」として評価されたいのか、その理由についてお話ししてみたいと思います。
スキルだけじゃない、「ビジネス」という名の総合格闘技
デザインの世界って、どうしても「センス」や「技術力」といったスキル面に目が行きがちです。もちろん、それらが重要なのは言うまでもありません。良いデザインは、見た目の美しさだけでなく、使いやすさや情報の伝わりやすさといった機能性も兼ね備えている必要がありますから。
でも、実際の仕事の現場では、スキルと同じくらい、いや、もしかしたらそれ以上に大切な要素がたくさんあると感じています。
例えば、
- お客さんの話をじっくり聞く力(ヒアリング力):本当は何に困っていて、何を解決したいのか。表面的な要望の奥にある本質的な課題を見抜く力。
- 課題解決のための道筋を描く力(提案力):デザインを通じて、お客さんの課題をどう解決できるのか。具体的なプランを立てて、わかりやすく説明する力。
- 円滑なコミュニケーション能力:お客さんやチームメンバーと、スムーズに意思疎通を図り、プロジェクトを前に進める力。
- 納期や予算を守る力(プロジェクト管理能力):どんなに素晴らしいデザインでも、約束を守れなければ信頼は得られません。
これらって、純粋なデザインスキルとは少し違いますよね。どちらかというと、「ビジネススキル」に近いものかもしれません。
僕が「ビジネスは面白い」と感じるのは、まさにこの点です。突出したデザインスキルがなくても、知恵を絞り、工夫を凝らし、そして自分の価値を効果的に「魅せる」ことで、お客さんに選ばれ、貢献することができる。まるで、様々な武器を駆使して戦う総合格闘技みたいだな…なんて思っています。
例えば、お客さんの業界について事前に徹底的にリサーチしたり、複数のデザイン案を用意してそれぞれのメリット・デメリットを丁寧に説明したり、納品後も「何か困ったことはありませんか?」とフォローしたり。一つひとつは地味なことかもしれませんが、こういう積み重ねが、スキルだけでは測れない価値を生み出すのだと信じています。
なぜ「事業者」として評価される方が嬉しいのか?
もちろん、自分の作ったデザインを「いいね!」と褒めてもらえるのは、デザイナーとして素直に嬉しいです。でも、それ以上に僕が喜びを感じるのは、「〇〇さんにお願いして良かったよ」「おかげで売上が上がったよ」「問い合わせが増えたんだ」といった、ビジネスへの貢献に対する評価をいただけたときです。
なぜなら、それは僕が単なる「作業者」ではなく、お客さんの「事業を一緒に前に進めるパートナー」として認められた証だと感じるからです。
ここで、ちょっと飲食店の話をさせてください。
誰もが知っている超有名店や、ミシュランの星付きレストランが、必ずしもすべての人にとって「一番のお店」とは限りませんよね。
「家から近くて、気軽に立ち寄れる雰囲気が好き」
「店主の人柄が良くて、いつも元気をもらえる」
「値段は手頃なのに、すごく満足感がある」
「アレルギーに細かく対応してくれるから安心」
こんなふうに、味(スキル)が最高峰でなくても、居心地の良さや、ホスピタリティ、コストパフォーマンス、特定のニーズへの対応といった、様々な要素が組み合わさって、「自分にとって一番のお店」になることがあります。
デザインの仕事も、これと似ていると思うんです。
もちろん、「とにかく最高にカッコいいデザインを作ってほしい!」というお客さんもいます。でも、それと同じくらい、「こちらの意図をしっかり汲み取って、形にしてほしい」「ビジネスの成果につながるデザインを提案してほしい」「安心してプロジェクトを任せられる人がいい」といったニーズも確実に存在します。
僕が目指しているのは、後者のようなお客さんにとっての「頼れるパートナー」になることです。デザインスキルは、そのための武器の一つではあるけれど、それが全てではない。お客さんの課題に真摯に向き合い、ビジネスの成功に貢献すること。それこそが、僕がこの仕事を通じて実現したい価値であり、喜びを感じるポイントなのです。
だから、僕は「すごいデザイナーですね!」と言われることよりも、「〇〇さんは、頼りになるビジネスパートナーですね!」と評価される方が、ずっと嬉しいと感じます。
「普通」だからこそ、できること
もし、この記事を読んでくれている方の中に、「自分には特別な才能なんてないし…」と感じているデザイナーさんやクリエイターさんがいたら、伝えたいことがあります。
スキルを磨き続けることは、もちろん大切です。でも、それと同じくらい、お客さんの課題に寄り添い、ビジネスの視点を持って仕事をすることにも、大きな価値があります。
むしろ、「自分は普通だ」という自覚があるからこそ、驕ることなく、お客さんの声に謙虚に耳を傾けられたり、スキル以外の部分で価値を提供しようと努力できたりするのかもしれません。
突出したスキルがなくても、知恵と工夫、そして相手を思う気持ちがあれば、ビジネスの世界で十分に戦っていける。そして、そのプロセスは、スキルを極めるのとはまた違った面白さに満ちています。
僕自身、まだまだ道半ばですが、これからも「事業者」としての視点を大切にしながら、デザインの仕事を楽しんでいきたいと思っています。
僕はデザイナーとしては普通です。周囲のデザイナーも、僕を大したことないと評価していると思います。 ただ、それでも収益を得る形にできるのが “ビジネス” の面白いところ。知恵と工夫と魅せ方で戦える。 なので、事業者として評価される方が嬉しいです。美味い店=No.1 では必ずしもありません。
X (Twitter) – Jun 29, 2018