
「ズボラ」を楽しもう──『#ズボラPhotoshop』が生まれた理由
僕はこれまでさまざまなクリエイティブ関連の書籍を読んできましたが、ひとつ大きな気づきがありました。それは、「丁寧に学べる良書はたくさんあっても、ズボラでも気軽に始められる本って案外少ない」ということです。そこで、自分の経験を活かして「短時間で試せて、楽しさが先に立つようなPhotoshopレシピ集」を作ろうと考えました。それが『#ズボラPhotoshop』という書籍のはじまりです。なぜ「ズボラ」をテーマにしたのか、その背景や魅力をお伝えします。
ズボラなアプローチが目指したもの
敷居の低さが大事
Photoshopと聞くと、プロが使う高機能なツールというイメージが強いかもしれません。確かに機能が豊富で、専門的な知識がないと使いこなせない印象を持たれがちです。でも、本当にそうでしょうか。Photoshopには確かに多くの機能がありますが、すべてを覚える必要はありません。むしろ最初からすべてを理解するのは難しいし、時間もかかります。
僕が『#ズボラPhotoshop』で目指したのは、「とにかく試してみる」敷居の低さです。短いプロセスでパッとやってみると、意外と面白い表現ができたり、思わぬアイデアが浮かんだりします。高度な知識がなくても、ほんの少しのステップを踏むだけで「こんなことができるんだ!」と感動できる経験は大切です。その小さな成功体験を重ねることで、最終的にPhotoshopの広い世界を探検できるようになると思っています。
エラーも気軽に受け止めたい
ズボラなレシピにすることで、一回失敗しても「ま、いっか」と気楽に再トライできるのが大きな魅力です。Photoshopは基本的に作業履歴を戻す機能や、別のレイヤーを重ねて修正する仕組みがあるため、間違えたとしても簡単にやり直せます。ちょっとした手順を踏むだけで修正が効くので、「失敗を恐れず、気軽にアレンジしてみよう」という気持ちが持ちやすいんです。
僕自身、複雑な手順や厳密なルールに縛られるのが苦手で、気楽に遊ぶように作業したいときがあります。そんなときに「ズボラだけど結果は楽しい」アプローチはピッタリでした。
短時間レシピだからこそ生まれるメリット
時間がない人でも挑戦しやすい
今の時代、デザイン作業に何時間もかけられる人はそう多くありません。仕事やプライベートに追われる日々では、空き時間は貴重な宝物です。だからこそ、『#ズボラPhotoshop』では短時間のうちに成果物を作れるレシピをたくさん用意しました。
「ちょっとだけPhotoshopをいじってみたい」という人や、アイデアが浮かんだときにサクッと試してみたい人にとって、短時間レシピはハードルが低いはずです。結果として「やってみよう」という気持ちを後押ししてくれるはずだと考えています。
簡単なプロセス=アレンジのしやすさ
プロセスが少なければ少ないほど、アレンジを加える余地が生まれます。複雑な手順だと、途中のどこを変えればいいか分からず、応用がしづらいものです。しかし、シンプルな流れなら「このステップで色を変えてみよう」「このタイミングで文字を追加してみよう」など、自由にカスタマイズしやすいです。これが「遊び心」を育てる一歩にもなります。最初はレシピ通りに作業していた人が、気がつけば自分なりのスパイスを加えて新しい作品を作り始める。そんな展開が増えていくと、「デザインって面白いな」と実感してもらえるのではないでしょうか。
まずはやってみる楽しさを大切に
完成形をイメージしすぎない
プロの現場ではクオリティや納期が求められるため、どうしてもストイックなアプローチが必要です。でも、それが初心者や趣味でデザインを楽しみたい人にとっては、ハードルを高く感じる要因になりがちです。
僕が「ズボラ」を推しているのは、完成形のイメージを厳密に設定しすぎないことを勧めたいからでもあります。もちろん、ある程度の目標はあったほうがいいですが、作っていくうちに「こんな表現もありじゃない?」と寄り道したくなる瞬間が出てくる。その寄り道が新しい発見を連れてくることも多いんです。まるで散歩の途中で見つけた小さなカフェにふらっと入ってみたら、おいしいコーヒーに出会えたような楽しさですね。
まずは完成させる喜び
何事も最初から完璧を求めると辛くなってしまいます。とりあえず最後までやってみて、多少不満があっても一つ形にしてみる。すると「もう一回やってみようかな」「ここをちょっと変えたらもっとよくなるかも」と思えるようになります。これってデザインに限らず、あらゆる創作に通じる原動力だと僕は思います。
「ズボラだけどとりあえず作ってみる」を推奨する理由は、完成したものを自分の目で見て初めて感じる喜びや達成感を大切にしたいからです。小さな成功がモチベーションを生む、そして次へのステップにつながっていく。そんなサイクルを作っていきたいんです。
世の中には「ズボラ」じゃない良書は既にたくさんある
Photoshopの解説本やデザイン書籍は山ほどあります。中にはプロセスを丁寧に解説して、しっかりとスキルアップできる良書も非常に多いです。そういう本には、それらの素晴らしさがあります。ただ、どれだけわかりやすい良書でも、ボリュームがあると最初のページを開く段階で「ちょっと面倒…」と感じてしまうことがあるかもしれません。
『#ズボラPhotoshop』は、そんな「とりあえずやってみる」段階の人向けの本として位置づけています。すでに高度なテクニックを持っている人や、がっつり勉強したいという人には物足りないかもしれません。でも、デザインに興味はあるけれど、本腰を入れるほど時間も気力もない…という人の背中を押したい。そんな思いがあるんです。
もちろん、『#ズボラPhotoshop』で楽しんだ後に、もっと真面目で詳しい本や、より専門的なセミナーに進んでいくのもアリです。僕は、ひとつのきっかけとして、ズボラでもOKなPhotoshopレシピがあるといいんじゃないかなと思っています。
おわりに
『#ズボラPhotoshop』で提案したかったのは、「まずは気軽にやってみよう」という姿勢です。短いプロセスでも、失敗を恐れずに再チャレンジできる環境をつくることで、デザインをより身近に感じられるはずです。ズボラだからこそ生まれる自由さや遊び心の大切さを感じて、Photoshopの世界に飛び込んでみてください。
そして、作品がひとつ完成したら、その喜びを味わってみましょう。自分なりにアレンジしたり、ほかの作品を見てさらにインスピレーションを得たりすることで、次へのモチベーションが自然と湧いてきます。これをきっかけに、デザインの楽しさを大いに満喫してもらえたら嬉しいです。