私たちの多くは、「企業理念」や「クレド」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。しかし、単なる飾り文句として壁に貼られているだけのものと、組織の隅々まで浸透し、従業員の行動指針として息づいているものとでは、その効果に雲泥の差があります。
今回は、なぜあるクレドは人々の心を揺さぶり、強い企業文化を築けるのか、その本質に迫ってみたいと思います。
クレドとは何か?その本質的な意味を探る
クレドとは、ラテン語で「信じる」を意味する言葉です。単なる経営理念や行動指針以上の、その企業が深く信じる価値観や約束事を表現したものといえます。
優れたクレドの特徴は、論理的な説明や抽象的な概念の羅列ではなく、人の心に直接訴えかける力を持っていることです。それは、私たちが大切にしている価値観や、目指したい理想の姿と共鳴するものでなければなりません。
感情を動かすクレドの3つの要素
1. 物語性
人は物語を通じて感情を動かされます。創業時の志や理念、組織が大切にしてきた価値観、乗り越えてきた困難など、組織の歩みを物語として紡ぐことで、クレドは生きた言葉となります。
抽象的な理念を、具体的な行動や価値観として示すことで、従業員一人一人の心に響く言葉となるのです。
2. 共感性
優れたクレドは、従業員一人一人が「そうありたい」と思える理想を示します。それは単なる業務目標ではなく、人として共感できる価値観や理想を含んでいます。
社会や人々の暮らしへの貢献、未来への展望など、個人の仕事の意義を見出せる大きな視点を提示することで、日々の業務に深い意味を見出すきっかけとなります。
3. 具体性
感情を動かすクレドは、抽象的な表現だけでなく、具体的な行動指針も示します。理念を日々の行動レベルまで落とし込むことで、従業員が実践できる明確な指針となります。
実践:感動を呼ぶクレドの作り方
従業員の声を聴く
クレドは経営陣だけで作るものではありません。現場の従業員の声を丁寧に拾い上げ、彼らが大切にしている価値観や、誇りに思っている仕事の側面を理解することが重要です。
理念は上から押し付けるものではなく、組織全体で共有し、育んでいくものだからです。
言葉の選び方を工夫する
硬い表現や企業用語を避け、心に響く言葉を選びましょう。形式的な表現ではなく、情感のこもった言葉を使うことで、より深く心に届くメッセージとなります。
価値観を明確にする
組織が大切にする価値観を、曖昧さを排除して明確に示します。抽象的な美辞麗句ではなく、組織の本質的な信念や価値観を率直に表現することが重要です。
クレドを組織に浸透させる方法
1. 日常的な対話の中で活かす
クレドは掲示するだけでは意味がありません。朝礼や会議で定期的に取り上げ、具体的な行動との結びつきを話し合うことが大切です。日々の業務の中で、クレドの価値観がどのように実践されているかを共有し、理解を深めていきます。
2. 評価制度との連動
クレドの価値観を体現した行動を積極的に評価する仕組みを作ることで、組織全体への浸透を図ります。形だけの評価ではなく、真にクレドの精神を実践している行動を認め、称えることが重要です。
3. 人材育成への組み込み
採用から研修まで、一貫してクレドの価値観を伝え、理解を深める機会を設けます。形式的な暗記ではなく、対話を通じて本質的な理解を促すことが大切です。
おわりに
感情を動かすクレドは、企業の羅針盤となります。それは単なる言葉の集まりではなく、組織の魂であり、従業員の誇りの源となるものです。
優れたクレドを作るには時間と努力が必要ですが、それは必ず組織の力となって返ってきます。従業員の心に響き、顧客にも感動を与えるクレドづくりに、ぜひ挑戦してみてください。
そして何より大切なのは、クレドを生きた言葉として育て続けることです。時代とともに変化する環境の中で、常に組織の価値観を問い直し、より深い意味を見出していく。そうした不断の努力が、真に心を動かすクレドを育む土壌となるのです。
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