2024年のロゴデザインは、これまでにない実験的なアプローチで進化を遂げています。今年のトレンドは、ロゴがボックス化されたり、角が切り落とされたり、ピクセルで表現されたり、液状化したり、ステッカー風に仕上げられたりと、多様な形態が登場しています。デザイナーたちは従来の枠にとらわれず、常に新しい表現方法を模索し、ブランドのアイデンティティをより豊かに、そしてダイナミックに表現しています。
ロゴデザインに特化したコミュニティ&ニュースサイト「LogoLounge」には世界中のデザイナーから毎年多くのロゴが投稿されており、LogoLongeのスタッフはそれらの情報を分析することで、毎年フレッシュなロゴのトレンドレポートを発信しています。今回は、そんなLogoLungeから最新情報【2022年のロゴデザインのトレンド】を紹介します。本年度も丁寧にロゴレポートをまとめていただいた代表のBill Gardner 氏とスタッフの皆様に感謝です。(Thank you Bill and LogoLounge crew !! )※翻訳・編集・掲載許可をいただいています。
■2023年のロゴトレンドはこちら
2024年 ロゴデザインのトレンドレポート
■はじめに
今年見直したロゴ選定を振り返ると、これからの方向性を占うような気持ちで考えることがあります。
決して一直線な道ではありません。むしろ、デザイナーたちが手がかりを探して各地を回る宝探しのようなものです。伝統的なロゴの概念はここ数年で大きく変わり、以前は視覚的ブランドの中心だったロゴが、今では他のグラフィック要素に後れを取ることも珍しくなくなっています。
ワードマークの台頭
たとえば、最近ではロゴよりもワードマーク(文字のみのロゴ)での視覚的な実験が盛んです。会社によっては、自分たちを定義するための別個のロゴを持つことに価値を感じなくなっています。名前が読めれば、ロゴなんて必要ない、という考えです。
ロゴと他の視覚要素の関係性
もしブランドの共鳴や忠誠を他の視覚的要素に依存するのであれば、それも受け入れるしかありません。ロゴそのものが、周りのコンテキスト、例えばパターンやテクスチャー、アニメーション、色などの方が目立つことも多いです。結局のところ、私たちの目的はクライアントの目的と一致しており、共鳴や忠誠を他の視覚要素に頼る必要があるなら、それを受け入れるしかないのです。
グラデーションの進化とトレンド
最近では、グラデーションの進化が目を引きます。アニメーションによってこれらのグラデーションが動き、複数の色が有機的にブレンドされることで、静的なフォルムや色合いにぼんやりとした効果が生まれています。
形状変化とAIの役割
さらに、基本的なアイコンや文字形が様々なバリエーションに変形し続けるトレンドも見られます。AIがこれに関与しているのか、それとも意識的なデザインなのか、どちらにせよ可能性は無限大です。また、最近では機械的な形状から柔らかな、空気を含んだような丸みのある形状へとシフトする傾向も見られます。
オンラインで展開するロゴの特徴
現在、ほとんどのブランドがオンラインで展開しているため、RGBだけで作られたロゴも少なくありません。こうしたロゴはポスターやTシャツに印刷されることはないでしょう。デザイナーたちは技術を極限まで追求し、それが消費者の期待に応える結果となっています。
「カワイイ」文化の広がりとスマイリーロゴの進化
日本の「カワイイ」文化もまた、世界的に広がっており、ロゴに人間的な特徴を持たせて、文字通り笑顔を見せることが一般的になっています。ロゴ自体をキャラクター化する動きも見られ、ますます多様化しています。
新しい「g」の流行とダズル効果
また、今年は「g」という小文字が大活躍しました。デザイナーたちは、この文字のアセンダー(上に伸びる部分)を操作して個性を出すことが流行しています。星形の小さなクラスターが「ダズル」と呼ばれ、異なるサイズにスケールされた4つのポイントが集まって表現される現象も強まっています。
デザインの未来への挑戦
優れたデザイナーたちは、大胆に実験を繰り返しています。そして、次の大きな変化を求めているクライアントたちも、その新しい試みにチャレンジしています。市場が飽和状態に達すると、新しいデザインが求められるため、彼らは期待を超えるために従来の枠を超えた試みを行っています。
ロゴトレンドの観察と進化
毎年変化し続けるロゴのトレンドを観察するのは非常に興味深いものです。世界中のブランドの更新を見ていると、ロゴデザインがどんどん新しい次元へと進化していく様子がわかります。これからどんな方向に向かうのか、とても楽しみです。
ロゴデザインのトレンド1【フラットボックス】
錯覚の本質は、デザインの中でも最も壮大な成果の一つです。
例えば、トロンプ・ルイユの絵画のように、2Dの表面に3Dのイメージを忠実に再現して視覚を欺く技法がありますが、ロゴデザイナーたちも長年にわたって、この手法で消費者を魅了しようとしてきました。等角投影で描かれた3面の単純な立方体に、明暗のトーンを使って立体感を演出するというものです。このレポートでは、黒の中の黒、あるいはオレンジの中のオレンジといった、極限まで単一色で描かれた立方体が、数多くのロゴで使用されています。ハイライトや影、その他の立体感を示す手がかりを隠すことで、デザインがシンプルになっています。
立方体や押し出し成形された立体的な形状は、しばしば文字を適切な面に配置することで視覚的な指針やコンテキストを提供し、観る者にとって理解しやすいものにしています。
トレド美術館(Toledo Museum of Art)のロゴ(画像左上)では、T、M、Aの文字を回転させて配置し、頭文字なしでは理解が難しい形を簡単に定義しています。このテーマをさらに発展させ、複数のシステムでは、ブランドの表現力を示すために、立方体やボックスが自由に伸びたり、形を変えたりするアニメーションを使用しています。
ロゴデザインのトレンド2【角落とし – コーナーカット】
デザインの観点から見ると、三角形のロゴは扱いにくいものです。
人間は本能的に、トゲや牙などの鋭利なものに対して嫌悪感を抱きます。デザイナーなら誰でも、一度はクライアントに三角形のデザインを提案し、その結果「尖っている」と指摘されて驚いた経験があるはずです。三角形は角が3つもあるのですから。しかし、今年のロゴには驚くことに、こうした三角形の尖った部分を取り除いて作られた「負の三角形」が多く登場しています。論理に反するようですが、これらの欠けた角には、恐怖心を超える別の目的があるのです。
時には、この削り取られた角が、鋭さを和らげたり、尖った部分を取り除いたりしています。
頻繁に見られるのは、3Dオブジェクトの後退する角度を表現したり、光の当たる面に影を作り、空間を定義するために角を削り取るデザインです。
また、タイポグラフィにもこの手法が広がっており、単調なワードマークに個性を加えるために、文字の一部をあえて削ることが行われています。角ばった効果が強いため、太いストロークを持つロゴが人気で、これらは製造業、工業、テクノロジーなど、力強いイメージを求める分野で多く使われています。
ロゴデザインのトレンド3【楕円形デザイン】
楕円形は、常に円の影に隠れている存在として扱われがちです。
楕円を見ると、ついそれが円や球体の断面に過ぎないと考えがちですが、そうした従属的なイメージにもかかわらず、楕円形のロゴは視点を与えてくれる重要な要素です。楕円は、奥行きや連続性を生み出し、空間的な品質をもたらし、完璧な円では到底実現できないようなダイナミズムを演出します。さらに、複数の楕円が組み合わされることで、ブランドのストーリーを語る上で重要な動きや目標を表現する手助けをします。
楕円の連続は、ある物体の断面を示すことで、異なる視点からその存在を捉えたり、複数が一体となって全体を形成するアイデアを伝える手段となります。
音楽プラットフォームであるDeezerのロゴ(画像左上)では、楕円が音のイコライザーのデジタル表示を模倣しています。また、楕円の一連の形状は、回転や振り子のような動きを表現するのにも最適で、楕円の度合いが大きくなったり小さくなったりすることで動きを示します。たった一つの楕円であっても、穴、ポータル、軌道などを思い起こさせ、円形と似た役割を持ちつつも、より強い個性と場所感をもたらします。
ロゴデザインのトレンド4【ピクセルアートの復権】
一世代のビジュアルスタイルを定義した象徴的な8ビットのピクセルアートが、30年の眠りから目覚め、新たなエネルギーに満ちて再登場しています。デジタルデザインの黎明期には、ピクセル化されたバリエーションが市場に溢れ、特にテクノロジー関連のクライアント向けロゴに多用されたため、次第に「陳腐なもの」として扱われるようになり、業界内でのジョークのような存在になっていました。しかし、年月を経てその見方も和らぎ、今ではピクセルアートが再び注目されるようになっています。新しい世代が、RPGやインディー作品、見事なピクセルグリッドアートに魅了され、ロー・ファイな美学を楽しんでいるのです。ただし、復活には常に新しい要素が加わり、新しいキャラクターが待ち受けています。
現在のピクセルアートでは、ピクセルは主役というより脇役として使われることが多くなっています。
ワードマークにピクセルが取り入れられているものの、完全なレトロスタイルにはせず、ピクセルが伝統的なフォントと融合しています。昔のロゴは均一な四角形のグリッドで作られていましたが、今ではサイズの異なるピクセルを使い、拡大や縮小を取り入れることで、よりダイナミックなブランドストーリーを語るデザインも見られるようになっています。
ロゴデザインのトレンド5【ベルボトム状のフォント】
最近、ブランドデザインの世界では、セリフ体フォントとサンセリフ体フォントのどちらが人気かという議論が活発に行われています。
もちろん、どちらも消えることはなく、常にそれぞれの役割があるのですが、その中間に位置するセリフの足元が、最近特に注目されています。両者の支持者への配慮かもしれませんが、明確に定義されたセリフの代わりに、ベルボトムパンツのように裾が広がったデザインが取り入れられています。
太さが変化するラインストロークが、徐々に広がるセリフへとつながり、最終的にはどっしりとした太い部分で終わるというデザインです。一部には、ヌーヴォーデリック風の自由な精神を取り入れたデザインも見られます。
この共通の広がったベースは、さまざまな応用が可能で、派手なものから控えめなものまで柔軟に対応できる点が、このトレンドの魅力です。
このトレンドは、ここ数年のタイポグラフィにおけるアールヌーヴォーの影響の復活が背景にあります。このジャンルの特徴であるツルのような曲線的な太さの変化が主流ですが、ベルボトムのような広がった足元のデザインが、これからさらに独自の方向性を見せるかもしれません。
ロゴデザインのトレンド6【リキッドブリッジ】
ロゴの角を極端に丸めると、さまざまな印象を与えることができますが、「厳しい」や「攻撃的」という言葉は決して使われることはありません。
このロゴなら、廊下を走っても大丈夫です。誰もケガをすることはないでしょう。このトレンドに見られるロゴは、いくつかのパーツが粘着性のあるつながりで結びつけられたデザインです。マシュマロ?ガム?スライム?
要するに、尖った部分は一切なく、現代的な「つながり」を表現しているのです。
この美学は、要素をつなぎ合わせたり、角を丸めたりできるツールを使うプラットフォームから影響を受けています。
このテーマは、このレポートの中では最も明確に表現されていないかもしれませんが、ブランドの見方を根本的に変える可能性を秘めています。遠くにあるアイデアは明確ではないかもしれませんが、他者がやっていることに合わせる必要はありません。ここで繰り返し伝えたいメッセージは、「トレンドに従って何かを作るのではなく、その先を見据えて進むことが大切」ということです。これらのアイデアの軌道を見極め、それを自分の前に押し出してみましょう。そして、もしその先が暗く見えるなら、それはあなた自身がフォロワーのために道を照らす存在になるからです。
ロゴデザインのトレンド7【ミックススティック】
デザイナーがアイデンティティを明確にしようとする際、秩序への期待が伴います。
デジタルで完璧な円が作られたとき、それは無数の中のひとつに過ぎません。しかし、その同じ円が手書きで少し歪んでいたとしたら、なぜそのように描かれたのか疑問が生まれます。また、完璧な長方形がわずかに2度傾いて描かれたら、そのわずかなズレが、まるでテントの長い支柱のように目立つものです。消費者の感覚にとって、こうした不完全さは不快感を引き起こします。しかし、カオスの中にも秩序が存在します。
このトレンドに見られる「スティック」(直線)のロゴは、全てが完璧にまっすぐな線分で、もしそれらが平行に並べられていたら、誰も注目しないでしょう。
しかし、無秩序の中にも秩序が見出され、ランダムな小枝や漂流物で巣を作る鳥の巧みさに似たロゴが評価されます。
たとえば、The Nestのロゴや、オーストリアのスキー連盟の「A」のモノグラムが雪に刻まれたスキーの跡、あるいは最後の数本の美味しいフライドポテトのように。このように、シンプルな構造が少し歪んでいるだけで、その複雑さは増し、見る者の興味を引きます。線は、歪んだ街角や境界線、星座、遺伝子コードや化学式の略記、あるいは川を横切る線路などを表すことができ、自然や現実の時折見せるカオスを受け入れることで、そのブランドの物語に独自の「指紋」を刻むことができるのです。
ロゴデザインのトレンド8【笑顔 – スマイリー】
1963年の終わり頃、マサチューセッツ州ウースターにある保険会社では、緊張した合併後に士気が大きく低下していました。
それを解決しようと、新たに就任した広報部長のジョイ・ヤングは、Harvey Ball Advertisingにスケッチを持ち込みました。それは、ボタン用に描かれたシンプルな円形とU字型の笑顔でした。しかし、上下逆に着けられることを懸念したHarveyは、マーカーで2つの点を追加して目を描きました。彼の仕事は40ドル、つまり片方の目に20ドルという報酬で完成しました。それから数十億個のスマイリーフェイスボタンやシャツ、ステッカー、小物が世に出回り、あの2つの不朽の点がグラフィックの墓場から情熱とともに蘇ったのです。
今年も、典型的なスマイリーフェイスの「いとこ」とも言えるロゴが多数登場しましたが、特筆すべきは、笑顔を伴わない2つの点だけが使われているロゴが多く見られたことです。
デザイナーたちは、どんな形にでも2つの点を無造作に配置し、時にはその形自体が後付けのようなものだったり、全く存在しないこともありました。この2つの点は、人間的な要素、例えば見開いた目で何かをじっと見ているかのような印象を与え、残りのロゴの要素がその物語を語ってくれるのです。
ロゴデザインのトレンド9【ステッカー】
数年前、体重231ポンドのサウルがギネスブックに世界記録として登録されました。その記録は今でも更新されており、現在では400ポンドを超えています。
ステッカーの会社「Sticker Giant」のチームは、数年前に余ったステッカーを使ってサウルというステッカーボールを作り始め、その後もこの巨大なボールに次々とステッカーを貼り付け続けています。この業界は急速に成長し、非常に細分化されており、年間生産数の正確な統計はほとんど存在しません。専門家たちは「何十億個」という推測以上のデータを提示しようとすると、目がうつろになるほどです。
ステッカーからロゴへの進化は、意見や愛好をステッカーで表現する世代にとっては自然な流れです。
これらのロゴの中には、影や立体的な要素を含むものもあれば、スポーツマスコットのロゴに見られるような外縁部分だけが際立つものもあります。バッジ型のロゴもこのトレンドに適しており、ロゴを少し傾けたり、ラフに仕上げることで、現代の感覚にフィットします。このアプローチでアイデンティティを築くことは、言葉を使わずに自己表現することに慣れている市場に対して、新たな対話の場を提供することになるでしょう。
ロゴデザインのトレンド10【センターポイント】
アスタリスクには心を惹かれる何かがあります。
象徴性があり、柔軟で、すぐに読み取れるため、ロゴデザインに最適な要素です。しかし、あまりにも広く使われ過ぎており、ある意味で「使い古された」のレベルに達しているのも事実です。そんなアスタリスクの影響を受けつつも、独自の工夫を加えたのが、共通の中心点を基に回転するV字や矢印を使ったデザインです。これらのバリエーションは、要素の数が異なるものの、すべてに共通するのは、焦点を持った中心的な目的、またはデザインブリーフに書かれたアナロジーの実現を目指していることです。
アスタリスクのように中央が収束するデザインでは重たくなりがちですが、この手法ではネガティブスペース(余白)を広く取ることが可能です。
要素の間に広いチャンネルを設けたり、矢印の先端を丸めたりすることで、シンボルの中にさらに別のシンボルを作り出す二重の効果が得られます。特に気に入っているのは、Bedowによる「Atrium」のデザイン(画像左上)です。「A」の文字の上部を回転させて、クライアントの建築にある四角いアトリウムを表現しており、クライアントのウェブサイトではアニメーションでさらに強調されています。
ロゴデザインのトレンド11【ポインター】
ラスコーの洞窟に描かれた初期の矢印や、エジプトのヒエログリフに使われたグラフィック要素、あるいはローマ人が帝国を越えて軍団を導くために石に彫った矢印を思い浮かべてください。
さて、それらすべてを忘れて、実際に矢印がグラフィックシンボルとして初めて使われたのは18世紀だということに驚くかもしれません。それまで、何かを指し示したい時には「マニキュル」という指差しの手を使っていました。幸いなことに、地図上で川の流れを示す矢印が採用されたことで、FedExのロゴに隠れている指差しの手を探さずに済んでいます。
それでも、矢印には200年以上の歴史があり、今年はその矢印が大いに登場しています。最終的に矢印は、羽を失いました。
矢の軸は、適切な右折、左折、あるいは時には急カーブを示す上で重要な役割を果たしています。
多くのデザインでは、この軸が文字を形作る要素として使われています。例えば、デジタルユーザーエクスペリエンスのリーダーであるTangentのロゴ(画像左上)では、モノグラムと上向きの矢印を組み合わせて進行方向を示しています。しかし、もし成長計画だけを伝えたいのであれば、メッセージとしては少し薄っぺらい印象になってしまうかもしれません。
ロゴデザインのトレンド12【曲芸】
バランスはデザインの基本的なスキルですが、このトレンドに見られるロゴは、まるでアクロバットのチームが繊細なバランスを保っているかのようです。
それらはしっかりとした作りながら、わずかに揺らめき、まるでジェンガの名人以外は息をのむような緊張感を漂わせています。もしこれらが積み木のセットだとすれば、抜き取ると塔が崩れる「要石」があり、逆に重力に逆らって成り立っているパーツも存在するでしょう。これらのロゴのネガティブスペースは非常に鋭いカウンターを形成しており、正の形状でも逆の形状でも同様にバランスが取れているのです。
これらのロゴには、耐久性のあるしっかりとした重みが感じられます。この重さがあるからこそ、ロゴが機能し、代表する企業が脆弱でないことを確信させます。
太いロゴのファンは、この力強さの復活を喜んでいることでしょう。特に注目すべきは、Webflowのロゴに見られるような、曲線的な要素と非曲線的な要素の組み合わせです。この硬さと柔らかさの融合は、優雅さと技術の協調を示しており、重力に逆らうようなデザインを実現しています。堂々とした力強い解決策でありながら、ほんの少しの脆さを残すことで、過度に自信に満ちた印象を避けているのが魅力です。
ロゴデザインのトレンド13【通路 – パッセージ】
このトレンドが「パッセージ(通路)」と名付けられたのは、多くのロゴがまるで実際にトンネルを抜けたり、旅をしているかのように見えるからです。
しかし、あまり哲学的に考えすぎないようにしましょう。旅は必ずしも距離に関わるものではありません。これらのロゴの一部は、時間、文化、物語、音楽、あるいはあなたや他の誰かの精神的な旅を象徴しているかもしれません。
このトレンドに見られるロゴの多様性は、デザイナーたちの創造性を際立たせています。
これらのロゴで語られる物語は、外部の形状によって決まります。星形、鍵穴、文字、あるいはアーチ型の入り口などが、旅の舞台を整えています。
これらのロゴは、通常、線やグラデーションで構成され、同心円状に進行することで「通路」を表現しています。通路のヒントは、そのロゴに出口があるかどうかに表れます。しばしば遠くの端に開口部があり、通路が上昇していることもあれば、ねじれたり回転したりして未知の結果に向かう場合もあります。つまり、真の問いはこうです。「そのポータルを通り抜けようとしているのか、ただ立ち尽くして深く考えているふりをしているだけなのか?」
ロゴデザインのトレンド14【レーダースイープ】
このレポートで紹介されるトレンドの影響を探る旅は、予想外の展開を見せることがあります。
最近目にするようになった、動きや変化を示す新たな方法としてのグラデーションの回転。このデザインは、レーダーのスイープアームと、その後に残る軌跡を思い起こさせます。潜水艦映画で、ソナーの音や迫り来る魚雷を表示するアームの回転が欠かせないのと同様に、こうしたデザインはそのドラマ性を取り込んだものであるのかもしれません。あるいは、グラデーションに新たなニュアンスを加えるための新鮮なアプローチかもしれません。
暗から明への移行は、時間や空間の経過を表現する手段となります。それは奥行きを感じさせ、光源を示します。
静止した状態でありながらも動きを表現し、ブランドストーリーの一部としてアニメーション化の可能性も広げています。
特に重要なのは、グラデーションの境界線が、あたかもマークから立ち上がる壁のように見える点です。グラデーションにはまだ限界がありますが、主にデジタル環境で展開するクライアントにとっては、制約に囚われないブランドのシンボルとなりつつあります。
ロゴデザインのトレンド15【新星】
私たちは新しい象徴言語の時代の瀬戸際に立っており、コミュニケーションのための視覚的なシンボルを急ピッチで開発しています。
星、チップ、回路 — これらはすぐにAI技術と結びつけられるため、一見すると関連が強そうですが、いまだに従来の象徴性に頼っている部分もあります。数年前にデザイナーたちがブロックチェーンや暗号通貨にシンボルを結びつけようとしていた頃を思い起こさせますが、実際の課題は、その技術の成果からシンボルを見つけ出すことにあります。つまり、AIを象徴するシンボルはまだ確立されていないのです。
有力候補として浮上しているのが、通称「ダズル」と呼ばれる四つ星形のシンボルです。このトレンドは数年前、AIが主流になる前から注目されていました。
星は、魔法的な要素や神秘的な性質を暗示し、「説明しても理解できないだろう」というニュアンスのショートカットのようなものです。
最近では、星の3つ組がインターフェースアイコンやロゴとして勢いを増してきていますが、このダズルスターはまだ最終形に落ち着いていません。四つ星形は依然として変化の中にあり、ここで紹介されているロゴもそのことを示しています。AIがこのシンボルを完全に自分のものにするには、もう少し時間がかかるかもしれません。しかし、この四つ星は、今後10年間でデザイナーの基本要素となる可能性が高いと言えるでしょう。
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■ビル・ガードナー(Bill Gardner)について
ビル・ガードナー(Bill Gardner)は、Gardner Designの代表でありLogoLounge.comの開設者です。同サイトでは、リアルタイムで会員がロゴデザインを投稿したり、会員の作品をキーワードやデザイナー名、クライアントタイプなどで検索ができるサイトです。ロゴデザイナー向けのニュースやベストセラー書籍LogoLoungeブックシリーズでの考察のための記事が閲覧できます。ビルへの問い合わせはbill@logolounge.comから。
参考 : LogoLounge ©2024 Logolounge Inc.
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