紙を選ぶ際の基本的な特性の一つとして【厚さ】があります。不思議なことに、紙の厚みを表す単位は一般的に思い浮かべるmmではなく、kgという単位が使われることがよくあります。特に印刷業界においては、紙の厚さはkgという単位で表現されることが一般的です。なぜこのような表現法が使われるのでしょうか?
用紙の厚みがkgである理由
用紙の厚みを示す際に「kg(キログラム)」という単位が使用される理由は、紙の重さを表すためです。これは、用紙の厚みを直接測定するのではなく、紙の「連量(れんりょう)」と呼ばれる指標を使って間接的に厚みを表す方法です。
1. 連量とは
連量とは、紙の厚みや重さを示す指標で、通常「1,000枚の紙の重量」を基準として計算されます。紙のサイズが異なれば、同じ厚みの紙でも連量が異なることになりますが、一般的に日本では「四六全判」と呼ばれる1091mm × 788mmサイズの紙を基準に連量が計算されます。
たとえば、ある紙が「70kg」と表記されている場合、これはその紙を全判サイズで1,000枚積み重ねたときの重さが70kgになるという意味です。
2. 連量(kg)で厚みを表す理由
紙の厚みは、実際には「μm(ミクロン)」や「mm(ミリメートル)」といった単位で直接測定することも可能ですが、紙の厚さは製造過程での微妙なばらつきや素材の種類によっても影響されます。そのため、製紙業界では紙の厚さを厳密に表現するために、連量を使って重さで間接的に示す方法が広く用いられています。
この方法によって、紙の重さが分かれば、大まかにその紙の厚さも予測できるようになります。連量はまた、印刷や製本の際のコスト計算や配送の重量を把握する際にも便利です。
3. 国際的な違い
日本では、連量として「kg」が用いられていますが、海外では紙の重さを示す単位として「gsm(grams per square meter)」も使われています。gsmは、紙の1平方メートルあたりの重さをグラムで表すもので、用紙の厚みを直接的に表すために分かりやすい方法です。
4. 実際の使用例
用紙の厚みや連量は、印刷物の仕上がりや使用感に大きな影響を与えます。たとえば、名刺やポストカードなどは一般的に連量が200kg程度の厚い紙が使用される一方、パンフレットやチラシでは90kg〜135kg程度の用紙がよく使われます。印刷会社に用紙を指定する際には、連量で伝えることが一般的であり、希望する仕上がりに最適な紙を選ぶことができます。
まとめ
「kg」表記は、日本の製紙業界で用紙の厚みを示すための標準的な方法であり、用紙の「連量」を基にした重さを表しています。この表記法は、紙の厚みを間接的に示すためのもので、印刷や製本のプロセスにおいて非常に重要です。国際的には「gsm」という単位が使われることもありますが、どちらも紙の特性を理解するための重要な指標です。