
真面目な人ほど病みやすい?デザイン業界の働き方を考える
デザインの仕事は自由な創造性を発揮する一方で、納期やクライアントからの要望など、常にプレッシャーと隣り合わせです。特に真面目な人は、デザインに真摯に向き合うあまり自分を追い込みがち。せっかく好きで始めたデザインを嫌いになってしまうのは、大きな損失だと思います。僕自身もデザインの世界に携わってきて感じるのが、「ここぞ!」というタイミングで多少無理をするのは仕方ないとしても、それが常態化している空気が業界全体にあることです。特に年配の方や、昔ながらの働き方が染みついている人ほど疑問を持たずに受け入れているケースも多いように感じます。
今回は、デザイン業界にありがちな「真面目な人ほど病む」働き方の問題点や、どうすればもう少し心地よく働けるのかを考えてみたいと思います。
真面目な人ほど生じるストレスの背景
完璧を求めすぎる傾向
デザインは成果物が目に見える形で評価される仕事です。真面目な人ほど、クオリティにこだわり、自分が納得いくまで作業を続けようとする傾向があります。高い完成度を追求する姿勢自体は素晴らしいのですが、ここで問題になるのは“自分一人で抱え込みがち”という点です。「もっとよくなるはずだ」「こんな出来ではクライアントに出せない」と、どんどん追い詰められてしまいます。
納期と創造性のギャップ
いいデザインを作るには、リサーチやラフ作成、試行錯誤を何度も繰り返す過程が必要です。一方で納期が厳しく設定されているケースも多いです。真面目な人は「時間が足りない」と感じても、品質を下げたくないという気持ちが強いため、結果的に自分の時間を削るしかなくなってしまいます。これが度重なると、心身へのダメージは大きくなります。
自分以外に相談できる環境が少ない
デザインの現場では、制作物のクオリティや納期の話はしやすくても、メンタル面の問題をオープンに話す雰囲気がまだまだ整っていません。特に「弱音を吐いたらプロ失格」「若いうちに苦労するのは当たり前」といった風潮が根強く、真面目な人ほど「こんなことで弱音を吐いてはいけない」と感じてしまうようです。
常態化を許してきた業界の空気
「忙しい=当たり前」の思い込み
デザイン業界のみならず、クリエイティブ系の仕事には「忙しくて当然」という固定観念が存在していると感じます。多忙な状態をクリエイティブな証拠のように捉える風潮もあり、実際には過度な労働環境が当たり前になっていることに疑問を抱かない人が多いです。特に昔から活躍している世代は、苦労して育った経験から「それが当たり前だ」と言い切ってしまう場面もあります。
企業やクライアント側にも原因
デザイナー本人だけでなく、周囲の理解不足が影響を与えている場合もあります。企業側が「とりあえず徹夜で頑張ればなんとかなるでしょう」と考えたり、クライアントが無茶な納期を提示し続けたりするなど、デザイナーの労働環境が追い詰められる原因は多方面にわたります。こうした状況下では真面目な人ほど、「やるしかない」という気持ちで自分を追い詰めてしまうのです。
疲弊したデザイナーを救うためには
働き方の改善をチーム全体で考える
一人ひとりが個別に頑張るだけでは、根本的な働き方の改善にはつながりにくいです。部署やチーム単位で、スケジュールの再調整や業務分担の見直しを行うなど、現場レベルの仕組みづくりが必要だと思います。例えば、定期的に「今の案件で苦しいことはないか」「不満はないか」をオープンに話し合うミーティングの場を設けるだけでも、だいぶ違ってきます。
自分の限界を知り、引き際をつくる
真面目な人にとって大切なのは、「多少妥協する勇気」を身につけることかもしれません。これはデザインの品質を下げろという話ではなく、自分の体調や時間を守るためのラインを決めるということです。例えば、「何時以降は仕事をしない」「定期的に休みを取る」といったルールを自分に課しておくと、無理を重ねることが減ります。
周囲とのコミュニケーションを増やす
デザインのアイデアやクオリティの追求に関しては、実は自分一人で抱えるよりも周囲に相談したほうが早く解決することも多いです。アウトプット前に先輩や同僚とレビュー会を開いたり、SNSやオンラインコミュニティで客観的なフィードバックをもらったりするのも手段の一つ。真面目に頑張りすぎる人ほど、「周りを頼る」ことを忘れがちなので、意識してコミュニケーションを増やしてみるといいと思います。
メンタルヘルスについてオープンに話せる空気づくり
クリエイター同士で「ちょっと疲れてきた」と言いやすい雰囲気をつくることは、最終的に仕事の質やパフォーマンス向上にもつながります。「そんなの甘えだ」と言う人もいるかもしれませんが、良いアウトプットには健康な心身が不可欠です。しっかり休むのも仕事のうち、と捉えて周囲にも休むことを推奨できるリーダーが増えれば、業界の空気自体が少しずつ変わっていくはずです。
まとめ – 好きだからこそ、無理をしすぎない働き方へ
デザインが好きな人ほど、いつの間にか深みにはまり、気づいたら心がボロボロになっていることがあります。そういう人がデザインを嫌いになってしまうと、業界としても大きな痛手です。好きなことに没頭する楽しさは最高ですが、無理し続ける働き方が当たり前になっているのは問題だと感じます。
僕自身、いろんな案件を抱えて休みを取れなかった時期があります。だけど今は、「多少睡眠時間を削ってでも納期に間に合わせる」というやり方に疑問を持つようになりました。もちろん大事な案件やチャンスの場面では多少の無理をすることはあるかもしれませんが、それが常態化することは避けたいところです。
忙しくて当たり前、徹夜は当たり前といった風潮を変えるには、時間がかかると思います。でも、少しずつでも疑問を持ち、自分や周りをケアする行動を続けることで、業界の空気も変えていけるはずです。真面目な人が、デザインをいつまでも好きでいられるために、僕たちは働き方を見直す必要があるのだと強く感じています。
病みやすい真面目な人は、デザインと真摯に向き合っているのだと思います。そういう人がデザインを嫌いになるのは損失です。 ここぞ!で多少無理することは確かにあります。問題なのはそういう働き方の常態化を容認している業界の空気。 特に上の世代は疑問に思っていない人も多い。
X (Twitter) – Oct 24, 2018