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京都の夜を彩る幻想的な光の祭典【LIGHT CYCLES KYOTO】の何が良かったのかまとめてみた。

京都の夜を彩る幻想的な光の祭典【LIGHT CYCLES KYOTO】を体験してきました。開園100周年を迎えた京都府立植物園で開催されたこのイベントは、世界的なマルチメディア・スタジオ「Moment Factory」が手掛ける没入型エンターテインメント。光と音で植物たちの世界を可視化し、昼間とは全く異なる神秘的な空間を作り出しています。

デジタルアートやライトアップイベントが各地で開催されていますが、今回のイベントは単なるイルミネーションとは一線を画す、心揺さぶられる体験となりました。

LIGHT CYCLES KYOTOって?

日本最大級の観覧温室内を舞台にして、4つのゾーンを巡りながら、プロジェクションや音響効果によって植物の呼吸やささやきを五感で感じることができます。約45分の体験で、自然との新たなつながりを育む機会となる、まさに目で見て耳で聞く、アートと自然の融合です。

 

LIGHT CYCLES KYOTOの良かった点

大人な世界観が良かった

光を使ったインスタレーションというと、多くの人がまずチームラボを思い浮かべるでしょう。しかし、今回のイベントを手掛けたのは、カナダを拠点とするクリエイティブスタジオ「Moment Factory」です。ちなみに鑑賞者と作品が相互に作用するようなインタラクティブな展示ではなく、基本的にはあくまで鑑賞者として空間を巡回するようなスタイルです。

会場となる温室内は、一般的なライトアップイベントよりもさらに暗く設定されているように感じました。急いで移動するのは難しいかな…という感じです。その深い闇の中を、まるで生き物のように揺らめく光が降り注ぎます。熱帯植物特有の香りが漂う空間に身を置くと、まるで未知の密林を探検しているような錯覚に陥ります。

理想的な没入体験を実現するバランスが良かった

当然会場内には多くの来場者がいるものの、暗がりの中では皆がシルエットとなり、不思議と他者の存在を気にすることなく展示を楽しむことができました。空間を彩るサウンドデザインも秀逸で、視覚と聴覚の両面から没入感を高めてくれます。

驚くべきは、没入感を損なうような要素があまり見当たらないことです。デジタルアート展示やライティングイベントによっては、技術的制約や演出の不自然さが気になることがありますが、「LIGHT CYCLES KYOTO」ではそういった違和感を覚えることは、少なくとも僕はありませんでした。

SNS映えと作品体験の両立が良かった

写真映えするスポットが随所にあることは間違いありません。ただ、興味深いことに、延々と撮影に熱中している人は意外と少なかったのです。その理由は、会場のどこで撮影しても自然と魅力的な写真が撮れてしまうからではないかなと。何度も撮り直す必要がないのです。

むしろ、多くの来場者が写真撮影に執着することなく、その場の雰囲気を味わうことに没頭しているように感じました。柔らかな光に包まれながら、温室内をゆっくりと歩く。その体験自体に心地よさを感じる空間づくりが見事でした。

光と影のコントラストも印象的です。光に照らされた部分が幻想的な輝きを放つ一方で、影となった部分は想像力を掻き立てるような深い闇となっています。まるで暗がりから何か神秘的な生き物が現れそうな、ワクワクとドキドキが入り混じった感覚を味わえます。

飽きさせない展示構成が良かった

会場は複数のゾーンに分かれており、それぞれが異なるテーマと演出で構成されています。お陰で、最後まで興味を持続させながら鑑賞することができます。また、郊外の植物園という立地もあってか、来場者の多くが落ち着いた雰囲気の方々で、ゆったりと作品を楽しむことができました。

ただ、後半には大きなスペースを使って撮影を行うTikToker風の来場者も見かけました。今後、そういった方々が増加すると、落ち着いた鑑賞体験が損なわれる可能性もあるかもしれません。とは言え、そういう方が素敵な編集で展示を紹介してくれて来場につながるというサイクルもあるので、この辺りはバランスが難しいですよね。

 

想像以上に良い体験でした

総じて、「LIGHT CYCLES KYOTO」は期待を超える素晴らしい体験でした。デジタルアートの技術的な革新性はもちろんのこと、空間全体のバランス、演出の細やかさ、そして何より没入感の高さが印象的でした。期間限定のイベントですので、ぜひ会期中に足を運んでみてください。

 

LIGHT CYCLES KYOTO 公式サイト
https://www.lightcycles-kyoto.com/

2024年10月18日(金)~12月26日(木)
定休日:月曜日 11月4日(月・祝)は開演

 

グラフィックデザインを中心とした小さなデザイン事務所を経営しています。スタッフや外部のデザイナーさん・ライターさんに助けられながら、コツコツと地道に仕事をする日々が気に入っています。