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「寝るのがもったいない」が才能を枯らす?睡眠を“コスト”から“最高の投資”へ

何かに夢中になっているとき、寝る時間さえ惜しくなる。

この感覚、きっとあなたにも覚えがあるのではないでしょうか。特に、自分の力で未来を切り拓こうとしている人なら、なおさらかもしれません。

僕自身、独立したての頃はまさにそうでした。目の前には無限の可能性が広がっているように見え、アドレナリンが全身を駆け巡る。まさに「起業ハイ」という状態で、24時間じゃ足りない、1分1秒でも長く仕事に没頭していたいと本気で思っていました。

「寝ている間に、誰かに追い抜かれてしまうかもしれない」

「この熱量があるうちに、少しでも前へ進めたい」

そんな焦りと高揚感が入り混じった感情は、睡眠時間を削るための都合の良い言い訳になっていました。睡眠は、目標達成のために支払うべき「コスト」であり、削れば削るほど得をするとさえ信じていたのです。

しかし、それは危険な幻想でした。その先に待っていたのは、輝かしい成功ではなく、静かに、しかし確実に自分の首を絞めていくような、苦しい日々だったのです。

 

思考が鈍り、アイデアが枯渇し、心が蝕まれる日々

若い頃は、多少の無茶も体力でカバーできていました。徹夜明けでも気合で乗り切れた成功体験が、睡眠不足の本当の恐ろしさから目を背けさせていたのかもしれません。

しかし、独立というプレッシャーの中で慢性的な睡眠不足が続いたとき、僕の心身は静かに悲鳴を上げ始めました。それは、3つの深刻な不調となって現れました。

第一に、クリエイティブの源泉が枯渇しました。

デザイナーにとって、アイデアは命です。それなのに、頭に分厚いモヤがかかったように、何も思い浮かばない。クライアントの要望に応えるための新しい切り口も、心を動かすビジュアルのひらめきも、すべてが靄の向こう側にあるようでした。昨日まで当たり前にできていたはずの「発想する」という行為が、途方もなく難しいものに感じられました。

第二に、思考がどんどんネガティブな方向へ傾いていきました。

十分な休息が取れていない脳は、物事を悲観的に捉えやすくなるようです。クライアントからの些細なフィードバックに過剰に落ち込んだり、まだ起きてもいない未来のリスクばかりを考えて不安になったり。以前なら「どう乗り越えようか」と前向きに考えられたはずの壁が、ただ絶望的な障害物にしか見えなくなっていました。

そして第三に、思考そのものが鈍くなりました。

簡単なメールの返信に30分以上かかる。AとBの選択肢を前に、どちらが最適か判断できない。頭の回転が明らかに遅くなっているのを、自分でもはっきりと感じました。生産性を上げるために睡眠を削っていたはずが、結果として日中のパフォーマンスを著しく低下させていたのです。まさに本末転倒でした。

頑張っているつもりなのに、成果が出ない。むしろ、自分の武器であるはずの思考力や発想力が、日に日に錆びついていく。このままではジリ貧だ…と認めざるを得ませんでした。

 

良いパフォーマンスを引き出すための「睡眠戦略」

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「このままではダメだ」と痛感したとき、僕の中で大きな考え方の変化が起きました。

それは、誰かに叱られたとか、病気で倒れたといった劇的なきっかけがあったわけではありません。ただ、鈍りきった頭で「なぜ、うまくいかないのだろう」と考え続けた先に、あまりにもシンプルな結論が待っていただけでした。

僕が失っていたのは、情熱でも、スキルでもない。ただ、質の高い「睡眠」でした。

そこで僕は、考え方を180度入れ替えることにしたのです。

睡眠を「削るべきコスト」と捉えるのをやめ、翌日の自分のパフォーマンスを最大化するための「積極的な投資活動」と位置づけたのです。そう決めた瞬間、夜の時間の使い方が全く違う意味を持ち始めました。

未来の自分への投資としての、夜の過ごし方

「よし、寝よう!」と意気込んでも、脳が興奮状態ではなかなか寝付けないものです。大切なのは、意志の力に頼ることではなく、「自然と眠りへと誘われる環境をデザインする」という視点でした。

僕がまず始めたのは、とてもシンプルなことです。

夜になったら、部屋の照明を徐々に間接照明に切り替えていく。

煌々とした白い光は、脳を覚醒させ、活動モードにし続けます。それを、暖色系の穏やかな光に変えていくだけで、「もうすぐ休む時間だよ」というサインを脳に送ることができる。仕事部屋からリビング、寝室へと移動するにつれて、少しずつ光の量を減らし、トーンを落としていく。

この小さな工夫が、驚くほど寝つきをスムーズにしてくれました。

他にも、「寝る1時間前はPCやスマホの画面を見ない」「穏やかな音楽を聴く」「軽いストレッチをする」など、自分にとって心地よい入眠儀式をいくつか試しました。重要なのは、これらを「やらなければならないタスク」ではなく、「明日最高の仕事をするための準備」と捉えることです。

この「睡眠戦略」を続けた結果、僕の仕事と生活は劇的に改善されました。

まず、メンタルが驚くほど安定しました。朝、スッキリと目覚められるだけで、一日を前向きな気持ちでスタートできる。身体の調子も良く、以前のような原因不明の不調に悩まされることもなくなりました。

そして何より、日中の集中力が明らかに変わりました。思考はクリアになり、午前中に高い集中力で一気に仕事を片付け、午後は少し余裕を持ってクリエイティブな作業に取り組む…といった理想的なリズムが作れるようになったのです。枯渇していたアイデアも、再び湧き出てくるようになりました。

 

僕らにとって睡眠は、クリエイティブツール

かつての僕のように、夢中で走っている人ほど、「休むこと」に罪悪感を抱きがちです。しかし、僕の体験から断言できるのは、その考え方こそが、あなたの持つ才能や可能性を最も損なわせてしまうということです。

「寝るのがもったいない」という言葉は、短期的な高揚感と引き換えに、長期的なパフォーマンスを奪う可能性があります。

良い仕事は、良いコンディションから生まれます。そして、そのコンディションを作る最も強力な土台が、質の高い睡眠ではないでしょうか。

今夜から、「睡眠」という最高の自己投資を始めてみませんか。それはきっと、あなたが思っている以上に、大きなリターンをもたらしてくれるはずです。

 

楽しかろうが慢性的な睡眠不足は心身をマジで病む。寝る時間を無駄とか勿体無いと考えるのは、それこそ勿体無い。

X (Twitter) – Apr 28, 2023

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グラフィックデザインを中心とした小さなデザイン事務所を経営しています。スタッフや外部のデザイナーさん・ライターさんに助けられながら、コツコツと地道に仕事をする日々が気に入っています。パッケージメーカーのデザイナーとして新卒入社→美容系のベンチャーに転職→家庭用品メーカーに転職...という流れを経て、その後独立しました。フリーランスデザイナーとして、10年以上の経験から学んだことや雑記をブログにしています。情報発信が趣味に近く、それが興じてPhotoshop関連の本を出版したり、noteを執筆したりしています。