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契約とお金

適正な評価を守るための「約束」と契約の話

デザイナーにとって、無茶な値下げ交渉や見積もり時のトラブルは悲しいことに「あるある」です。おそらく、デザイナーとクライアントの数だけエピソードが存在することでしょう。今回は、僕が実際に過去に経験した値下げ交渉と、どのように対処をしたのか、について話したいと思います。

 

たくさん依頼するから値下げして

契約書

昔、「毎月〇〇件の依頼をするから、安くしてほしい」という提案を、クライアントからいただいたことがあります。一見すると安定した仕事の確保を約束するものであり、デザイナーにとっても魅力的に感じられるかもしれません。しかし、これがリスキーな提案である可能性は、一定の経験を積んできたデザイナーならすぐにご理解いただけると思います。

この提案に対して、僕はある一つの条件を付与して良いのであれば、値下げに応じるという連絡をしました。その条件とは、「履行されなかった場合は違約金が生じる」というものです。すなわち【毎月〇〇件の依頼という条件に満たない依頼件数の場合は、契約料金にくわえて違約金が発生する】ことを了承いただけるなら、契約するという再オファーです。

 

違約金を含めた契約書の意味

契約

この「履行されなかった場合の違約金を含めた契約書」は、単なる防衛策ではありません。クライアントとの信頼関係を築くためのものです。この契約書には、クライアントが約束を守らなかった場合のペナルティが明記されています。

これにより、クライアントが安易に約束を破ることを防ぎ、双方が誠実に取り組むことを促すものです。デザイナーとしてのプロ精神を相手へ示すとともに、適正な評価と報酬を守るための重要な手段となります。

 

返信はなかった。その理由とは…

決裂

この契約書を送ったところ、それ以降の返信はありませんでした。確証はありませんが、クライアント側は、初めから毎月〇〇件という約束を100%守れる保証がなかったのでしょう。値下げ要求が通っても、違約金を支払う必要が生じると、クライアントにとって有利な取引ではなくなる可能性が高くなったため、不通になったということが考えられます。(単に面倒なやつだと思われたのかもしれませんが…)

もしも値下げ要求に応じてしまったら、結果的に損失を被ることになったかもしれません。返信がなかったことで、僕はある意味でのリスクを避けることができました。

 

適正な評価と、自分の価値を守る行動を

フリーランサー

デザイナーにとって、自分の仕事に対する適正な評価と報酬を得ることは非常に重要です。値下げ要求に対して安易に応じることは、自分の価値を低く見積もることに繋がりかねません。

クライアントとの交渉においては、常に自分のスキルや労力に見合った報酬を求める姿勢を持つことが大切です。また、おいしい話と思えても、実際にクライアントが当初の約束を守るかどうかをしっかり見極めることが必要です。

 

まとめ

デザイナー

値下げ交渉や買いたたきは、デザイン業界でよく耳にする話です。ここでご紹介したのは、不当な値下げ交渉から自分のクリエイティビティを守るための、具体的な方法でした。

「毎月〇〇件の依頼をするから、安くしてほしい」という要求に対して、履行されなかった場合の違約金を含めた契約書を送るという対応は、自分の価値を守るための一つの方法です。適正な評価と報酬を求める姿勢は、長期的に生計を立てていく為には欠かせません。

口約束や不確実な未来の展望をそのまま信じて仕事を受けるようなことは避けましょう。一つ一つのプロジェクトに対して、ビジネスとしてしっかり契約内容を詰めていくことが、真のプロフェッショナルとしての地位確立につながります。

 

過去に「毎月〇〇件の依頼をするから、安くしてほしい」と言われた時。 値下げした見積もり書と【履行されなかった場合の違約金を含めた契約書】を送付しました。 【約束】とはそういうものです。 返信はありませんでした

X (Twitter) – Sep 15, 2018



この記事は過去の自分のX(Twitter)のポストを元に、編集しています。



グラフィックデザインを中心とした小さなデザイン事務所を経営しています。スタッフや外部のデザイナーさん・ライターさんに助けられながら、コツコツと地道に仕事をする日々が気に入っています。パッケージメーカーのデザイナーとして新卒入社→美容系のベンチャーに転職→家庭用品メーカーに転職...という流れを経て、その後独立しました。フリーランスデザイナーとして、10年以上の経験から学んだことや雑記をブログにしています。情報発信が趣味に近く、それが興じてPhotoshop関連の本を出版したり、noteを執筆したりしています。