
ルビンの壺を思わせるアートな香り漂うアルバムアートワークデザインです。
赤くそびえる山を前に立ちすくむ男性の姿。両サイドには人の横顔のようなシルエットが二つ。遠目に見ると認知心理学にたびたび登場する「ルビンの壺」のように、風景が壺の形のように見えてきます。
前衛的なサウンドの魅力
アルバムに収録されている楽曲はどれも前衛的なエレクトリックミュージック。聞く人によって音楽から受ける印象はさまざま。このアートワークでも、「ルビンの壺」のように見方ひとつでイメージは変わるものだというメッセージを表現しています。
CDジャケットと「アルバムアートワーク」の違い
この作例が「CDジャケット」ではなく「アルバムアートワーク」と銘打たれている点は、デザインの位置づけそのものに関わっています。CDジャケットはパッケージの一部として物理的な制約(トレイの形状、バーコード配置、背表紙の幅など)に縛られますが、アルバムアートワークはそうした制約から自由な「ビジュアルアート」として設計されています。
配信プラットフォームのサムネイル、SNSでのシェア画像、アーティストのWebサイトなど、正方形のフォーマットで完結する場面が増えている今、パッケージに依存しない独立したビジュアルとしてのアートワーク設計はますます重要になっています。この作例が正方形の中で物語を完結させている構図は、デジタル時代の音楽ビジュアルとして理にかなった設計です。
「見方が変わる」アートワークが前衛音楽に適している理由
ルビンの壺の原理を取り入れたこのアートワークでは、風景として見るか人の横顔として見るかで印象がまったく変わります。この「解釈の多重性」は、前衛的なエレクトリックミュージックの聴取体験そのものと重なっています。
同じ曲でも、ヘッドフォンで集中して聴くときとスピーカーで流すときでは異なる表情を見せるのが前衛音楽の特質です。アートワークの段階で「一通りには読めない」という体験を仕込むことで、リスナーに「この音楽も一通りには聴けないだろう」という心構えを自然に持たせています。パッケージのビジュアルが、音楽の聴き方そのものを方向づけるプライミング効果として機能しています。
制作アートワークデザインに対する感想
VOICE ※第三者による感想です
トリックアートを思わせるアートワーク作成例
横顔か壺かそれは問題ではない?
有名なトリックアートに、向かい合った人の横顔にも見えて、壺にも見える「ルビンの壺」というシルエットがあります。横顔を描いたシルエットをメインと見るか、黒い背景に置かれた壺をメインと見るかで描かれたものへの解釈が分かれるという正解のないアート。こちらは、その「ルビンの壺」にインスパイアされたような不可思議な印象のイラストのデザインでしょうか。二人の間に立つ人間、向こうにそびえる切り立った山、その前を飛ぶ鳥のシルエット、これらは荒涼とした雰囲気を醸し出しています。禅問答に立ち向かう人を描いたような観念的なイラストは、曲の世界観を表現しているのでしょう。
版画のような味わいがアート感たっぷり
レコードの溝を思わせるシルエットのパターンや、夕焼けをイメージしたようなグラデーションと、山脈に見えるカスれたような質感のドット、クラシカルなアルファベットのフォント、それらが70年代風のレトロな雰囲気でまとめられていて、強い個性を感じます。アーティストの顔は出ていませんが、音楽性や音楽のジャンル、音楽に対する姿勢などをまざまざと肌で感じることができるアートワークデザインですね。
※掲載しているDVD・CDジャケット・アートワーク等のデザインサンプル・モックアップはイメージです。実際のサイズ・仕上がりとは異なる場合がございます。
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