ビジネスやパーティー、宿泊先として利用されるホテル。民泊から一流ホテルまでそのランクはピンキリですが、世界に名だたる一流ホテルに目を向けると、ホテルという枠だけには収まりきらない、一流ブランドとしての顔があります。それは、利用してもらうすべての人に満足してもらうため、最高のホスピタリティ精神をもったサービス業の頂点。信頼にたる風格をもち、世界的な視野に立ったグローバルなブランドであることが求められます。そんな世界の一流ホテルの顔となるロゴマークにはどのようなデザインが相応しいのでしょうか。
世界最大級のホテルグループ「Hilton」のロゴマーク
106か国に渡り展開し、5,400軒以上のホテルを運営しているHilton。世界的に見てもその規模は大きく、ホテル業を牽引する旗艦的な企業といって申し分ないでしょう。グループ内で数多くのブランドを持ち、多角的にホテル業を運営するHiltonを代表していたグループ「Hilton worldwide」のロゴが、2017年にメンバーシッププログラムを刷新すると共に、リニューアルされました。
Today on Brand New (Noted): New Logos and Identity for Hilton and Hilton Honors https://t.co/Na95dHGgmN pic.twitter.com/8DUVDMY1Cw
— UnderConsideration (@ucllc) May 12, 2017
これまでは、金と銀の図形で象られた「H」をシンボルマークとし、細みでシンプルなサンセリフ体で描かれたロゴタイプを組み合わせて一つのロゴマークとしていましたが、新たなロゴマークは、よりシンプルに印象の強い形態へと変化を遂げています。ロゴタイプは、サンセリフ体からフラットなセリフを持つ、「ヘアラインセリフ」へと変わっています。伝統的な滑らかなカーブがついた「ブラケットセリフ」とは少し違う直線的なセリフのついたこの書体は、クラシックな要素を残しつつ、モダンな印象を感じさせる書体。昔から受け継ぐ伝統を重んじながらも、時代のスピードについていく柔軟さをあらわしています。また、デジタルデバイスの発展により、webサービスやアプリなどの活用が必須となった現代のホテル業界。より、視認性が高く、拡大縮小に耐えられるロゴデザインが求められているという背景が、ロゴのシンプル化を促す大きな要因でもあります。
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Hiltonのロゴとしてもう一つ有名なのが、グループの中でも、規模が大きくスタンダードな一流ホテルのブランド「Hilton hotels&resorts」のロゴ。グループを代表するロゴと同様のロゴタイプ「Hilton」を中心に、「H」をモチーフにしたシンボルマークを設けています。シンボルマークとなっている図柄は、2対の太い縦線の周りをリボン状の飾りがぐるりと覆い、縦線の中心を横断することで「H」に見えるようにデザインされたもの。動きのあるアクティブな印象ながら、気品とやわらかさを感じるデザインで、「やすらぎ」と「楽しさ」の両方を象徴する「HOTELS & RESORTS」にうってつけのデザインといえるのではないでしょうか。
王族からも愛された由緒あるホテル「リッツ・カールトン」のロゴマーク
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上流階級社交界の趣味や趣向を知り、サービスを極めたホテルマン、セザール・リッツは、パリにホテル「ホテル・リッツ」を開業したのをはじまりに、ロンドンに「カールトン・ホテル」を建て、ラグジュアリーな設えやサービスで、ヨーロッパの王族や著名人を虜にしてきました。アメリカに上陸する際に、出資先となった保険会社のロゴマークの「ライオン」と、イギリスの皇室のシンボルである「王冠」を組み合わせ、リッツ・カールトンのシンボルマークは出来上がりました。
動物界の頂点に君臨する百獣の王と、民を統べる王族のシンボルがコラボレーションしたロゴは、これ以上に無いといえるほど、高い品格と圧倒的な力強さを感じさせます。クラシカルな絵柄はホテルが持つ歴史のにおいを漂わせ、シンボルマークの下に入ったロゴタイプは、華奢でややクセのあるセリフ体を使い、ホテルの独自性を主張しています。
高水準のホスピタリティと革新的な姿勢「ハイアット」のロゴマーク
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家族経営からはじまったホテル「ハイアット」。高いホスピタリティ精神と、斬新なサービスやデザインでホテル業界に新風を吹き込む革新的なホテルとして知られています。オープンアトリウムやフリーコールの予約システムなど、ハイアットからはじまったホテル業界の常識はいくつもあります。
そんな、ハイアットの現在のロゴマークは、1990年代に考案されたもの。「ハイアットの贅沢、ここに極まる」というキャッチコピーと共に考えられたロゴデザインは、「HYATT」の真ん中3文字にかかるように弧を描く三日月型を配し、中心にある「A」を大きくアレンジし全体のバランスを上手くとっています。
アジアにも多数進出している高級ホテル「シェラトン」のロゴマーク
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現在は、スターウッド・ホテル&リゾーツ・ワールドワイドの傘下にあるホテルブランドの一つである「シェラトン」。質の高いサービスと力強いグローバル展開で、世界各地に拠点を増やし、アジアにおいても中国をはじめ日本国内でも有数のホテルです。
ホテルシェラトンのロゴマークは、頭文字「S」を月桂樹で囲んだエンブレムのようなシンボルマークが印象的。月桂樹は古代ギリシャでは、聖樹として神聖視され、若枝を編んで作られた月桂冠は、勝者や優秀な者の証として頭上に冠されました。
そんな月桂冠をモチーフにしたシンボルマークは、まさに、秀でたホテルに相応しい、堂々とした紋章のようなビジュアル。ロゴタイプと対でなくても、シェラトンだと識別できるインパクトの強い印象的なシンボルマークです。
まとめ
紹介した一流ホテルのロゴデザインを見ていくと、どれも色彩を持たず、シンプルで洗練されたイメージであることに気づきます。顧客本位のサービス業であるホテルは、あえて企業の色を持たず、利用する側の持つイメージで如何様にも変わるデザインである必要があります。また、デザインも然り、品の良さや高級感はある程度必要ですが、前に出過ぎず、顧客と共に在るさり気なさがホテルの持つホスピタリティ精神をあらわしているのではないでしょうか。
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