フリーランスのデザイナーとして新たなスタートを切りたい場合、どのような事に気をつければ良いでしょうか?自由な環境でのデザイン活動と言えば聞こえは良いですが、フリーランスデザイナーは常に自分を律する必要があります。今回は、ベルリンを拠点に活動するデザイナー Michael Schultz 氏の記事 「フリーランスデザイナーとして成功する為に避けたい10の事」をご紹介したいと思います。自身の経験に基づいた記事はとても説得力があります。
原文 : “10 things you should avoid being a freelance design starter”
記事内イラスト : Sabrina Fenske
以下翻訳内容です。※翻訳・掲載は記事製作者の許諾を得ています。(Thank you, Michael Schultz ! )
私が9年前に自分自身のビジネスを始めたとき、ビジネスを始めるにあたり避けなければならないことを本で読むべきでした。私はリサーチを全くせず、厳しい実体験でそれを学びました。幸運なことに、この記事を読めばあなたは同じ経験をしなくて済むのです。
フリーランスデザイナーとして成功する為に避けたい10の事
1.気楽にやる
あなたは今カフェにいますか。ラテをすすり、物語を読んでいる最中…なんていうのは、フリーランスの特典ですよね。ラッキーですねー。私のフリーランスの日々は全く違っています。
デザインを正確に終わらせるというのはハードワークです。フリーランスになるということもまたハードワークなのです。フリーランスとし開業してから、自身のビジネススタイルに満足できるようになるまではとても長い道のりです。あなたは、たくさんの時間を労働と学習に費やさなければいけません。週末でもそれは変わりません。理不尽な指示、大変なクライアント、低賃金などの問題に対応しなければなりません。休暇をキャンセルすることや、スケジュールの変更によって友人をガッカリさせる状況もあるでしょう。日常生活が苦しくなることもあります。
あなたを脅かすつもりはありません。しかし、もし将来こういった状況に直面した時、フリーランスという働き方はとても大変なのです。私は予告なしにこのような状況に巻き込まれ、燃え尽きそうになったことがあります。よい計画こそが、あなたのビジネスから来る日常生活への影響を減らし、あなたの幸せを保つ鍵となります。
2.目的がはっきり定まっていない
フリーランスとして働くための理由はいくつかあります。あなたはすでにデザインのプロフェッショナルになっていて、自身のチームで働きたいと思っているかもしれません。もしくは、私のように偶然にフリーランス生活へ滑り込んでいくようなことがあるかもしれません。
私は数年前まで自分のビジネスの方向性を持っていませんでした。デザインでどうにかして稼げるだろうと思っていたので、大変ハッピーでした。私は、大小のクライアントをいくつか抱え、大変忙しくしていました。良い感じに思えますか?問題は、忙しく働く間、自分の技術が向上していなかったことです。
3.他人のアドバイスに耳を傾けない
あなたは常にデザイナーとして素晴らしい仕事をすることが出来る、これは変わることがない事実です。たとえあなたが街でもっとも最低なデザイナーだと感じても、私を信用してください。あなたは決してそうではありません。そして今dribbble(デザインSNS)であなたが得たポジティブなコメントを数えることを止めましょう。それはただのビジュアルシュガー(何の利益にもならない)です。
外に出て、人と話し、あなたの作品を紹介して会話をしてください。事務所にこもるようなことはしないでください。あなたのプロジェクトについて討論し、出来る限りいつもその事を考えてください。もし、あなたが話すことがないと感じたら、おそらく間違ったことをしています。あなたのクライアントが適切なフィードバックするようなクライアントに変化することを期待しないでください。それはほかのデザイナー、友人、家族に任せましょう。素晴らしい洞察力とアイデアは、デザイン業界で働いていない人たちからやってくることもあります。
4.よく無料で仕事をしている
無償で仕事をするような状況は多々あります。友達や家族があなたにお願いすることなどもあるでしょう。彼らは「あなたの好きにやってもらいたい。」とか「あなたの趣味でしょう。」等と言うのです。彼らの中には、オファーに対し感謝を期待する人すらいるかもしれません。決して無料で働くことはしないでください。誰かがあなたに仕事を頼んだら、あなたにお金を払わなければなりません。もしあなたが「無料で働く」道に成り下れば、悪用されるでしょう。
簡単なルールがあります。もし、誰かがあなたのデザインを使用して利益を得るのであれば、彼らはあなたにお金を払わなければなりません。「結果を見てから考えましょう」なんてことは信じず、最初からしっかりと話をして、すべての事をハッキリさせておきましょう。
友人を助けることはもちろん良いことです。しかし、あなたの中で何が頼みごとで、何が仕事かを明確にしておきましょう。私はレストランのメニューと広告を載せるWEBサイトデザインのオファーを頂いたとき、提案された支払いは箱いっぱいのビールでした。
5.安売りする
フリーランスデザイナーとしてのキャリアをスタートしたとき、フェアな支払を得るのが厳しい場合があります。当初私は、デザインの市場におけるベストな価格など全く知りませんでした。クライアントがオファーした分だけもらい、交渉すらしていなかったのです。言うまでもなく、クライアントは本当に私の請求書の金額に喜び、実際笑顔になっていました。私は一生懸命働き、クオリティーの高いデザインを納品しました。しかし、私は自分の労力に見合う請求をすることを怖がっていました。
あなたのビジネスをより良くするために何に費やすべきか、生きるために何が必要なのかを決める方法はたくさんあります。「nuSchool」のようなツールは情報に基づき時間給のレートを計算してくれます。私はそれを1年前に知りましたが、未だに自分の仕事に合った価格を請求することを怖がっていました。
キャリアのあるフリーランスデザイナーと繋がりを持ち、彼らのデザイン価格などを聞いてみると良いでしょう。たとえあなたのフリーランスキャリアが始まったばかりでも、2ドルのために働く必要はありません。収入モデルを構築し、良い仕事を提供する。積極的にあなたの気持ちを話してください。人々はそれを讃えて、まともな金額を支払う気持ちを持つ事でしょう。
この状況を打破することで、あなたのビジネスは少なくとも元はとれるようになるはずです。もし収入不足でスターバックスで半日働く必要があったら、あなたのフリーランスキャリアは何と言われるでしょうか。
6.何でもかんでも引き受ける
私はいつも次のクライアントが最後のクライアントだと思っていました。もし、私が特定のプロジェクトを拒否すると、彼らはより良いデザイナーを見つけるのではないかと。そして私はスターバックスで働くことになるのです。ああ、なんてことだ!
言うまでもなく私はゲットできる仕事をすべて引き受けていたのです。
実際には、心配しているようなことは起こりません。「ノー」と言っていいのです。クライアントはデザイナーを調べて探すことが好きではありません。それは誰もが本当にやりたくない退屈な作業です。(それゆえ、人間関係の構築がとても重要なのです。)
私は時々仕事に溺れている自分に気づきます。クライアントが私の仕事を評価するからです。値段の安いデザイナーはいつだっています。しかし、仕事をきっちりこなす私自身と私の技術を彼らは何よりも頼りにしています。そして最も重要なことは、彼らは他者に私の良い噂を伝えてくれるのです。
最初にそこまでえり好みすることは難しく、不可能かもしれません。しかし、何を目指しているのかということと、「ノー」と言うことを常に学ぶことを心に留めておいてください。長い目でみて、あなたが行った仕事が、あなた自身どんなタイプのデザイナーであるのかを定義するでしょう。
7.なんでも明日までにやる(急ぎすぎる)
フリーランサーとして、あなたはたくさんのプロセスをスリム化することが出来ます。時間をかけてツールをマスターすることは、デザインの遂行を早めてくれます。クライアントがそれを好まないわけがありません。”早くて安い”は私の原点で、もしあなたがすでに「安い」部分を捨てていたらおめでとうと言わせてください。
より良いのは、ゆっくり時間をかけてあなたの仕事を上達させることだと思います。もし取り掛かる時間が少ないとしたら、コンセプトに注ぎ込むか選択肢をもっと作り増やすかをしなければなりません。良い判断は時間をかけ、急ぐべきではありません。
あなたの活動を変更するための余裕として、自分自身に休暇を与えてください。クライアントとタイムフレーム(物事を行うために必要な時間)について話をすれば、あなたが思う以上に寛容になれます。そして利益をもたらすでしょう。
8.いつも予定を空けすぎている
私がフリーランスを始めた時、いつも予定を空けなければならないと感じていました。数分以内に回答することがビジネス成功への重要な資産だと思っていたのです。考えてみてください。それは間違いです。
早く回答できないことへの言い訳を考えることは、全く合理的ではないと思っていました。あなたはクライアントと合理的なコミュニケーションをとる必要があります。しかしデザインにおいてほとんどの場合、人々が急を要する案件を頼むことはありません。もしあなたが近いうちに廃業するなら別かもしれませんが。
私はプロジェクトに取り組んでいる時だけ、メッセージやメールでプロジェクト関係の回答をするように決めています。それこそが私のスケジュールを明確にし、仕事に集中できるようにしてくれるのです。最後に、多かれ少なかれ、あなたがフリーランスになり、あなたのチームで仕事をすることになったとします。そうするとこれはあなたが自分で管理しなければならないことです。
9.フリーランスでいる事を仕事として捉えていない
私がフリーランスでいることが好きな理由の一つは、自分の勤務時間を完全にコントロールできる事です。それはどういう意味かと言うと、午前11時から仕事を始めます。構いません。15分後、2時間のお昼休憩をとる。もちろん大丈夫です。午後から友人とビールを飲む。取引完了。全然問題ありません。
しかしその行動は、週末でも夕方でも夜でも私をコンピューターの前に座らせる結果になりました。私の自由に対する印象の下、私は断片化した責任の中で迷子になっていたのです。友人とのイベントはキャンセルして、眠ることが恐怖でとても神経質になっていました。
会社のために働くのと同じように、フリーランスとしての計画を立てることはとても重要です。すでにあなたはボスなのです。昇進おめでとうございます。あなたが勤務時間をはっきりさせるだけでは生産性が高まることはないでしょう。計画性はあなたの生活において仕事とプライベートを分け、健康で幸せに暮らすためのキーファクターとなります。
私は自分の週末を取り戻した時、自分の私生活が発展しました。それによりモチベーションが上がり、仕事の生産性が上がりました。ぜひご理解いただき、実践してください。
10.あなたのいる場所にとどまり、ルールに従い続ける
デザイナーになるということは、第一線で重要な人物になるということです。あなたは問題を見分けて、正しい回答を得られるように頑張らなければなりません。それは、あなたがクライアントを選ぶためのトップチョイスになります。またそれは、あなたが世界を変える重要な資産となります。
フリーランスデザイナーとしてキャリアをスタートすることで、世の中に対して責任感を持つ必要はないでしょう。それは達成感が得られないようにみえるかもしれませんが、そうでしょうか。
フリーランスとしてのキャリアは、券売機のより良いインターフェイスをデザインするために役立つでしょうか。もちろんです。もう一歩前進しましょう。なぜ、私たちは券売機が必要なのでしょうか。もし切符の心配がなく、公共交通機関を使用するための方法があればどんなに素晴らしいでしょうか。 デザインは、古い制約を超えて世界を変えることが出来ます。私たちに、社会とテクノロジーの共存というタスクを与えています。あなたが伝統的なデザイン分野で働いているのなら、あなたの取り巻く世界を見つめ直すことがタスクとなります。それが、あなたの心をシャープに保ち、結局はより良いデザインへと導くのです。
常に、自分の目標を実現するためにより良い方法はないかを考えましょう。自分を制限せず、同じ方法やプロジェクトから抜け出せなくなるようなことがないように心がけましょう。フリーランスになることはチャレンジですが、それはすばらしい可能性をもっているのです。
デザインはハードワークです。しかし、もしあなたが、長年私が行ってきた失敗を避けることができるのであれば、フリーランスとして働くというあなたの決断は正しかったことになるでしょう。自分の力で成し遂げ、常に一生懸命働きデザインスキルを磨くこと。そして、決してクライアントのおもちゃにならないこと。自分の仕事時間には厳しくなってください。あなたは一日中デザイナーです。しかし、その間ずっとデザイナーとして働くことはしないでください。
そして覚えておいてください。あなたは、すでに素晴らしい「デザイナー」という仕事を持っていることを。是非、それを楽しんでください。
created by Michael Schultz
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