今月の「センターステージ」に上がるのはベテランロゴラウンジャーでありイラストレーター兼デザイナーのポール・ホワルト氏です。アリゾナ州のミネソタにある様々な分野を専門とするデザインスタジオ「Tactix Creative」の経営者として、何百人ものクライアントのブランドとアイデンティティデザインを手掛けてきました。
この記事は海外のロゴデザインWEBマガジン”LogoLounge“の記事(by Ellen Healy)を翻訳しています。※掲載はLogoLoungeとデザイナーの許諾を得ています。
■少し自己紹介お願いします。ご自身のバックグラウンドと仕事について教えてください。
かなり普通の子供としてミネソタ州で育ち、アリゾナ州の大学へ進みました。1990年に卒業してから、ミネアポリスでCharles S. Andersonの下で働きました。私はあの大胆で美しいレトロな見た目が大好きで、彼以上にそれをうまくやる人はいません。French Paperの広告や見本帳のデザインは、デザイナーなら誰もが憧れる仕事でした。これがLogoloungeの取材ということもあるので、プロとして初めて担当したロゴについてもお話しましょう。Turner Classic Moviesのロゴでした。黒いフェルトペンと修正ペンでレタリングしていたのを覚えています。笑える話ですが、当時はコンピューターでの作業はできなかったんですよ。
2年ほどして、妻と一緒にアリゾナ州へ戻りました。それから22年間、自分が立ち上げた様々な会社でデザインとイラストを担当しています。現在、Tactix Creativeという会社をビジネスパートナーのCam Stewartと共に経営しています。アリゾナ州のメサに位置する様々な分野を専門とするデザインスタジオとして、国内と国際クライアントに加え世界中の広告エージェンシーを扱っています。
また、最近立ち上げたGo Faster Labsという会社の活動についても楽しみです。デジタルを扱う人向けの様々な、ダウンロードできるデザインやスタイリングツールの制作と販売をしています。限定版のプリントのリリースと、デザインと写真のコミュニティを繋げるコーナーの開始を予定しています。
私たちが提供する無料のサンプルが欲しい方はGoFaterLabs.comでメルマガにサインアップしてください。「レトロ ロゴキット」をすぐに無料でダウンロードできますよ!今はまだ秘密ですが、ショップをガラッと変える予定です。週に1度くらいの頻度で新しい商品がリリースされるようになります。
■デザイン歴は25年と伺っていますが、デザインのどのようなことがこの仕事を続けるモチベーションとなっていますか?
クライアントの成功の鍵となる役目を果たせることにやりがいを感じます。私の作品を称賛し尊敬してくれる、親切なクライアントのブランディングシステムを手掛けることが大好きです。
それと、夏に短パンとビーチサンダルで出勤して「クリエイティブだから」と理由をつけることも大好きです。
■グラフィックデザイナーになろうと思ったきっかけは何ですか?
簡単でした。5年生の時、母がレコードを買ってきたんです。それはKISSの「Rock and Roll Over」でした。一目見て、虜になってしまいましたよ!Michel Doretがデザインしたカバーは本当に素晴らしく、それまで見たものの中で一番美しいものでした。レコードプレイヤーに乗せる前に、しばらくの間それを見つめていました。この仕事が何かわからないし、誰がやったのかもわからないけど、こういうことを将来仕事にしたら絶対に楽しそうだと思ったのを覚えています。
でも、適性検査ではバスの運転手が合っていると言われたんです。今でもたまにそれを思い出して、本当になるべきなのはバスドライバーだったのかと悩む時がありますよ(笑)
■どんなデザイナー(達)に影響を受けながら育ちましたか?昔と今で違いはありますか?
いつもインスピレーションを得るデザイナーは決まっています。Charles S. Andersonはもちろん昔から大好きです。80年代後半、Duffy Designには様々な才能を持った人たちが溢れていました。当時はSharon Werner、Haley Johnson、Dan Olson、Todd Waterbury、Neil Powellなどの作品が多くありました。彼らの作品以上にインスピレーションを受けた作品はありませんでした。
ロゴデザイナーとして、Jay Vigon、Margo Chase、Art Chantry、Tracy Sabinに加え、私の同僚であるVon Glitschka、Sherwin Shwartzrock、Tim Frame,Randy Heil、Chris Parksのようなデザイナー達を尊敬しています。今考えてみると、Wichita出身のデザイナーたちは本当に才能のレベルが高く驚きます。Brian MillerやLuke Bottはすごい。現在も変わらずこの人たちにインスピレーションをもらっています。
■何年にもわたって成功し続けているポールさんですが、成功の秘訣を教えていただけますか?
努力すること、たくさん仕事をすること、広告をうまく使うこと。また、すぐにメッキがはがれてしまうこの業界では、一貫性、忠実性、戦略的思考が長生きの秘訣になります。
■どのプロジェクト(複数可)が一番気に入っていますか?
最近手掛けたCobra Motorcycle Parts & AccessoriesとWor, Labsとの協力、再ブランディングプロジェクトです。
■一番最近「すごい!」と思ったものはなんですか?
Ian Barnardの独創性、Dustin Leeのマーケティングスキル、Sean Heislerの時を感じさせないモノグラム、Lenny Terenziの猿のマスコット、それからJay FletcherのDribbbleのページにあるもの全てですね。
■あなたのプロセスについて教えてください。他のデザイナー達とどう違いますか?
私はコンピューターで作業する前に、じっくりと時間をかけてスケッチと紙での作業をします。また、大胆でコンセプトベースなビジュアルを使った作品はいつでも人々の注意を引くということを忘れません。オーディエンスは立ち止まり、そのメッセージに注目してくれます(それについての話もしてくれます)
■壁に直面したとき、そこからどうやってゴールを達成するのですか?
他の皆が寝た後に自分のオフィスで一人夜遅くまで作業して、邪魔が一切ない状態でブレインストーミングをしたり、部屋に鍵をかけて前進できるようなスケッチやプランが浮かぶまで外に出ないようにしたりします。それでも、ランニングマシンに乗っているときに一番良いアイデアが浮かびます。なぜかはわかりません。いつでもメモパッドとペンを持っているのはそのせいです。本当に何もできなくなってしまったときは、他のデザイナーに依頼します。Von Glitschkaは救世主の番号リストの一番上にいます。
■この仕事で一番難しいことは何ですか?
多くのデザイナー達が戦略や問題解決から遠のいた気がします。個人的にもそれらは好きではありませんが、楽しいことをする前に必ず必要なことだとわかっています。先の見えないスケッチワークも少なくなりますしね。自分のビジュアルソリューションを最大限に活かすために、クライアントの企業に調査することも学びました。地味な作業はたくさんあります。でも、一つ駒の動かし方を間違えばすぐに笑いものにされてしまうのです。
■これからデザインを始めたいと思っている人達にアドバイスをお願いします。
最近はいたるところにオンライン教育サイトがありますから、少し「出遅れた」生徒もすぐにキャッチアップできます。もっと深い話をすると、実際のデザイナー達に会って学んでほしいです。デザイン雑誌、賞を取っている作品などをチェックしてください。自分が行ける料金のデザインカンファレンスがあれば参加してAIGA(アメリカのグラフィックデザイン協会)の一員になってください。締め切りを守り、打たれ強く、クライアントをリスペクトできる人になってください。戦略も苦手とせず、コンピューターで作業する前にはコンセプトをスケッチしてより深いものにしてください。自分のクライアントにとって必要不可欠な人となり、リピーターを作りたいのならクライアントとの関係を大事にしてください。
designer : Paul Howalt
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