LogoLoungeが贈る記事「センターステージ」にて、今回はオースティンに拠点を置くデザイナー兼イラストレーターのSteve Wolf(スティーブ・ウルフ)氏へインタビューが行われました。 ビンテージとモダンなエレメントを融合し、シンプルで洗練されたデザインを創作する才能は、彼の美的感覚あふれるデザインを本当にユニークなものにします。
この記事は海外のロゴデザインWEBマガジン”LogoLounge“の記事(by Ellen Healy)を翻訳しています。※掲載はLogoLoungeとデザイナーの許諾を得ています。
■あなたについて聞かせてください。あなたのバックグランドやデザインスタイル、あなたは誰で、どのようにデザイナーになったのかなど。
私は、アメリカのオースティンに拠点を置くデザイナーです。主にロゴデザイン、ブランドアイデンティティ、そしてイラストレーションを専門としています。 私はネブラスカの小さな町で生まれ育ちました。そこで一所懸命働くとはどういうことか?という定義を学びました。毎年夏になると芝刈りをすることや友達の農場を手伝うなど、私は自分の人生のすべての側面で指標となる勤労倫理をそこで学び発展させました。
大学に行く前、私は工業デザインを学びたいと考えていました。工業デザインのワークショップに参加し、車をデザインするという夢を持っていました。大学に入った後、デザインの先生が私をグラフィックデザインミーティングに招待してくれたのですが、そこで私はたちまちグラフィックデザインの世界とその世界にある可能性の虜になりました。私は常にアートを描くことや創作することが大好きで、グラフィックデザインはその両方の情熱を奮い立たせてくれました。自身の美術のバックグランドを活かし、その技術をデザインやレタリングなどに変換して発展させた結果がご覧の通りです。
■どのように他のデザイナーと自分を差別化していますか?あなたのデザインの中でこれぞ「スティーブ・ウルフ(自分自身)のデザイン」というものは何ですか?
いつも自分のデザインに心がけていることは、ユニークで、時代を超越し、シンプルであることです。私はすべてのプロジェクトを始める前に、完成品がこの原則を満たすかどうかということを確認しています。この原則は私のイラストレーションやブランディングにも取り入れていて、例え違ったアプローチであってもそのことは意識してデザインを作っています。
■あなたが今のキャリアを決めたタイミング、いわば「声」が聞こえましたか?デザインの世界で最も魅了されたものはなんですか?グラフィックデザインをキャリアとして選ぶことは簡単な決断でしたか?
今でもはっきり覚えています。私は大学3年の時にグラフィックデザイナーになりたいと思いました。Paul Rand(ポール・ランド)やSaul Bass(ソール・バス)のような素晴らしいデザイナーについて学び、彼らが作るようなデザインを自分も作ってみたいと思い始めました。そして丁度この時期にデザインのソフトウェアを学び、またデザイナーとして成功するために何が必要なのかも同時に学びました。一度にすべての条件が整ったので、グラフィックデザインについて出来る限り学びたいと思わせてくれましたね。
私がデザインの世界で最も魅了されたのは与えられた機会についてです。自分のバックグランドである美術の経験と、タイポグラフィーやイラストレーションの技術を活かせる職業だと感じました。最初はこの世界がこれほど没頭したくなるものだとは知りませんでしたが、一度グラフィックデザインを習い始めると、私はこれこそ自分の全てにフィットするベストな世界であることに気づきました。ただ、グラフィックデザイナーの道を歩むことをすぐには決められませんでした。当初私は車のデザインをするか、ペインターになりたいと思っていたので。それでも一度グラフィックデザインとその可能性を知ってしまってからは、完全にはまってしましましたね。
■あなたが一番気に入っているデザインは何ですか?また、そのようなデザインは他に比べて簡単にできますか?
私は完璧に満足したデザインしか出さないように心がけているので、特定のデザインをピックアップすることは難しいですね。良いプロジェクトというものは、素晴らしいクライアントと心を通わせ、彼らが信じていることを理解し、なおかつクライアントがデザインの価値を理解してくれた時にやってくるものだと思います。
■仕事のワークフローについて教えてください。仕事をするにあたり、私たちが驚くような特別なことはありますか?
プロジェクト毎に少し違いますが、基本的なプロセスはほぼ同じです。リサーチして、デザインして、実行して、発表する。私の仕事の仕方で1つだけ皆さんが驚くようなことがあるとすれば、最初の段階へのアプローチ方法だと思います。リサーチから実行するまでの段階で、私はデザインをペインティングのように扱います。それは、汚く、整理されていない状態で、混沌とした状態で作られています。自分のイラストレーターのアートボードにたくさんのオプションを持っています。どこでも開けるタブや、大きな音量で音楽を聴いたり、たくさんのコーヒーを自分のシステム内にもっています。この混沌とした段階を超えたら、自分が作成したデザインなどすべてを分析し、クライアントが喜ぶようなベストの状態へと整理します。
■あなたがデザイナーとしてのキャリアをスタートした時に学んでおくべきだったと思うレッスンは何ですか。デザイナーとしてキャリアをスタートしたばかりの若手へのアドバイスはありますか。
キャリアをスタートした時、自分自身と他人を比べないようにすることがとても大変でした。ですので、私はそのようなことに時間を費やさないようにしています。よくみんなに言うのですが、私からのベストアドバイスは常に学び続けろということです。また、自分のデザインにおいて実験的なことをするようにもしています。私がデザイナーとしてキャリアをスタートした時、自分自身の心の声やデザイナーとしての私とは誰なのか?などを理解することが本当に大変でした。当時は自分自身に十分フォーカスできておらず、私が信じていることや表現したいことを理解していませんでした。1歩下がり、自身のデザインを分析し、デザインをより良くするための違ったスタイルに挑戦する時、デザイナーとして確実に成長します。デザインや作品が自分にとって何なのか、また自分は何が得意なのかを学ぶと良いですよ。
キャリアをスタートしたばかりの人たちへの具体的なアドバイスとしては、過去のデザイン本や雑誌をリサーチし、自身に影響を与えるデザイナーを見つけることをお勧めします。あとは、新しいテクニックを練習し、何があなたにとってベストなデザインで作品なのかを発見するまで、違うスタイルを実験し続けてください。この世界に近道はありません。ハードワークと一貫した意志だけが報われるのです。
■デザイナーの中でヒーローと称える人は誰ですか。最近あなたに「WOW」と言わせたデザインは何かありますか。
私が感嘆するデザイナーは、Paul Rand(ポール・ランド)、Saul Bass(ソール・バス)、田中一光、Lance Wyman(ランス・ウェイマン)、そしてMax Bill(マックス・ビル)です。彼らレジェンドのスタイルをベースに自分自身のスタイルを発展させられるようになるまで、彼らのような素晴らしいデザインのレジェンドになりたいと思い、夜遅くまで彼らの本を読み漁り、研究しました。
最近私を「WOW」と言わせたデザインはSonic campaignです。カンザスシティーのCarpenter Collectiveの作品です。ファストフード産業にとって、それはとてもフレッシュなデザインとイラストレーションでした
■ドリームクライアントはいますか?もしいるならその理由も聞かせてください。やってみたいプロジェクトはありませんか?
私にとってのドリームクライアントは、私が創作できる境界線を越えるくらいの制作費を持っている人ですね。私がやりたいプロジェクトは、ロゴとブランディングプロジェクトです。
■あなたはどこからインスピレーションをもらいますか?仕事の励みになるような趣味はありますか?
インスピレーションを得るベストな環境は、実はグラフィックデザインとは別のフィールドになります。アート・建築・自然、または人々。すべて私を鼓舞しますし、周囲のあらゆる存在が絶えず私にとってインスピレーションを得るために必要なものになっています。モチベーションを高める方法として最も気に入っているのは旅行です。海外旅行だけでなく、国内旅行で別の州に行くことであっても、毎日新しい物を見ることで気分がリフレッシュして、心の中に何か新しい物が作れるという気持ちが満ちるように感じます。
■あなたにとって、成功の定義は何ですか?また失敗の定義は何ですか?
私の信念では、成功の定義とは個人的なもので他人とは違うことです。私にとって成功とは、毎日やりたいことが出来て、それで生計を立てられていることです。成功とは、天職を見つけ、それに情熱を費やすことだと思います。
失敗の定義は、計画をギブアップして何もしなくなることです。やめない限り失敗ではありません。あなたは常に向上し、何かを実現するために努力しなければなりません。
designer : Steve Wolf
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