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スペックワークについてのあとがき

スペックワークについての後書き


スペックワークについてのあとがき

先日、スペックワーク (SPEC WORK)についての映像を翻訳しシェアしたところ、非常に大きな反響があったことにとても驚きました。(リアルタイムでシェア・いいね!が増えており、既に7600いいね!に達しています。) ありがとうございます。

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デザイナーがタダ働きにNOと言うべきことが分かる動画

ツイッターのタイムラインにも、皆さんそれぞれの想いと共にリツートされていて、それを見ているだけでも仕事に対する問題点がいろいろあるんだなと考えさせられます。

しかしながら、スペックワークを拡大解釈・飛躍して捉えたものや、本来の意味と異なるものもあるのでは?と思った点もいくつかあります。

 

タダ働き=スペックワークなのか

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これはイコールでは結べないと思います。スペックワークは、あくまでもクライアント(買い手)という強い立場を利用した要求であって、たとえばまだ実戦経験の浅いデザイナーが実績を作るために、トライアル的に仕事を受けることを駄目だとは言えないと思います。戦略的にデザイナー側に何か意図があるのであれば、それは構わないのではないでしょうか?
また、それもいけない!という事であっても、それは「スペックワーク」とは分けて議論したほうがいいと思います。また別の問題です。

また安売り問題も槍玉に上がっていましたが、自由市場経済において商品に好きな値段をつけることは基本的には問題ないはずです。500円のリンゴがあって、10000円の高級リンゴがあっても、別に何もおかしくはありません。そうは言っても価格と品質を守るためにデザイナーギルド的なものが必要ではないか。という意見もありましたが、どちらにしても、これもスペックワークとは別問題です。

 

コンペ=スペックワークなのか

これも完全にイコールで結べるというわけではありません。まず除外するのは、広告賞などをはじめたとした賞自体に価値があるコンペです。基本的には既存のデザイン・広告制作物の実績から選ばれるので、コンペ用の労働は発生しません (実際には狙って作ってるものもあると思いますが)
あとは、たとえばほんの数社で行われ、リターンも大きいものなどについては、スペックワークとは言えないのかなと思います。そういうコンペはコンペフィー(参加費)が出ることも多いようです。

じゃあ、どういうコンペがスペックワークなのか?

それについてはAIGA(アメリカグラフィックデザイン協会)が指摘しています。東京オリンピックのエンブレムの公募です。協会と応募者の関係が対等でなく、得られる対価も割に合わないためです。そこには、共に作っていくという感覚が欠落しているのでしょう。

スペックワークの映像では、クライアントはカフェ店員に「そのコーヒーが美味しいかどうかなんて分からないだろう?」と聞いたとき、カフェ店員は「信頼するのよ」と応えました。クライアントとデザイナーに必要なのは、そういった信頼関係なのでしょう。

 

デザイナー側に問題はないのか?

ただ、はじめの信頼を築く段階に問題を感じているクライアントも少なくないようです。「メニューすらないカフェで何を頼めって言うんだ」と。

日本のデザイナーは海外のデザイナーに比べて「考え方」や「実績」をあまり発信しないという部分は、顕著にあると思います。僕はまだきちんと使えてませんが、海外のBehance やDribbleを見てみてください。実績のあるデザイナーであっても胡座をかくことなく、作品や制作物を公開し、積極的に自分を発信しています。(そういうプラットフォームが無いってことも問題かもしれません) また、自身のブログやウェブサイトを持ち、まめに更新している方も多いです。

クライアントに変革を求める一方で、こちらも変わる必要があるのかもしれません。

 

クラウドソーシング=スペックワークなのか

これは意見の分かれるところだと思います。日本ではラではじまる所や、クではじまる所が有名ですね。大きく分けると、公募型のサイトと、こちらから才能や技術を売るタイプのサイトがありますが、日本でメジャーなのは公募型サイトですね。

クラウドソーシングというビジネスモデル自体は非常に便利で、そのビジネス自体はもちろん悪いものではないと思います。僕自身、画像の切り抜き作業等は東南アジアなどにアウトソーシングしています。(貧しい国の人が、腕一本で成り上がれる手段になる場合もある)

ただ、悪質と言っていいほど不当に安いデザイン公募や、アイデアのみをパクるなどの行為は問題だと思います。クラウドソーシングそのものが悪なのではなく、それを利用する側の問題なのだと思います。

 

記事で紹介した映像はカナダの広告代理店が制作したものなので、日本と商習慣が違う所もあり、必ずしもあてはまるものでは無いかもしれません。実際、ツイッターでも「理想ではあるけど、そんなことをしたら仕事がなくなる」といった意見も見受けられました。おっしゃる通り、明日から手のひら返すようなことは現実的ではありませんし、何でもかんでもスペックワークだ!と喚き散らせと言ってるわけでもありません。

デザイナー・ものづくりに携わる方を中心にシェア・リツイートされていますが、クライアント側にも一度ぜひ見ていただきたいなと思います。メールで送りつけたりは出来ませんが(笑)

 

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