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元採用担当の視点から就職活動時のポートフォリオの作り方を考えてみました。

3つの会社でデザイナーを経験させていただいた中で、デザイナーの採用に携わる機会が何度かありました。(人事部ではデザインの良し悪しを判断するのは難しいという理由から、人事部のサポート的立場で駆り出されていました。)

正直なところ、中途採用については即戦力を求めますので、ポートフォリオのデザインレベルは言わずもがなです。

ですが、新卒採用はそうでも無いと思っています。(一定の水準は必要かと思いますが…)

 

デザイナーたち

勿論、企業によっては非常に高い技術を求める所もあります。また、例えばファンシーグッズ関連の企画会社であれば、少なくとも方向性にマッチしたデザインができる必要はあると思います。

そういう所は決め打ちでポートフォリオを作れば良いと思うのですが、今回はそういう話ではありません。元採用担当者としてポートフォリオの数々を見て「もっとこうした方が良いのでは?」と感じた事です。

 

まず、課題しか載せていないポートフォリオ。大変申し訳ないのですが、これは飽きてしまいます。

同じ学校の方がたくさん応募してきた場合、何十と見るうちに「これは何度も見たなぁ」という気持ちに次第になってしまいます。講師の方が課題のゴールをある程度設定されている場合、制作物も似てくるので、余計そういう気分になってしまいます。(中途採用に比べて、新卒採用は応募者がとても多い)

また、課題のみというのはデザインに対する”好き度”を疑ってしまいます。課題は義務であって、嫌だろうが何だろうがやらないと卒業できない関門のようなものです。それしかやっていないとしたら、デザインをこの人は好きなのだろうか…?と疑問に思ってしまいます。

新卒においては、その時点のデザインのクオリティーよりも素直さや“デザインが好きかどうか?”を重視していました。好きならすぐに上達するからです。

 

もちろん、色々な理由があると思います。特に短期大学や専門学校であれば、在籍期間が短く余裕も無いでしょう。本当に忙しくて課題しかできないという状況かもしれません。

だからこそ、自分だけのデザインを盛り込めば、抜け駆けできます。それだけでパッと興味を引くようなります。

 

いかに”私はデザインが好きです”とポートフォリオを通して伝えるか。それが新卒採用におけるポートフォリオ戦略だと思っています。(口では何とでも言えてしまう)

具体的に言えば、自身がデザインを学ぶ学生である立場を活用して仕事をしてみるのも一つです。

友人のバンド、近所のカフェ、親戚の事業などのロゴや販促物を手がけるなど、実際にクライアントを持ってデザインを行なってみるのはどうでしょうか。WEBやパッケージなど、積極的にジャンルを広げてみるのも経験・財産になると思います。(その制作エピソードはあなただけのオリジナルの体験ですから、面接でのPRにも使えますね。)

自身の内面と向き合ったアート的な作品も勿論魅力的ですが、デザイン業務は先輩や同僚やクライアント(外部)との対話から始まります。

自分の好きなテイストの”作品”も勿論載せて良いと思いますが、課題や自分で取り組んだデザインなどをバランス良く盛り込むことをおすすめします。

こうしたポートフォリオ作りをすることは、その後の面接においても有利に働きます。色々な角度からデザインや作品に対して受け答えが出来るようになるからです。この人デザイン好きなんだろうな…と思わせましょう。…いや、ここまで出来る貴方はきっとデザインが大好きなはずです。

 

読みやすいポートフォリオ

あとはポートフォリオの構成です。脈絡がよくわからず羅列のようなポートフォリオも見かけますが、ポートフォリオもデザインの一環です。読み手の事を考えてくれている親切な設計のポートフォリオは、素直に良いなぁーと感じます。

何れにしても、大急ぎで作ると大急ぎで作った感が出てしまいます。一気にやろうとするから大変なのであって、学生としてデザイナーを志す中で「お、これはポートフォリオに使えそう」という瞬間があれば、その都度ネタを取り溜めて定期的に整理すると、愛と熱のこもったポートフォリオに仕上がるのではないでしょうか。

 



グラフィックデザインを中心とした小さなデザイン事務所を経営しています。スタッフや外部のデザイナーさん・ライターさんに助けられながら、コツコツと地道に仕事をする日々が気に入っています。パッケージメーカーのデザイナーとして新卒入社→美容系のベンチャーに転職→家庭用品メーカーに転職...という流れを経て、その後独立しました。フリーランスデザイナーとして、10年以上の経験から学んだことや雑記をブログにしています。情報発信が趣味に近く、それが興じてPhotoshop関連の本を出版したり、noteを執筆したりしています。