Blog

Home  /  とあるデザイナーのブログ   /  起業・ビジネス   /  地味だけど、すごいこと。「誰でもできること」の価値をデザイナー目線で考えてみた
働く人たち

地味だけど、すごいこと。「誰でもできること」の価値をデザイナー目線で考えてみた

「誰も思いつかないような、すごいアイデアを出したい!」

「歴史に残るような、画期的なデザインを生み出したい!」

クリエイティブな仕事をしていると、そんな風に「誰にもできない特別なこと」に憧れる瞬間って、ありますよね。もちろん、デザイナーに限らず、どんな分野でも、オンリーワンの存在や突き抜けた成果を目指すのは、とても自然で素晴らしいことだと思います。僕自身、常に新しい表現やより良いデザインを模索していますし、その探求心は大切にしたいと考えています。

でも、最近ふと思うんです。「誰にもできないこと」ばかりに目を向けて、つい見過ごしがちな「誰でもできること」の大切さについて。

 

きらめく「すごいこと」と、その裏側にあるもの

世の中には、称賛される「すごいこと」がたくさんあります。革新的なプロダクト、人々を感動させるアート、社会を大きく変えるような発明。そういったものは、多くの人の心を打ち、時には社会全体の進歩を促します。デザイナーの世界で言えば、斬新なUI/UXデザイン、一目で記憶に残るロゴマーク、世界的なデザイン賞を受賞するような作品などが挙げられるでしょうか。

そうした「すごいこと」は、確かに魅力的です。でも、その多くは、ほんの一握りの才能や、並々ならぬ努力、そして幸運が重なり合って生まれるもの。誰もが簡単にたどり着ける領域ではありません。

そして、僕たちが日々目にしている多くの「すごいこと」も、実はその裏側で、たくさんの「誰でもできそうなこと」によって支えられているのではないでしょうか。

 

「誰でもできること」を、甘く見てはいけない理由

オフィスワーカー

「誰でもできること」。そう聞くと、どんなことを思い浮かべるでしょうか。

  • 時間通りに打ち合わせに参加する
  • メールの返信をきちんと返す
  • 頼まれた作業を、納期までに正確にこなす
  • 基本的なPCスキルを身につける
  • 整理整頓を心がける

デザインの仕事で言えば、

  • クライアントの要望を丁寧にヒアリングする
  • デザインの意図を分かりやすく説明する
  • 指示された修正を正確に反映する
  • 基本的なデザインの原則(整列、近接、反復、対比など)を守る
  • 誤字脱字がないか、何度もチェックする
  • データを分かりやすい名前で、きちんと整理して納品する

…といったことでしょうか。

これらは一見すると、特別なスキルが必要なわけではなく、「やろうと思えば誰でもできる」ことのように思えるかもしれません。だからこそ、「こんなことはできて当たり前」「もっとクリエイティブなことに集中したい」と感じてしまうこともあるでしょう。

でも、本当にそうでしょうか?

これらの「誰でもできること」を、常に、高いレベルで、継続して行うことは、実は簡単なことではありません。そして、これらの積み重ねこそが、仕事の基盤となり、信頼を生み、最終的な成果物の質を大きく左右する…と僕は考えています。

例えば、どんなに素晴らしいデザイン案を持っていても、クライアントとのコミュニケーションが円滑でなければ、その意図は正しく伝わらず、プロジェクトはうまくいきません。逆に、デザイン自体は飛び抜けて斬新ではなくても、丁寧なヒアリングと正確な作業によってクライアントの要望を的確に形にできれば、大きな満足と信頼を得ることができます。

基本的なデザイン原則を守ること、誤字脱字がないかチェックすること、データを整理すること。これらは地味な作業ですが、これらを疎かにすると、デザイン全体のクオリティは著しく低下します。プロフェッショナルとして、当たり前のことを当たり前に、高いレベルでこなすこと。それ自体が、一つの重要なスキルであり、価値なのです。

日常を支える、地道な積み重ねの力

僕たちの社会や生活は、こうした「誰でもできそうなこと」を、日々黙々と続けている人たちによって支えられています。

デザインの仕事も同じです。一つのプロジェクトが完成するまでには、デザイナーだけでなく、ディレクター、エンジニア、ライター、営業担当者など、多くの人が関わっています。それぞれの持ち場で、「当たり前のこと」を確実にこなしていく。その連携プレーがあるからこそ、大きな成果を生み出すことができるのです。

僕自身も、デザイナーとして、社会を支える「誰でもできること」の担い手の一人だと感じています。もちろん、常に新しい挑戦や創造的な表現を目指していますが、それと同時に、日々の基本的な作業を丁寧に行うこと、クライアントやチームメンバーと誠実に向き合うことの重要性を忘れないようにしています。

 

「誰でもできる」を、”自分らしく”やるということ

「誰でもできること」を大切にするというのは、決して「すごいこと」を目指すのを諦める、ということではありません。むしろ、その逆かもしれません。

「誰でもできること」のレベルを上げ、それを確実に継続していく中で、自然と自分なりの工夫や、より良くするための改善点が生まれてきます。

  • どうすれば、もっとクライアントに分かりやすく説明できるだろうか?
  • どうすれば、もっと効率的に作業を進められるだろうか?
  • どうすれば、チームメンバーとよりスムーズに連携できるだろうか?

こうした日々の小さな改善や工夫の積み重ねが、やがて他の人には真似できない、あなただけの強みになっていくのではないでしょうか。

「誰でもできること」の中に、自分らしさを加えていく。そうすることで、平凡に見えた作業が、特別な価値を持つようになる。僕はそう信じています。

 

おわりに

「誰にもできないこと」を目指す情熱と、「誰でもできること」を大切にする誠実さ。どちらか一方だけではなく、その両方のバランス感覚を持つことが、これからの時代、ますます重要になってくる気がします。

もし今、「自分の仕事は地味で、誰でもできることばかりだ」と感じている人がいたら、ぜひ一度、その「誰でもできること」の価値を見つめ直してみてください。あなたが日々積み重ねているその作業が、誰かの役に立ち、社会を支え、そしてあなた自身の成長の糧となっているはずです。

僕も、日々の地道な作業を大切にしながら、デザイナーとして少しでも良いものづくりができるよう、これからも努力を続けていきたいと思います。

 

「誰にもできない事」を目指すのはとても素晴らしい。でも、「誰でもできる事」を馬鹿にしてはいけないと思います。一見大した事がない事、誰でもできそうな事、その積み重ねで世の中が成り立っていて、担い手がいる。僕もその一人です。

X (Twitter) – Sep 18, 2020



この記事は過去の自分のX(Twitter)のポストを元に、編集しています。

最後までお読みいただきありがとうございます。共感する点・面白いと感じる点等がありましたら、【シェア】いただけますと幸いです。ブログやWebサイトなどでのご紹介は大歓迎です!(掲載情報や画像等のコンテンツは、当サイトまたは画像制作者等の第三者が権利を所有しています。無断転載はご遠慮ください。)


グラフィックデザインを中心とした小さなデザイン事務所を経営しています。スタッフや外部のデザイナーさん・ライターさんに助けられながら、コツコツと地道に仕事をする日々が気に入っています。パッケージメーカーのデザイナーとして新卒入社→美容系のベンチャーに転職→家庭用品メーカーに転職...という流れを経て、その後独立しました。フリーランスデザイナーとして、10年以上の経験から学んだことや雑記をブログにしています。情報発信が趣味に近く、それが興じてPhotoshop関連の本を出版したり、noteを執筆したりしています。