プロとしての価値を守るためにやめたい「原価を割る仕事」
デザインという仕事を通じて遭遇する様々な問題の中でも、特に気をつけたいのが「原価を割る仕事のリスク」です。この問題は一見美談に思えるかもしれませんが、実際にはプロとして仕事を進めていく上で大きな問題となります。
原価を割る仕事の本質
原価を割る仕事について考える時、「なぜこんなに安く提供しているのだろう?」と思うことがありますよね。「クライアントのこだわりに応えたくて」「このプロジェクトに自分の全力を尽くしたいから」というクライアント想いな理由から、自分の作業にかかるコスト以上の仕事を引き受けることがあります。
短期的にはクライアントの信頼を得られ、良い結果をもたらすかもしれません。でも、それが習慣になってしまうと、長期的には自分自身の価値を下げてしまう恐れがあります。
拘りのあるクライアントとの対話
プロジェクトに対して情熱のあるお客様は、僕たちの創造力を刺激します。だからこそ、拘りのあるお客さんは大好きです。他者から受ける情熱は新しいアイデアを生み出す原動力になります。
ただ、拘りに応えるための作業には時間とエネルギーが必要です。見合った報酬にならないと、僕たち自身のエネルギーが続くかどうかが問題になってきます。
料金設定の例え
ファストフード店でチーズバーガーを注文したときを思い浮かべてみてください。店員さんが笑顔で「無料でダブルチーズバーガーにしてもいいですよ」と言ってくれたら、素晴らしいサービスだと思いますよね。
とは言え、それが毎日続いたらその店はどうなるでしょう?おそらくは資金難に陥り、最終的には閉店してしまうかもしれません。これが原価を上回るサービスを継続するということです。
自分の価値を守るために
僕たちはデザイナーとして、自分のスキルを提供しています。技術と時間、そして熱意を必要とする仕事です。原価を割るような仕事を引き受けてしまうと、提供するサービスの価値を下げてしまうことになります。
だからこそ、技術と時間に見合った報酬を得ることは、自分たち自身の価値を守るためにも、とても大切なことだと思います。
美談になりがちですが、原価を割るような仕事は仕事とは言えないと思うのです。「クライアントのこだわりに応えたくて」とか。 拘りのあるお客さんは僕も好きです。でも、じゃあ、その分の費用はキッチリ貰いましょうよと。 チーズバーガーを無料でダブルチーズバーガーに出来たらおかしいですよね。
Twitter – Jul 15, 2018