フリーランスの定義は、さまざまな機関によって異なる側面から捉えられています。この記事では、内閣官房による統一調査をはじめ、内閣府、中小企業庁、厚生労働省のそれぞれの調査について、その違いを紹介します。
1. 内閣官房による統一調査
調査目的と定義: 内閣官房はフリーランスの実態把握を目的に、以下の定義に基づいて調査を行っています。
- 自身で事業等を営んでいる
- 従業員を雇用していない
- 実店舗を持たない
- 農林漁業従事者ではない
- 法人の経営者を含む
サンプル:144,342人
調査期間:2020年2月10日~3月6日
フリーランスの人数 = 462万人
調査結果: 内閣官房による統一調査によれば、フリーランスの人数は462万人(本業214万人、副業248万人)と推計されています。
2. 内閣府の調査
調査目的と定義: 内閣府政策統括官(経済分析担当)は、フリーランスの経済活動を分析するために調査を行っています。この調査でもフリーランスの定義は内閣官房と同様ですが、より経済的な側面に焦点を当てています。
- 自身で事業等を営んでいる
- 従業員を雇用していない
- 実店舗を持たない
- 農林漁業従事者ではない
- 法人の経営者を含む
サンプル:50,000人
調査期間:2019年1月28日~3月4日
フリーランスの人数 = 341万人
調査結果: この調査によると、フリーランスの人数は341万人(本業178〜228万人、副業112〜163万人)とされています。定義の違いにより、306~341万人の幅があります。
3. 中小企業庁の調査
調査目的と定義: 中小企業庁は、主にフリーランスを含む小規模事業者の実態を把握するために調査を行っています。この調査も内閣官房の定義に基づいていますが、小規模事業者全体の観点からフリーランスを捉えています。
- 自身で事業等を営んでいる
- 従業員を雇用していない
- 実店舗を持たない
- 農林漁業従事者ではない
- 法人の経営者を含む
サンプル:62,415人
調査期間:2019年1月11日~1月31日
フリーランスの人数 = 472万人
調査結果: 中小企業庁の調査では、フリーランスの人数は472万人(本業324万人、副業148万人)と推計されています。
4. 厚生労働省の調査
調査目的と定義: 厚生労働省は、フリーランスの労働環境や雇用形態の類似性に着目して調査を行っています。この調査では、以下のようにより詳細な定義が設けられています。
- 自身で事業等を営んでいる
- 従業員を常時使用していない
- 個人事業主等で店主ではない
- 農家や漁業者ではない
- 業務の委託を受けている
- 事業者が直接の取引先
- 法人の経営者を含む
サンプル:18,377人
調査期間:2019年1月15日~2月21日
フリーランスの人数 = 367万人
調査結果: この調査では、フリーランスの人数は367万人と推計されています。この定義には、業務委託を受けていることや直接の取引先が事業者であることが含まれているため、他の調査とは異なる観点でフリーランスを捉えています。
参照:内閣官房日本経済再生総合事務局 フリーランス実態調査結果