キャッチコピーづくりは、短いフレーズのなかに商品の魅力やメッセージを凝縮する、いわば言葉の芸術です。いざ考えはじめると、なかなかアイデアが浮かばなくて途方に暮れてしまう…そんな経験はありませんか? 今回は、キャッチコピーのヒントがなかなか出てこないときに試してほしい5つの方法をまとめました。頭を柔らかくして、さまざまな角度からアイデアを引き出してみましょう。
連想ゲームでアイデアを広げる
キーワードを自由に関連づける
最初におすすめしたいのが「連想ゲーム」での発想法です。たとえば、ある商品やサービスに結びつくひとつのキーワードを用意して、それに紐づく単語やイメージをどんどん書き出してみます。ポストイットやノートを使い、箇条書きでもイラストでも好きな形で構いません。
ポイントは「すぐに正解を求めず、とにかく出しきること」です。思いついたら即メモし、あれこれ評価しないようにします。評価は後回しにし、とりあえず数多くの単語を出していくのです。
思いがけない組み合わせに出会う
連想ゲームで挙がったキーワード同士をつなげたり、あえて真逆のイメージを結びつけたりしてみましょう。たとえば「華やか」「まったり」「吹き抜け」「静寂」など、一見バラバラに見える単語が隣り合うだけで、ちょっと不思議な世界観が立ち上がることがあります。思いがけない組み合わせは、そのままキャッチコピーになるとは限りませんが、何かしらのインスピレーションを与えてくれます。
この方法は、最初は雑多に見えても後になって「そうか、こういう切り口があったんだ!」と気づくきっかけにつながりやすいのが魅力です。
ターゲットの視点を具体的にイメージする
どんな人が使う(見る、読む)のかを考える
キャッチコピーは「誰に向けて発信するのか」によって大きく変わります。そこでおすすめなのが、ターゲット像を明確に思い描くことです。たとえば20代のビジネスパーソンなのか、シニア世代で趣味を楽しんでいる方なのか。それによって言葉のトーンや扱うテーマはまったく変わります。
同じ商品でも、若者向けならポップで軽快な語り口、落ち着いた年代向けなら少し上品で安心感のある表現が必要になるかもしれません。具体的なペルソナを設定して、相手が何を求めているかを突きつめて考えてみてください。
ターゲットの悩みや楽しみを言語化する
ターゲットをイメージしたら、その人たちが普段抱えている悩みや楽しみを洗い出しましょう。たとえば、スマートフォンのケースを売りたいなら、「持ち運びしやすく、おしゃれで、しかも丈夫」というニーズがあるかもしれません。そこから「どんなときに壊れやすい?」「どんな色だと気分が上がる?」など、より詳細に考えてみるのです。
この作業が進むと、「雨の日でも安心」「プチプラで着替えるように楽しめる」などの具体的なキーワードが浮かんできやすくなります。相手の立場に立って、「あ、これ自分が欲しかったものだ」と思ってもらえるようなフレーズづくりを目指すと、コピーに説得力が増すはずです。
言葉を逆手に取ってみる
意表を突くフレーズで興味を引く
キャッチコピーは、一瞬で目と心をつかむインパクトが重要です。そのためには、言葉を逆手に取ったり、思わず「ん?」と引き返してしまうようなフレーズを仕込んだりするのが効果的です。たとえば「絶対に読まないでください」「小さくて、大きな革命」など、一見矛盾している言葉が並ぶと、人は続きを読みたくなるもの。
ただし、過度な誇張表現や過激な文言は避けたほうが無難です。インパクトを求めるあまり、根拠のない煽りや不快に感じる言い回しにならないよう、バランスを取ることが大切ですね。
ありふれた表現をあえて崩す
「新発売」「限定価格」「注目の新作」など、よく目にするフレーズはどうしても埋もれがちです。そこで、あえて少し言い回しを変えてみるだけでも印象がガラッと変わります。たとえば、「世界初」を「ついに地球デビュー!」と表現したり、「特別価格」を「財布に優しい、ちょっとだけ嬉しい割引」に言い換えたりするなど、遊び心を持って試してみてください。
言葉に少しだけ“ずれ”や“外し”を入れると、読む側の目に止まりやすくなります。身近な表現だからこそ、ほんの少しの変化が大きなインパクトを生むのです。
名コピーから学ぶ
有名広告や作品のフレーズを研究
世の中には、長く人々の心に残る名コピーがいくつもあります。大型企業のCMや雑誌広告、映画の宣伝ポスター、さらには小説の帯などに目を向けると、秀逸な言葉の数々に出会えるはずです。そのなかで「これ、なんだか心に残るな」と感じるフレーズをピックアップしてみましょう。
大事なのは「なぜこのフレーズは心に残るのだろう?」と問いかけることです。韻を踏んでいるから覚えやすいのか、意表を突くワードが入っているのか。それともシンプルで力強い言い回しだからなのか。こうした視点で分析すると、キャッチコピーづくりのヒントが見つかります。
構造やリズムを盗んでアレンジ
たとえば「○○より、○○。」という対比構造や、「○○を、○○する。」といった短いフレーズの反復など、名コピーには一定のパターンやリズムがあることが多いです。それらの“型”を理解して、自分のテーマに当てはめてみると、新しい発想が生まれやすくなります。
もちろん、単純に言葉を置き換えるだけでは“模倣”で終わってしまいがちです。そこに自分ならではのアイデアや情感を足すことで“アレンジ”へと昇華させ、オリジナリティのあるキャッチコピーにつなげてみましょう。
自分だけの体験をヒントにする
意外なところにオリジナリティが眠っている
キャッチコピーづくりに行き詰まったら、「自分の身近な体験や感覚」を見直してみましょう。どんなに日常的なことでも、その人独自のエピソードや気づきがあれば、それは立派なアイデアの種になります。たとえば、カフェで友人とおしゃべりをしていてふと感じたこと、旅先で見かけた風景で思い浮かんだ言葉など、些細なトピックをノートに記録しておくと、いざというとき役に立つかもしれません。
一見関係ないように思える個人的な体験でも、うまく商品やサービスと絡めることで「ありそうでなかった切り口」が生まれることがあります。
小さな気づきが共感を呼ぶ
大きなイベントや特別なエピソードだけが、キャッチコピーのネタになるわけではありません。むしろ日々の小さな気づきや失敗談のほうが、多くの人に「わかる!」と共感してもらいやすいものです。たとえば「朝、目覚ましを止めてから一瞬だけうとうとしてしまう甘い時間」など、誰もが経験する瞬間の心地よさを切り取って商品と結びつけられないか考えてみるのも面白いですね。
こうした“共感のタネ”を拾い上げると、「私もそれ感じたことある」「ちょっとクスッとなる」という親近感が湧きやすいフレーズに仕上がります。
まとめ – さまざまな角度からアイデアを呼び起こそう
キャッチコピーは、商品の魅力や物語、そして書き手の個性が凝縮された大切なメッセージです。短い言葉でありながら、考えれば考えるほど迷宮入りしてしまうこともしばしば。そんなときこそ、今回ご紹介した「連想ゲーム」「ターゲット視点」「言葉の逆手使い」「名コピーからの学び」「個人の体験活用」といった5つのアプローチを試してみてください。
アイデアは、ひとつの方法だけではなかなか完璧には生まれないかもしれません。ですが、いろいろな角度から刺激を与えてあげることで、思いもよらない“化学反応”が起こるものです。最初はピンとこなくても、いくつかの方法を組み合わせるうちに「これだ!」というヒントに出会えることがあります。
ぜひ、自分が書きたいコピーのテーマや目的を再確認しながら、試行錯誤してみてください。ふとした瞬間に湧き上がるアイデアも大切にメモしておけば、いざというときの助けになります。キャッチコピーづくりは、自分自身の感性を磨きながら、世の中への視野を広げる良い機会でもあります。楽しみながらアイデアを紡ぎ、あなたならではのフレッシュな言葉を生み出していってくださいね。
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