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世界とのつながり

クリエイターはひとりきりに見えても、ちゃんと世界とつながっている

デスクに向かう毎日の中で

最近、ふと自分の働き方について考えることが増えました。僕はフリーランスのデザイナーとして、小さな事務所で仕事をしています。デスクに向かい、パソコンの画面と向き合い、手元のスケッチブックにアイデアを描き込み、気がつけば夕方になっていることもあります。

こうした日々は、直接誰かと顔を合わせて話す機会が少なめです。メールやチャットでクライアントとやりとりをし、気が向いたときにSNSを覗く程度の他者との接点。昔の僕なら「もっと人とつながらなくては」と焦ったかもしれません。

かつては、積極的に人脈を広げようと無理をした時期もありました。業界の交流会に顔を出してみたり、コミュニティに参加したり。あまり気乗りしない集まりに赴くと、場に馴染めずに帰ってくることが何度もありました。そのたびに「ああ、こういう場はちょっと苦手なんだな」と落ち込み、気づいたのです。「無理に人とつながらなくてもいいのかもしれない」と。そう思えるようになってから、ずいぶん気持ちが楽になりました。

ひとりの時間が生み出すちょっとした深み

ひとりで仕事をしていると、自分のリズムで集中できます。周囲に合わせる必要がなく、アイデアが浮かべばそのまま深く掘り下げることができます。気を散らすものが少なく、作業に没頭することで生まれる「深み」は、ひとりだからこそ得られるものではないでしょうか。誰にも急かされず、自分のペースで考え、手を動かし、納得いくまでブラッシュアップする。こうした時間は決して無駄ではなく、むしろ自分の感性を耕している貴重な期間だと感じます。

もちろん、人と直接話すことで得られる刺激やアイデアは大きいです。それを否定するつもりはありません。ただ、「今はひとりでじっくり取り組みたい」という自分の気持ちを認めてあげることも大切なのだと思います。無理に外向的になろうとせず、「今はこれを頑張りたいんだ」と胸を張って言える状態なら、それが何より自然です。

 

世界に満ちている静かなリンク

デザイナーたち

ひとりで作業していると、世界から切り離されているように見えるかもしれません。でも、今はネットを通じて、いつでもどこかの誰かとゆるやかにつながっています。デザイン関連のポートフォリオサイトを開けば、世界中のクリエイターの作品が一瞬で目に飛び込んできます。SNSを見れば、共感する作品に「いいね」をつけたり、参考になるノウハウを共有してくれる人がいます。コメントを残せば、言葉や文化が違っても、何らかの反応が返ってくることもあります。

こうした「静かなつながり」は、派手な交流や自己アピールをしなくても、自然に生まれていくものです。ひとりで事務所にこもってデザインをしていても、その成果物はネットを介して世界中の人々とリンクする可能性を秘めています。かつては直接会わなければ得られなかった縁が、今は地理的な距離を超えて芽生えます。僕たちは、すでに見えないネットワークのなかで、お互いをゆるやかに支え合っていると言えるのではないでしょうか。

焦らなくて大丈夫、本気なら自然と人が集まる

「でも、やっぱりリアルなつながりが欲しい」という方もいるかもしれません。実際、顔を合わせて話したり、同じ空間を共有したりすることから生まれる信頼感や刺激は格別です。たとえば、クライアントと実際に会って打ち合わせをすれば、言葉では表しにくいニュアンスが通じやすくなりますし、相手の表情や声のトーンからさまざまな情報を得ることができます。

しかし、それを「今すぐ手に入れなくては」と焦ってしまうと、本当に大切なものが見えなくなってしまうこともあります。今、夢中になれる制作や仕事があるのなら、まずはそこに思い切りエネルギーを注いでみることをおすすめします。真剣に何かをつくり続けていれば、その姿勢は必ず誰かの目にとまるはずです。直接声をかけられなくても、作品が少しずつ共有されたり、誰かに紹介されたりして、思わぬ縁が生まれることは多々あります。

僕自身、人付き合いが得意とは言えないタイプです。それでも、不思議なことに、真剣な取り組みが自然と人との接点を運んできてくれた経験が何度もあります。いつの間にか「この人と一緒に仕事をしてみたい」という声がかかったり、友人経由で新しい案件が舞い込んだり。そのたびに、無理をして急ぐ必要なんてなかったのだと実感します。

ひとりで過ごすことも自分らしさ

僕がフリーランスになった大きな理由のひとつは、自分のペースで仕事を進めたいという思いでした。朝はゆっくり始動したい、集中したいときは静かな環境で黙々と取り組みたい、疲れたらふらりと散歩に出て頭をクリアにしたい――そんなマイペースな働き方は、ひとりでいる時間がどうしても増えます。

けれど、その時間を「孤独」と呼ぶのはもったいないです。それはむしろ自分を耕し、育てるための時間ともいえます。事務所の中でデスクに向かいながら、内面のアイデアや感覚を丁寧に磨く。いつかそれが、新しいデザインや企画という芽を出し、誰かの心に届く作品に育つかもしれません。そう考えれば、ひとりで過ごすことは自分らしさを伸ばすために必要です。

 

おわりに – 無理なくいられる心地よさ

フリーランス

世界とつながる方法は、決してひとつではありません。何かのコミュニティに属したり、人脈を広げたりすることだけが道ではないはずです。ひとりきりで黙々と取り組む日々のなかにも、見えないつながりは存在しています。それは、真剣に何かを生み出そうとする限り、どこかで誰かが見ていて、感じ取ってくれるものではないでしょうか。

無理に「今すぐ人とつながらなくちゃ」と気負わなくてもきっと大丈夫です。本気で向き合っているものがあるなら、その熱量はじわじわと伝わっていきます。時間はかかるかもしれませんが、それでも自然体でいるほうがずっと心地よく、長続きします。

人付き合いが得意ではない僕が言うのですから、少しは信じてみてください(笑)

たとえ今はひとりでも、ちゃんと世界とつながっています。自分のペースを大切に、無理なく進んでいきましょう。それでいいんだと思います。

 

無理して今すぐに人と繋がらなくてもいい。今大事にしたい取り組みがあればそれを頑張ればいい。デスクに向き合っても、アトリエにこもっていても、世界と繋がれる時代。大丈夫、真剣なら焦らずとも自然と繋がります。僕はそう思います。人付き合いに乏しい僕が言うんだから信じてほしい…(笑)

X (Twitter) – Mar 20, 2020



この記事は過去の自分のX(Twitter)のポストを元に、編集しています。

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グラフィックデザインを中心とした小さなデザイン事務所を経営しています。スタッフや外部のデザイナーさん・ライターさんに助けられながら、コツコツと地道に仕事をする日々が気に入っています。パッケージメーカーのデザイナーとして新卒入社→美容系のベンチャーに転職→家庭用品メーカーに転職...という流れを経て、その後独立しました。フリーランスデザイナーとして、10年以上の経験から学んだことや雑記をブログにしています。情報発信が趣味に近く、それが興じてPhotoshop関連の本を出版したり、noteを執筆したりしています。