デザインリサーチを体系的に進める方法とテンプレートの紹介
優れたプロダクトやサービスを生み出すには、ユーザーを深く理解することが欠かせません。そのためにデザインリサーチは重要なプロセスですが、初心者にとってはどこから手をつけていいか分からないもの。そこで今回は、デザインリサーチを体系的に進めるための方法と、便利なテンプレートをご紹介します。
定量データ(Quantitative)と定性データ(Qualitative)の違いを理解する
リサーチ手法は、得られるデータの種類によってQuantitative(定量的)とQualitative(定性的)に大別されます。Quantitativeは数値化できる客観的なデータ、Qualitativeは言葉や行動から得られる主観的なデータを扱います。両者の特徴を理解し、目的に合わせて使い分けることが重要です。
ユーザーの行動を理解する (Behavioral)
ユーザーが実際にどのように振る舞うかを定量的に把握しましょう。代表的な手法としては、A/Bテストやプロトタイプテストが挙げられます。複数のデザイン案を用意し、それぞれの効果を数値化することで、よりユーザーに受け入れられやすい案を見極めることができるでしょう。
ユーザーの考えや感情を探る (Attitudinal)
一方で、ユーザーがどんなことを考え、どのように感じているのかという定性的な側面も見逃せません。カードソーティング※で情報設計への示唆を得たり、ブレインストーミング※でユーザーの抱える課題を深掘りしたりと、様々な手法を状況に合わせて使い分け、ユーザーの本音に迫ることが大切です。
カードソーティング
カードソーティングは、ユーザーの認識に基づいて情報を整理するための手法です。
①調査対象の情報を一つ一つカードに書き出します。
②ユーザーにカードを渡し、自由に分類してもらいます。
③できあがったグループとその理由を分析します。
ユーザーがどのような基準で情報をまとめるのかを知ることで、ユーザー視点に立った情報設計ができるようになります。
例えるなら、クローゼットの中身を整理するようなイメージです。服の種類やTPO、自分なりの基準で分類することで、必要な服を探しやすくなりますよね。それと同じように、Webサイトやアプリの情報も、ユーザーにとって直感的な形で整理することが大切です。
ブレインストーミング
ブレインストーミングは、アイデアを出し合うためのグループ思考法です。
①テーマを決め、自由に意見を出し合います。
②アイデアの質より量を重視します。
③他の人のアイデアを批判せず、発展させます。
④出たアイデアを整理・評価します。
みんなで料理を考えるようなものです。「お腹が空いた!何を作ろうか?」と聞かれたら、
「カレーがいいな!」 「じゃあスープカレーは?」 「ナンもつけよう!」
と、次々にアイデアが膨らんでいきますよね。
ブレインストーミングも同じで、一人では思いつかないようなアイデアが、みんなの発想を借りることでどんどん生まれてくるのです。自由な雰囲気の中で意見を出し合う(なるべく否定的にならない)ことが、ブレインストーミングのポイントです。
総合的な分析と改善アクション
定量データと定性データ、それぞれから得られた知見を掛け合わせて分析を行いましょう。片方の視点だけでは見落としがちな問題も、両側面から見ることで浮かび上がってきます。ユーザーの行動の理由が、心理面にあることも少なくありません。分析結果から導き出されたインサイトを基に、具体的な改善案を立案しましょう。
デザインリサーチはデザイナーの主観に頼るのではなく、ユーザーの実態を客観的に見つめ直す作業です。テンプレートを活用することで、スピード感をもってリサーチを行うことができます。Miroでは、デザインリサーチのテンプレートをはじめとして様々なテンプレートが利用可能です。
また、一回限りではなく継続的にリサーチを実施し、デザインを改善し続けることが理想的だと言えるでしょう。ぜひ定期的にリサーチを行い、ユーザーとともに成長するデザイン・プロダクト・サービス開発を目指してみてください。