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会社員デザイナー時代はどんな感じだったのか

会社員デザイナー時代はどんな感じだったのか。

フリーランスのデザイナーとして働く前は、会社員デザイナーとして働いていました。2回転職をしているので、3社経験している事になります。僕は現在、デザイン事務所を運営していますが、いきなりフリーランスになっていたら全く上手くいかなかったと思います。

過去の会社にコネがあるとか、そういうことではありません。映画ベストキッドではないですが、会社員デザイナーとして働く中である程度独立した時に役立つスキルや思考が自然と身についていたのです。

 

1社目 : 商品パッケージの製造会社に入社

パッケージメーカーに入社

新卒として初めて入社した会社は、デザインの専門会社ではなく、様々な企業の商品パッケージを製造する会社でした。

そこのデザイン部に所属し、僕は主に構造設計を担当していました。グラフィックデザインを行う機会は少なく、illustratorよりもCAD(図面ソフト)と向き合う時間が圧倒的に長かったです。

製造業ですから、単にお洒落なものを作れば良いというハナシでは済まず、「これは予算内で製造可能なのか?」「これは内職の手を煩わせる設計ではないか?」「1mの高さから落としても商品は保護されるか?」「この表現は優良誤認ではないのか?」などなど…見た目がOKとなった後も様々なやりとりがありました。【見た目の良いものを作る=デザイン】ではないという事を自然と学んだのがこの会社です。

社内政治

また大企業という範囲に入る規模だったので、多様な部署が存在し、部署や組織同士の軋轢なども経験しました。色々な人が部署の思惑で行動していて、衝突することもしばしばでした。その中で生き残る為に「キーマン」を把握して「根回し」するということを覚えました(笑) 同じ事を実行する場合でも、話の通り方が面白いくらい違います。大人ってずるいなーと思いましたね。

 

デザイナー

デザインチームは僕以外の全員がベテランで、親鳥のように皆で頼りない僕の面倒を見てくれました。基礎的なスキルはここで叩き込まれたと言っても過言ではありません。

ただ、当時の労働環境は決して良いとは言えませんでした。毎日夜中まで働いて、朝早く出社するスタイルが定着していて、本当に仕事しかしていませんでした。

これについてはタイミングが良かったなと思います。当時の僕はもっともっとデザインがしたかったし、学びたかったんです。20代前半と若く、将来のことや、仕事と遊びのバランスなんて全く考えていませんでした。ガムシャラモードの僕は、ドップリと仕事に浸ることができたのです。

 

ただ、一つ不満がありました。

グラフィックデザインがなかなか出来なかったことです。パッケージを製造してなんぼの会社だったので、どちらかというと設計に重きを置いており、グラフィックはオマケという印象がありました。その為僕は1度目の転職を決意します。

 

2社目 : 美容関連の企業へ転職

今度は美容室やカフェを運営する企業へと転職しました。この会社を選んだ理由は、もちろんグラフィックデザインが出来るからというのが1つ。もう1つは、比較的少人数で運営されている事でした。1社目は会社が大き過ぎて、一体これは何のプロジェクトなんだ?と思いながら働くこともありました。今度は、コアな組織の中で会社がどのように経営されるのかを見たいと考えたんです。

デザイナー

経営陣や社長との距離も近く、自社の商品企画などは打ち合わせの段階から入ることが出来ました。製造を知っているという前職の知見も活かすことができ、自由にやらせてもらったと思っています。アシスタントもつきました。

グラフィックデザインのスキルを高めるという目的も達成でき、独立という考えもボンヤリと浮かぶことがありました。が、浮かんでは消え…という感じでしたね。

 

この頃、個人でもデザインの仕事を請け負うようになっていました。当然、勤務時間は個人の仕事を行うことができないので、WEBからメールなどで受注するスタイルを取っていました。これが現在の仕事のスタイルのベースになっています。

 

3社目 : 家庭用品メーカーへの転職

独立を意識しつつも、いまひとつ踏ん切りが付かず、3社目へ。

ここでの大きな経験は、広報部を立ち上げ、自社商品の宣伝などを行ったことです。

広報部の立ち上げ

社会人としてのスキル・デザインのスキルは過去の2社で大いに学ぶことができましたが、自身のスキルを宣伝する方法については未知な部分がありました。それを会社に勤めながら、会社の予算で実験できたわけです。品質管理や法務に関わることも勉強しました。実際、広報活動は企業の成果にもつながりましたし、ここで独立に必要なカードが揃ったように感じました。

この会社を最後に、僕は独立して今に至ります。

 

※ハードランディングではありません

いきなりスパン!と独立した訳ではありません。

少しづつ準備

実は1社目の段階から、WEBサイトを持ち、少しづつ(はじめは無料でもやりました)実績と経験と貯めていました。ライブハウスに宣伝チラシを置いてもらうために一日中自転車で走り回ったこともありました。この行為は徒労に終わりましたが、そんな事は一つや二つではありませんでした。本業会社員のメリットは、多少失敗しても即座に金銭的な不安に陥らない事です。失敗からの学びは貴重です。自分を追い詰めるスタイルで独立すると、失敗を恐れやすくなります。

趣味から徐々に副業へ、じわりじわりと前進し、やがて離陸できる速度に達したという感じです。

 

みなさん、したたかに生きましょう。

 



グラフィックデザインを中心とした小さなデザイン事務所を経営しています。スタッフや外部のデザイナーさん・ライターさんに助けられながら、コツコツと地道に仕事をする日々が気に入っています。パッケージメーカーのデザイナーとして新卒入社→美容系のベンチャーに転職→家庭用品メーカーに転職...という流れを経て、その後独立しました。フリーランスデザイナーとして、10年以上の経験から学んだことや雑記をブログにしています。情報発信が趣味に近く、それが興じてPhotoshop関連の本を出版したり、noteを執筆したりしています。