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転職と進路

転職を重ねて見えてきた道〜遠回りがもたらしてくれたもの

迷いながらも会社員デザイナーとしてスタート。

僕は今でこそフリーランスとしてデザイン事務所を運営していますが、最初は会社員としてデザイナーのキャリアを始めました。大学を出て最初に入った会社では、右も左もわからない状態で毎日をこなしていました。上司や先輩デザイナーに鍛えられながら、仕事の進め方やクライアントとのやり取りの基本を学んだのをよく覚えています。最初は作業スピードが遅かったり、思うような成果物が作れなかったりして落ち込む日も多かったです。でも当時の経験が、今の自分を形作る基礎になっているのは間違いありません。

あの頃は自分の技術やセンスを磨きたくて、雑誌やウェブの記事を読み漁ったり、休日にポートフォリオをブラッシュアップしたりしていました。苦しかったけれど、何かに一心不乱に取り組むのは楽しかったですし、「もっと良いものを作れるようになりたい」という純粋なモチベーションが僕を支えてくれました。

二度の転職で広がった視野

最初に入った会社で数年勤めた後、もっと幅広い分野のデザインに挑戦したいと思い、転職を決意しました。これが僕の初めての大きな転機でした。異なる業界の企業に移ると、扱う案件の種類も違えば求められるデザインテイストも変わります。そこでは自分が興味を持った新しい技術を吸収できたり、自分にはまだ足りていなかった知識を得られたりして、想像以上に刺激的でした。

さらにもう一度転職し、結果として3社を経験することになりましたが、そのおかげでさまざまな人との出会いや多種多様なプロジェクトに関わる機会に恵まれました。それぞれの会社で得られることはまったく違っていて、「この方法が自分に合っている」「あの組織の進め方は自分には合わない」といった客観的な気づきが増えたのも大きかったです。働き方や組織の在り方、人と協力する難しさと面白さ。転職するたびに、新鮮な学びが生まれました。

 

遠回りに思えた日々の必要性

オフィスで会議するビジネスマンたち

もし僕が最初からフリーランスの道を選んでいたら、今のようには成長できなかったと思います。会社員時代には、仕事をスケジュール通りに進める厳しさや複数の関係者と調整する大変さ、経理や契約まわりの処理を専門部署がやってくれるありがたさなど、組織だからこそ得られるリアルな経験が山ほどありました。

特に、クライアントワークをいかに円滑に進めるかという視点は、会社員としての実務を重ねる中で培われたものです。たとえば、プレゼンの準備にどれだけ時間をかけるべきか、どうやってプロジェクトメンバーの意見を整理すればいいのか、スケジュールの遅延を最小限にするにはどのような段取りが必要なのか――これはどれだけ本を読んでも実際に体験しないと身につきませんでした。

遠回りをしているようでいて、実は一歩ずつデザインの世界を理解し、人と仕事をする上での心構えを築いていたのだと今ははっきり思います。

自分のペースで、でも周りを見渡しながら

会社員として経験を積んだ後、勇気を出してフリーランスに踏み切ったときは、不安よりもワクワク感のほうが強かったです。もちろん、軌道に乗せるまではいろいろ苦労がありました。でも会社員時代の経験が活きたおかげで、クライアントへの提案やビジネス上のやり取りも比較的スムーズにこなせたと思います。

最初のうちはどうやって活動をすればいいかわからず、友人や先輩デザイナーに相談したり、小さな仕事から地道に実績を積んだりしていました。そんなときも、これまで関わってきた企業や上司、同僚の顔を思い浮かべると、自分が独りぼっちではないと思えたんです。過去の職場で築いた人とのつながりや培ったスキルが、自分の背中を押してくれていました。

僕が信じていること

「転職を繰り返すのはキャリアに傷がつくんじゃないか」という声を耳にすることもありますが、僕自身はそうは思いません。もちろん周囲の理解やタイミングは大切ですが、自分の求める方向性がはっきりしていれば、それを探しに行くのは決して悪いことではないはずです。転職先ごとに持ち味の違う経験をすることで、自分の強みや弱みが一層見えてきます。

そして遠回りのように感じても、その一歩一歩が後になって大きな財産になると、僕は信じています。フリーランスで働き始めてから特にそう感じるようになりました。どんな道を選ぶにせよ、歩んできた軌跡は決して無駄にならない。そうやって踏み固めてきた道こそが、今の自分を支えてくれているのだと思います。

 

最後に – 過去の自分に伝えたいメッセージ

旅

もし過去に戻ってデザインを始めたばかりの自分にひとこと伝えられるなら、「遠回りでもいいから、いろいろな景色を見ておけ」と言いたいです。遠回りはときに焦りや不安を生むものですが、その分だけ視野が広がり、考え方の厚みが増すと思うからです。僕は3社を経験し、組織の役割や働き方の違いを知ることで、フリーランスとしての自分の立ち位置をしっかりと考えられるようになりました。

キャリアの中で何度か方向転換をするのは、むしろ自然なことだと思います。僕の場合は2回の転職がその助けになりました。そして今、僕はフリーランスという働き方を選んで、心から良かったと思っています。遠回りから得たものを大切にしながら、これからもゆっくりと前に進んでいきたいですね。

 

フリーランスのデザイナーとして働く前は、会社員デザイナーとして働いていました。2回転職をしているので、3社経験している事になります。僕は現在、デザイン事務所を運営していますが、いきなりフリーランスになっていたら全く上手くいかなかったと思います。

X (Twitter) – Sep 6, 2020



この記事は過去の自分のX(Twitter)のポストを元に、編集しています。

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グラフィックデザインを中心とした小さなデザイン事務所を経営しています。スタッフや外部のデザイナーさん・ライターさんに助けられながら、コツコツと地道に仕事をする日々が気に入っています。パッケージメーカーのデザイナーとして新卒入社→美容系のベンチャーに転職→家庭用品メーカーに転職...という流れを経て、その後独立しました。フリーランスデザイナーとして、10年以上の経験から学んだことや雑記をブログにしています。情報発信が趣味に近く、それが興じてPhotoshop関連の本を出版したり、noteを執筆したりしています。