「フリーランスとして働きたいけど、不安がいっぱい…」「会社員よりも自由で稼げるイメージがあるけど、実際はどうなんだろう?」
近年、働き方の多様化が進む中、デザイナーを含むクリエイターの間でフリーランスという働き方が注目されています。しかし、その一方で、「偽装フリーランス」という言葉も耳にするようになりました。自由な働き方を実現するはずのフリーランスが、なぜ「偽装」という言葉と結びつくのでしょうか?
この記事では、デザイナーが知っておきたい「偽装フリーランス」の実態と、被害に遭わないための対策について解説していきます。これからフリーランスとして活動を始めようと考えているデザイナーの方、すでにフリーランスとして活動している方も、ぜひ最後まで読んで、自分を守るための知識を身につけましょう。
偽装フリーランスとは?
「偽装フリーランス」という言葉は、一見すると矛盾しているように聞こえるかもしれません。フリーランスとは、本来、個人事業主として独立して働くことを指します。しかし、実際には、会社から指示された仕事内容や業務時間に従い、まるで従業員のように働かされているケースも少なくありません。このような状況を「偽装フリーランス(偽装請負)」と呼びます。
そもそも「偽装フリーランス」ってどういう状態?
「偽装フリーランス」とは、「従業員とほぼ変わらない働き方にも関わらず、フリーランスとして契約されている状態」を指します。具体的な例として、以下のような状況が挙げられます。(※どこまでが許容範囲かは、総合的に勘案する必要があります)
- 会社から指示された業務方法(指揮命令)に従って仕事をする
- 会社から決められた時間に出社・退社する
- 勤務場所が指定されている
- 従業員と扱いが変わらない
一見、フリーランスのように見えるかもしれませんが、会社からの指揮命令に従って業務を行っているため、実質的には従業員と変わりありません。このような状況下では、労働時間や休暇、労働条件などの面で、本来のフリーランスとしての権利や自由が制限される可能性があります。
なぜ「偽装」と呼ばれるのか? その問題点とは?
「偽装フリーランス」は、会社が本来負うべき責任を回避するために行われることが多いと言われています。会社は、フリーランスとして契約することで、労働時間や休暇、労働条件に関するルールを回避し、人件費を抑えることができるからです。また、労災や雇用保険などの社会保険の負担を減らすこともできます。
これはフリーランスにとって非常に不利な状況です。実質的には社員のような扱いにもかかわらず、労働時間や労働条件に関する法的な保護を受けられず、不安定な労働環境に置かれるリスクがあります。また、会社側は、契約したフリーランスに対して、従業員のように管理したり、指示したりすることができてしまうため、本来のフリーランスとしての自由が制限されてしまいます。
デザイナーが「偽装」に巻き込まれないための対策
「偽装フリーランス」に巻き込まれないためには、事前に対策を講じておくことが重要です。ここでは、デザイナーが「偽装」を回避するためにできる対策をいくつか紹介します。
契約書をよく確認しよう!
「偽装フリーランス」かどうかを見抜く上で最も重要なのは、契約書の内容をしっかりと確認することです。契約書の内容をよく理解した上で、自分が納得できる内容であることを確認しましょう。
特に、以下の点に注意して確認しましょう。
- 業務内容:どのような業務を行うのか、具体的な内容が明確に記載されているかを確認しましょう。依頼内容が曖昧な場合は、会社から指示された業務内容に従うことになり、自由な働き方が制限される可能性があります。
- 報酬:報酬の金額や支払方法、支払時期などが明確に記載されているかを確認しましょう。
- 労働時間:労働時間や休憩時間などが記載されていないかを確認しましょう。会社から指示された時間内に業務を完了するように求められる場合は、「偽装フリーランス」の可能性があります。
- 休暇:休暇等を取得する際に、会社に許可が必要になる場合は、「偽装フリーランス」の可能性があります。
「偽装フリーランス」って違法なの?
「偽装フリーランス」は、労働基準法違反にあたる可能性があります。労働基準法では、労働者を保護するため、労働時間、賃金、休暇、社会保険などの労働条件に関するルールが定められています。「偽装フリーランス」は、こうした決まり事を回避するために、労働者を「フリーランス」と偽って契約しているため、違法となる可能性があります。
「偽装」と「本当のフリーランス」の違いは?
「偽装フリーランス」と「本当のフリーランス」の違いは、仕事内容、労働時間、報酬などの条件に関する決定権にあります。「偽装フリーランス」は、会社からの指示に従って仕事をするため、仕事内容や条件を自分で決めることができません。一方、本当のフリーランスは、自分の裁量で仕事内容を決定し、稼働時間や報酬などの条件を自分で決める(or 拒否する)ことができます。
「偽装」と疑わしい場合、どうすればいい?
「偽装」と疑わしい場合は、まず冷静に状況を判断し、適切な対策を検討することが大切です。会社と交渉する、弁護士や労働組合などに相談する、労働基準監督署に相談するなど、様々な手段があります。一人で抱え込まず、相談できる窓口に連絡を取りましょう。
まとめ -「偽装」を見抜いて、自分を守る!
この記事では、デザイナーが知っておくべき「偽装フリーランス」の実態と、被害に遭わないための対策について解説しました。フリーランスとして働くことは、確かに魅力的な選択肢ですが、その一方で、労働条件や待遇に関するリスクも存在します。
「偽装フリーランス」は、決して他人事ではありません。自分の状況を冷静に判断し、適切な対策を講じることで、自分を守るようにしましょう。一人で悩まず、専門家に相談するなど、積極的に行動を起こすことが大切です。