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だまし絵的デザイン作成例

トリックアート・だまし絵を使ったグラフィックデザインの作成例


だまし絵的デザイン作成例

だまし絵、またはトリックアートと呼ばれる不思議な絵のことをご存じですか?一つの絵の中に別のモチーフ、または複数のモチーフが隠されており、脳が錯覚を起こしてしまう手法を使ったものです。グラフィックデザインに取り入れた例を見てみましょう。

トリックアートやだまし絵の最大の特長は、一瞬「何かおかしい」と思わせる点にあります。普段の経験則からは想像しにくいモチーフの組み合わせがあると、私たちの脳は必死に“正しい解釈”を導き出そうとします。その探求心をくすぐるために、見る人が画面に釘付けになりやすいのです。また、アートとしての興味深さだけでなく、商業デザインに活用する場合は商品の印象を強めたり、テーマ性を際立たせたりといった有効な手段にもなり得ます。背景の色づかいや、構図によっても効果が変わるので、作り手のアイデア次第で無限に広がる世界と言えるでしょう。

 

男性と女性が交互に見えるグラフィックデザインの作成例

デザインを見る (via Pinterest)

青い部分は男性、ピンクの部分は女性、それぞれの横顔が合わさった絵です。男性に視点を合わせると女性の姿は見えづらくなり、逆さまになった女性に視点を合わせると、男性の印象が消えてしまうでしょう。不自然な首元のラインに視点を移動すると、首ではなく顔が見えてきます。最低限のラインのみでそれぞれの特徴を描き、2色と白い境界線で表現したシンプルなデザインですが、その不思議さに目が離せなくなってしまいます。

このように、色のコントラストを利用しながら、視点を切り替えることで異なるイメージを浮かび上がらせる手法は、視覚トリックの代表例です。人は何か具体的な形を見つけると、そこに意識が固定されやすいもの。しかし、図と地(背景)を反転させたり、上下を逆さまに配したりすることで、一枚のイラストが複数の意味を同時に持ち始めます。こうしたテクニックは、単に面白いというだけでなく、「二面性」や「多面的な視点」を表現する際に大いに役立ちます。たとえば企業広告では、「相反する要素の融合」を訴求したいときにこの手法を活かすと、見る側の記憶に強く残りやすいでしょう。

 

男性の脚と女性の脚を何本も並べたグラフィックデザインの作成例

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顔のだまし絵同様に、白い女性の脚と黒い男性の脚が交互に見えるグラフィックデザインです。脚は普通、胴体に繋がっているもの。さらに2本しかない脚が何本もそろうため、あり得ない構図に目が惹きつけられてしまいます。白と黒のみで描かれた脚だけのデザインですが、変わった光景につい注目してしまうもの。何を表現しているのか、その意味を考えてしまいたくなります。

脚という限られた部位を繰り返すことで、非現実感を強調するのも、だまし絵ならではの技法と言えます。反復やパターン化はデザインの基本要素ではありますが、その対象が人体の一部となると、やや不気味さや奇妙さを伴います。しかし、その「不快さ」と「興味」の境界線をうまく利用すると、一目見ただけではすぐには理解できない、奥行きのある表現が可能になります。これが見る人の想像力を刺激し、「いったいどうなっているのだろう?」と意識を深掘りさせるわけです。ポスターなどに応用すれば、通行人の足を止める効果も期待できるでしょう。

 

互いの引き金を引く…意味深なグラフィックデザイン

デザインを見る (via Pinterest)

初めて見たとき、「黒い拳銃を握った白い手」という人と、「白い拳銃を握った黒い手」という人、2通りの見え方があるでしょう。手の形をした拳銃をそれぞれが握り合い、左右に引き金を引こうとした瞬間を描いたデザインです。真っ赤な背景が強いインパクトを与えつつ、拳銃というアイテムから「血」を連想してしまう、危険なグラフィックデザインと言えるでしょう。握手をしているようにも見えるのに、逆の意味に捉えてしまう、意味深なだまし絵です。

この作品は、一見すると単純なモノクロ構成に鮮烈な赤を添えたビジュアルですが、まるで協調と対立が表裏一体であるかのようなメッセージを発しています。見る人によっては、「互いに銃を向け合っている」ようにも、「お互いに手を取り合っている」ようにも解釈可能です。だまし絵の持つ「多義性」は、制作者が意図するテーマや社会問題への問いかけを、強い衝撃とともに受け手に届ける大きな武器になります。戦争や差別、対立といったデリケートな題材でも、直接的な表現を避けつつも強く訴えかけることができるでしょう。

 

まとめ

見慣れているはずなのに、どこかおかしさを感じると、脳が錯覚を起こしてしまうもの。目が離せなくなってしまったり、意味を見出そうとしたりと、人々を強く惹きつけてしまいます。だまし絵をグラフィックデザインに使えば、伝えたいメッセージを想像以上に伝えることができるかもしれません。

実際、だまし絵を取り入れたアートや広告は、SNSなどを通して瞬く間に拡散されるケースが増えています。一度見ただけでは理解しきれないビジュアルが、“もう一度見直したい”という好奇心を煽るため、多くの人にシェアされやすいのです。また、複数の意味を持たせる構成は、受け取り手の想像の余地を残すという大きな利点があります。「この絵はいったい何を意図しているのだろう?」「どこに隠されたモチーフがあるのだろう?」と、会話や考察のきっかけを生み出すのです。

だまし絵やトリックアートは単なる奇抜さだけではなく、見る人に新たな視点を提供し、そこから深いメッセージを引き出す力を秘めています。制作の際には、配色や構図の工夫が必要不可欠ですが、そのひと手間が与えるインパクトは他の表現方法では得難いものです。私たちが慣れ親しんだ視覚の仕組みを“あえて狂わせる”ことで、新たな発想やコミュニケーションを生み出す可能性があるのではないでしょうか。

 

「デザインインスピレーション」のコーナーでは、世界中のデザイン制作事例をピックアップして紹介しています。※当ページは世界中のデザイン制作事例を紹介するコンテンツです。当サイトのデザイン実績ではありません。

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