見えないものを視覚化するビジュアル表現の例

ひとの気持ちや観念、雰囲気、音といった、通常は目に見えないものを視覚化しているデザイン事例をピックアップしました。どの作品も、コンセプトが面白いだけではなく、卓越した表現手法ですばらしい仕上がりです。

内なる宇宙を花火を使って表現したビジュアル制作例

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海辺または湖畔にたたずむ少年とおぼしき人影が花火をしています。その花火のけむりが大きく夜空に広がり、さまざまな星雲がひしめく大宇宙に変わっています。この作品には「君ははるかに、自分で思っている以上だよ」という作者のコメントが添えられています。ひとの中に秘められている思いやイマジネーションの力の大きさ、あるいは将来の可能性の大きさを、立ち上る宇宙で表しているのかもしれません。星雲の表現もすばらしいですし、水面への宇宙の映り込みも丁寧に描かれています。砂地のように見えている部分は、上空から見た街の夜景のように見えないこともないです。

音をカラフルに視覚化したビジュアル表現の例

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カラフルな小さな木琴から色とりどりの粒子が跳ね上がっています。音板を叩いて出る音を表しているのがわかります。色の粒子の動きが目に見えるような巧みな表現で、音まで聞こえてきそうです。周波数特性を3Dで再現しているようにも見えます。

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「カラーノイズ」となずけられたシリーズには、ほかにもシンバルや小太鼓、管楽器風の造形などを使った、もっと大掛かりで複雑な作品もあります。

音楽の親しみやすさを表現した広告、ビジュアル表現の例

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ブラジルの音楽といえば、熱狂的に踊るサンバ、そしてささやくように歌うボサノバが代表的です。この広告は、それらとは違う、器楽音楽（インストルメンタル）のイベントのためのものです。ブラジル南部の都市クリチバでおこなわれたこのイベントでは、市内の公園や広場などで楽器が演奏されました。クラシックなど器楽音楽へのとっつきにくさを無くして多くの人々に親しんでもらおう、というのがイベントの目的です。いかにもトロピカルな植物がピアノの周りに集まっています。植物たちは、音楽に集うひとびとや楽器が奏でる音楽のように思えます。インストルメンタルは親しみやすく身近なものであることを表現しているのでしょう。この広告には、サックス、バイオリン、ホルンなどのバリエーションがあります。

一般にアート表現は、多かれ少なかれ目に見えないものを表現しているといっていいかもしれません。たとえば、山の写真は、雄大な山容や、猛々しい岩肌、あるいはみずみずしい緑、といった視覚的な要素そのものの美しさを伝えると同時に、その風景を見た撮影者の感動や観念も表現しています。しかし、広告の世界では一部の製品を除けば、対象の美よりも、むしろ観念的なアイデアやメリットといった目に見えないものを伝えることを目的としていることの方が多いのではないでしょうか。