
今回はウクライナで活動するデザイナーのKat Sova氏の作品を紹介したいと思います。ブランディングやパッケージデザインなど幅広く活躍しています。作品を見たときのはっとするような美しい色選びと、ブランディングの繊細さが特徴的です。※記事掲載はデザイナーの承諾を得ています。(Thank you, Kat Sova!)
Sova氏のパッケージに見る「色で感情を設計する」技法
Sova氏のパッケージデザインが「繊細な色使い」と評されるのは、色を「目立つための道具」としてではなく「感情を喚起する装置」として扱っているからです。淡いラベンダーは「穏やかさ」、くすんだローズは「懐かしさ」、深いインディゴは「静けさ」。色の選択が、商品を手にしたときに消費者にどう感じてほしいかという「感情の設計」に直結しています。
配色を決めるとき、「この色は目立つか」ではなく「この色を見たとき消費者はどう感じるか」を問い直すと、色選びの基準が変わります。目立つことと感情に届くことは、必ずしも一致しません。
淡く優しい色使いが特徴的なビーガンヨーグルトのパッケージデザイン

Green chefはウクライナのヘルシーな植物性の食品メーカーです。彼らのモットーは”Food that Inspires “。Green chefでは毎日のように、新鮮でオーガニックな食品やヨーグルトを製造しています。デザイナーが目指したのは、製品のコンセプトに寄り添ったパッケージを開発、制作することでした。Green chef内のいくつもの製品のパッケージデザインを担当しているので、順に紹介していきますね。

まずはヨーグルトのパッケージデザインです。選んだのはデザイナーズペーパーとガラス瓶を使用したシンプルなデザイン。ヨーグルト自体の色を引き立てるためです。オーガニックのヨーグルト自体の美しい色合いを邪魔しないこと、それを生かすことをポイントにしたんですね。素敵な発想です。
ホワイトやパステルイエロー、ライトピンクなどの優しい自然な色が瓶から見える事で製品の価値も高まります。シンプルなシルバーの蓋に、くるっと巻いたラベルカラーに選んだのは、優しいピンクとホワイトの2色。癖のない上品なフォント選びで上質さがプラスされますね。
ワクワクするような色合いとパターンを使ったフローズンデザートのパッケージデザイン

こちらはGreen chefのフローズンデザートのパッケージデザインです。他のデザイン会社が作った以前のパターンを生かしつつ、新しいパッケージにリニューアルしたそうです。モダンでシンプル、そしてタイムレスなものを目指して透明な箱と、紙のラベルを使ったシンプルな素材が選ばれました。デザートの色がよりパッケージの色を引き立て、デザインの刺激になると考えたそうです。ワクワクするようなイラストと色をレイヤーしたパッケージデザインは優しいロゴのフォントともマッチしていますね。
惹きつけられる瞳のモチーフが印象的なオーガニック食品のパッケージデザイン


Yangはウクライナの健康的な植物性の食品メーカーで、自分の時間と健康を大切にする人のために、手頃な価格で健康的なスナックを提供しています。Kat Sova氏は、Yangについて対等なコミュニケーションでありながらしっかりと敬意を払い、感情的であり、現代的であり、正直であり、シンプルでわかりやすい言葉で話し、勇気があり、冗談を言うような…そのような印象を受けたそうです。

Yang(陰と陽)は、宇宙における相反するものの象徴です。ロゴには、いろいろな意味を持つ「目」のロゴを加えました。ブランドと消費者とのコミュニケーションの重要性、アイコンタクト、また親密性を表現しています。
時代を超えても通用するように、紙の箱とプロピレン製の袋に食品を入れたシンプルなデザインを選びました。透明な窓からお菓子が覗く事で分かりやすく、好奇心が掻き立てられます。深いブルーに合わせて、それぞれの目の色が違うのも面白いですね。強い色と刺激的なモチーフを使っているので、印象としてはオーガニック食品のイメージとは大きく離れているような気がしますが、デザイナーが直接彼らの想いから受けた印象を落とし込んだ作品となったのでしょう。それはそれでギャップが人々の目を惹くことになりそうです。目がモチーフの作品は、いろいろな意味を見出せるので面白いですね。
まるで化粧品のように美しい絵の具のパッケージデザイン


KRASKENは、ウクライナに拠点を置くアクリル絵の具の製造・販売会社です。今回ネーミング、ロゴ、ブランディング、製品パッケージの開発を手がけています。
ロゴとネーミングにはブランドの主なエッセンスが反映されています。KRASKEN=Krasky (ロシア語で絵の具の意味)+Kraken(タコ)と言う言葉を組み合わせて、まるで8本の手を持っているかのように絵を描くことができるクリエイターたちのためのブランドという意味だそうです。面白いですね!
会社の想いとしては、「誰もが絵を描くことができる」ということを示すこと。それは会社のスローガンの「心を開く」ということに基づいています。パッケージは同系色でまとめたシンプルでわかりやすい仕上がり。すっきりとした品の良さを感じさせるロゴ、絵の具のカラーを反映させたバイカラーの配色で高級感があります。机に絵の具が並んでいるのを見るだけで想像力が増すようなワクワクするようなオシャレさです。
絵の具ブランドのパッケージで「商品そのものの色」がパッケージの主役になる設計
Sova氏が手がけた絵の具ブランドのパッケージでは、絵の具の「色」がそのままパッケージの配色に反映されています。赤い絵の具のパッケージは赤、青い絵の具は青。商品の持つ色情報がパッケージの最大のビジュアル要素として機能しています。
この「商品の固有色=パッケージの色」のアプローチは、化粧品の口紅やアイシャドウ、塗料、インク、食品の着色料など「商品自体に固有の色がある」カテゴリーで特に有効です。パッケージの色選びに迷う必要がなく、商品ごとに自然に差別化が成立し、棚に並んだときのカラーバリエーションがそのまま視覚的な魅力になります。
ブランディングから任せてもらえるというのはとても信頼されているデザイナーだという証拠ですね。会社の想いやコンセプトをしっかりと聞き込み、クライアントと対等な立場で作品に反映させられるデザイナーというのは、貴重だと感じます。
design : Kat Sova (Kiev, Ukraine)
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