借景することで広告が完成する広告デザイン例

ほとんどの場合、看板広告はそれ自体で完結していますが、ごく稀に看板の周辺にある景色や環境が広告の一部となることがあります。これは、遠くにある山などの景色を、まるで庭の一部であるかのように利用する造園法として知られる「借景」に似ていて、ピタリと思惑がハマったとき、強烈な印象を残すことになります。借景することで広告が完成する広告デザイン例をご紹介しましょう。(※紹介する広告デザインは当サイトの制作事例ではありません)

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遠く離れたところにある月を拝借した広告例

広告デザイン作例を見る (via Pinterest)

これはメキシコのモデーロ社が作るビールの人気銘柄「コロナ・エクストラ」の屋外広告です。「コロナ・エクストラ」は、ライムを絞って飲まれることが多く、バーなどで注文すると、8分の1の大きさにカットされたライムがボトルの上にのっけられた状態で提供されます。

この広告では、ある時刻に特定の位置から見上げると、カットライムになぞらえた夜空の半月があたかもボトルの上にのっているかのように見えるよう工夫されています。ほんの一瞬のためだけ、しかもその場所にいるごく少数の人にだけ向けられているため、費用対効果が高いとはいえないかもしれません。ですが、このようなドラマチックな広告は人の記憶に長く残り、また口コミによって広く伝播するに違いなく、長期的にみると利益をもたらすことが予想されるのです。

現実と広告の世界とをつなげてみせた広告例

広告デザイン作例を見る (via Pinterest)

こちらでご紹介するのは、プラスチック製の組み立てブロックを展開するデンマークの玩具会社「レゴ（LEGO」）のマレーシアにおける看板広告です。広告内ではブロックで作られた世界が展開され、やはりブロック製のシャチのキャラクターが道路や歩道を自由に泳いでいるようなシーンが描かれています。

ところが、ある位置に立ってその看板をよく見ていると、現実世界にそっくり馴染むように設計されていることがわかります。このほかにも、道路でレゴのモンスターが大暴れしているもの、不意に歩道にあらわれたモンスターがこちらを見て驚いているもの、合計3つの広告が同時に作られたようです。

「想像してみて（Imagine）」とだけ書かれたコピーが、色数の限られたブロックに無限の可能性があることや、子供たちが持っている途方もない想像力を連想させ、大きな感動を覚えます。

まとめ

多くの広告は現実世界とは直接的には無縁のものですが、ときとして、場所や空間全体を丸ごと“体験”できる素晴らしい機会を与えてくれることがあります。「景観の邪魔だ」「うるさい」なんて思われてしまいがちではありますが、邪険にばかりしていると、大損してしまうかも……!? 今回は、広告デザインがイマジネーションの世界を広げる可能性を感じさせてくれる作品を取り上げてみました。