米国サウスカロライナ州でパッケージについて専門知識を教えているThe Packaging Schoolが、商品パッケージに使われる板紙の種類と特徴についての動画を公開しています。今回は、The Packaging Schoolに許可をいただき、動画「板紙の6つのグレードとその特徴」を紹介いたします。多くの商品パッケージが何らかの板紙によって作られています。
以下翻訳内容です。※記事掲載は製作者の許諾を得ています。( Thank you, The Packaging School! )
板紙は食料雑貨店で人気のあるパッケージのフォーマットのひとつです。ブランドとプロダクトの印象を最初に顧客に届ける静かなる店員と言えます。消費者向けコミュニケーションのための主要なメディアであり、買い物客の行動と決定に影響を与えます。
しかし、細かいところまで突き詰めて見ていくと板紙ごとに違いがたくさんあります。板紙をあつかっている業者と話をすれば、価格が大きく変動することや選択肢が多くあることがわかるでしょう。
では、板紙を使ってデザインするときに間違えないためにはどうすればいいでしょうか。
経験を積んだパッケージの専門家なら板紙のグレードを理解しています。板紙のグレードを理解することは大切です。グレードごとに強度が異なります。重要な点は、グレードによって最大50パーセントまでの価格の違いがあるということです。この動画では、板紙で一般的な6つのグレードを紹介し、その特徴や用途を説明します。
#1 漂白硫酸塩ボード
– 漂白硫酸塩ボード(Solid Bleached Sulface)
– 別の名称:SBS、SBB、Food Board(食品用板紙)
– 高価な最高グレード
まず最初は「漂白硫酸塩ボード」です。
硫酸塩とはクラフトパルプ(KP)の製造プロセスで使われる化学物質です。広葉樹の原木から作られます。漂白硫酸塩ボード(SBS)は高級品で、両面とも天然または合成素材でコーティングされているのが一般的です。食品との接触が認められています。表面は最高級の均質さを持ち、すぐれた印刷特性を持ちます。型抜きや折り曲げに対する特性も平均以上です。冷凍用途にも向いています。
漂白硫酸塩ボードはかなりの強度を持ちます。清潔なのでお茶などの香りの大切なプロダクトには理想的です。高価な素材で、北米や北欧で広く入手可能です。漂白硫酸塩ボードは米国の一般的な食料品店で簡単に見つけられます。
#2 無漂白クラフトボール紙
– 無漂白クラフトボール紙(Solid Unbleached Sulfate)
– 別の名称:SUS、CUK、CNK
– 高い強度
天然繊維に漂白をほどこさず、印刷可能な厚めのコーティングを片面に行った板紙が無漂白クラフトボール紙(SUS)です。
このグレードは人気があります。漂白硫酸塩ボード(SBS)よりも安く、全グレードのうち最も強度が高く、耐水性もあります。さらにコーティングすることによって、冷蔵庫と冷凍庫に最適の素材となります。
無漂白クラフトボール紙の用途は数多くあります。中でも飲料品の手提箱などはほぼ確実に無漂白クラフトボール紙です。濡れやすい環境なら無漂白クラフトボール紙を使いましょう。このグレードはさまざまな名前がつけられています。WestRock(ウエストロック)社はCNK®(clay natural kraft)を商標登録していますが、これはCUK(coated unbleached kraft)とも呼ばれます。名前は違いますが、これらの構造は同じです。
#3 非塗工無漂白クラフトボール紙(UUK)
– 非塗工無漂白クラフトボール紙(Uncoated Unbleached Kraft)
– 別の名称:UUK、UKB
– 両面ともに自然なブラウン
次のグレードは非塗工無漂白クラフトボール紙(あるいは単にクラフトボール紙)です。
漂白硫酸塩ボード(SBS)と無漂白クラフトボール紙(SUS)は広葉樹の原木から製造されるため高価です。
非塗工無漂白クラフトボール紙(UUK)は漂白もコーティングもしていません。両面ともブラウンで、松などの針葉樹と広葉樹とブレンドして作られるのが一般的です。クラフトボール紙には再生繊維が含まれることもあります。
クラフトボール紙の長所は高い強度を比較的安価に手に入れられることです。しかし、くっきりと明るく印刷したいは、クラフトボール紙では実現できません。
クラフトボール紙は使用条件が過酷なプロダクトやハードウェア、水気の多い環境で好んで選ばれます。そういった環境ではきれいな印刷や高コストは求められていません。
漂白硫酸塩ボード(SBS)に比べるとクラフトボール紙(UUK)は30~40パーセント安い場合がありますので検討する価値があります。
#4 塗工再生板紙
– 塗工再生板紙(Coated Recycled Board)
– 別の名称:CCN、CCNB、Duplex、WLC、GB
– 100パーセント再生紙
– 高密度
食品と接触することのない汎用ボール紙として100パーセント再生紙が必要であれば、塗工再生板紙(CRB)があります。
片面をコーティングした古紙の板紙です。このグレードには、コートボール、コートカードBなど多くのバリエーションがあります。いずれも強度は低いですが、袋入りのシリアルやスナック菓子など軽いプロダクトに使う場合は塗工再生板紙が理想的です。
#5 非塗工再生板紙
– 非塗工再生板紙(Uncoated Recycled Board)
– 100パーセント再生紙
– 安価
組み立て箱や仕切りのように目に見えないところで使用する板紙が必要な場合の選択肢が非塗工再生板紙(URB)です。組み立て箱は、貼り箱やコーティングなどによって板紙自体が見えない場合があります。また、仕切り板として使う場合は人目に触れずにしっかりと機能します。
こういった用途にはあまりコストをかけたくないのが正直なところです。そういうときには非塗工再生板紙を選びましょう。安価でありながら用途によってはとても価値あるグレードです。
#6 折り畳み箱用板紙
– 折り畳み箱用板紙(Folding Box Board)
– オモテ面は漂白
– 最高の折り曲げ特性
– 強度は低い
面白いグレードを最後にとっておきました。折り畳み箱用板紙(FBB)です。
折り畳み箱用板紙は複合的です。機械パルプの層をひとつ以上使って強度を高め、その両面を化学パルプの層でサンドイッチすることで印刷特性や表面の滑らかさ、明るさを得ています。
ですから、強度と印刷特性の両方が必要な場合にベストな選択肢です。
漂白硫酸塩ボード(SBS)に比べると、強度は犠牲となりますが使い勝手はよくなります。最高級の折り畳み箱用板紙はコーティングや構成次第では漂白硫酸塩ボードに対する価格的に対抗できます。ほかのもっと経済的なグレードの折り畳み箱用板紙であれば、コストは最大35パーセント低くなります。
折り畳み箱用板紙の良い点は、開け閉めがスムーズで、折り跡がつきにくく、折り目へのダメージも少ないということです。箱などの開け閉めなど多くの用途で、このことは大きな意味を持ちます。また、折り畳み箱用板紙には高級感をいろいろと加えることができます。このバンドエイドのパッケージは光沢がありエンボス加工がほどこされています。うまく設計されたすばらしいカートンです。
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