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アイデアを確実に形に!広告コンセプトを「描く」ストーリーボード活用術


ストーリーボード

「この広告、すごくいいアイデアだと思ったんだけど、完成したらなんだかイメージと違う…」

「チームやクライアントにコンセプトをうまく伝えきれない…」

広告制作の現場では、こんな悩みを抱えることが少なくありません。頭の中にある素晴らしいアイデアも、言葉だけで共有しようとすると、人によって解釈が異なったり、具体的なイメージが湧きにくかったりしますよね。

そんな時、強力な味方になってくれるのが「ストーリーボード」です。

ストーリーボードは、広告の設計図とも言えるもの。映像の流れや構成を視覚的に表現することで、アイデアを具体化し、関係者間のイメージ共有をスムーズにしてくれます。

この記事では、広告制作におけるストーリーボードの重要性から、具体的な作り方、そして活用する上でのポイントまで、わかりやすく解説していきます。広告のクオリティを高め、制作プロセスを円滑に進めるために、ぜひストーリーボード作成のスキルを身につけましょう!

 

そもそもストーリーボードって何? なぜ広告制作に必要なの?

ストーリーボード

ストーリーボードとは、簡単に言うと映像やアニメーションなどの時間的な流れを、イラストや写真を使ってコマ割りの形式で表現したものです。映画やアニメの世界ではおなじみですが、広告、特に動画広告の制作においては欠かせないツールとなっています。

各コマには、

  • 映像(ビジュアル):どんな絵(シーン、登場人物、商品など)が映るのか
  • 音声(セリフ、ナレーション、効果音、BGMなど):どんな音が聞こえるのか
  • カメラワーク:カメラはどのように動くのか(ズームイン、パンなど)
  • 場面転換:シーンがどう切り替わるのか
  • 時間:各カットのおおよその秒数

といった情報が書き込まれます。広告の「絵コンテ」や「漫画のネーム」のようなものだと考えるとイメージしやすいかもしれません。

では、なぜ広告制作にストーリーボードが必要なのでしょうか? その理由は主に以下の点にあります。

  • アイデアの具体化と可視化
    頭の中にある漠然としたアイデアを、目に見える形に落とし込むことができます。「かっこいい感じ」「感動的な雰囲気」といった抽象的なイメージも、具体的なシーンとして描くことで、より明確になります。
  • 関係者間のイメージ共有
    企画者、デザイナー、ディレクター、クライアントなど、多くの人が関わる広告制作において、ストーリーボードは共通言語の役割を果たします。完成形に近いイメージを共有することで、「こんなはずじゃなかった」という認識のズレを防ぎ、スムーズな意思決定を促します。
  • 構成や演出の検討・改善
    全体の流れを俯瞰できるため、「ここの繋ぎはもっとスムーズにできないか」「このカットはもっと印象的に見せられないか」といった構成や演出上の課題を早期に発見し、改善につなげることができます。
  • 制作効率の向上とコスト削減
    撮影や編集に入る前に、必要なカットや流れを具体的に計画できるため、手戻りを減らし、制作プロセスを効率化できます。無駄な撮影を防ぐことは、時間とコストの削減にも直結します。
  • 説得力のあるプレゼンテーション
    クライアントや上司に広告企画を提案する際、ストーリーボードがあれば、言葉だけでは伝えきれない広告の世界観やストーリーを視覚的に、かつ具体的に示すことができ、企画の承認を得やすくなります。

このように、ストーリーボードは単なる「絵」ではなく、広告制作の羅針盤となる非常に重要なツールなのです。

 

実践!ストーリーボード作成のステップ

「ストーリーボードが大切なのはわかったけど、どうやって作ればいいの?」
そう思われた方もいるかもしれませんね。でも、難しく考える必要はありません。絵の上手い下手は関係なく、大切なのは「伝えること」です。ここでは、基本的な作成ステップをご紹介します。

ステップ1:広告の目的とコンセプトを明確にする

まず、すべての土台となる広告の目的(何を達成したいのか)、ターゲット(誰に届けたいのか)、そしてコアメッセージ(最も伝えたいことは何か)を明確にしましょう。これが曖昧だと、ストーリーボードもぼやけたものになってしまいます。

例:

  • 目的:新商品の認知度向上と、初回購入の促進
  • ターゲット:健康志向の30代女性
  • コアメッセージ:「忙しい毎日でも、手軽においしく栄養バランスを整えられる」

ステップ2:ストーリー(シナリオ)の骨子を作る

コンセプトに基づき、広告で伝えたい物語の起承転結や、キーとなる場面を考えます。箇条書きや簡単な文章で構いませんので、全体の流れを整理しましょう。

例:

  • (起)忙しい朝、朝食を抜いてしまう主人公
  • (承)新商品と出会い、手軽さに惹かれる
  • (転)実際に試してみて、おいしさと栄養バランスに満足
  • (結)元気になった主人公、商品とともにポジティブな一日をスタート

ステップ3:フォーマット(様式)を決める

ストーリーボードを描くためのフォーマットを準備します。手書きでも、デジタルツールを使ってもOKです。

手書きの場合:

A4用紙などに、四角いフレーム(コマ)を並べて描きます。コマの下や横に、説明を書き込むスペースも確保しましょう。専用のテンプレートをインターネットで探して印刷するのも便利です。

  • メリット:手軽に始められる、アイデアを直感的に描きやすい
  • デメリット:修正や共有がしにくい場合がある

デジタルツールの場合:

プレゼンテーションソフト(PowerPoint, Keynote, Google Slidesなど)、デザインツール(Adobe Illustrator, Photoshopなど)、またはストーリーボード専用のソフトウェアやアプリを活用します。

  • メリット:修正が容易、画像の挿入や共有がしやすい、テンプレートが豊富
  • デメリット:ツール操作に慣れが必要な場合がある

どちらが良いというわけではありません。ご自身のやりやすい方法を選んでください。

ステップ4:各コマのラフスケッチを描く

ステップ2で考えたストーリーの骨子に沿って、各シーンをコマに描いていきます。ここでのポイントは「完璧な絵を目指さないこと」です。

重要なのは、「誰が(何が)」「どこで」「何をしているか」が伝わることです。棒人間や簡単な図形でも構いません。写真素材やイラスト素材を仮で配置するのも良いでしょう。カメラのアングル(寄りなのか、引きなのか)も意識して描くと、よりイメージが伝わりやすくなります。

ステップ5:各コマに必要な情報を書き込む

ラフスケッチを描いたら、各コマに付随する情報を書き込んでいきます。最低限、以下の要素を含めると良いでしょう。

  • シーン(カット)番号:順番がわかるように番号を振ります。
  • 映像の説明:そのコマで何が起きているのか、状況を簡潔に説明します。(例:「主人公、慌てて家を出る」「商品パッケージのアップ」)
  • セリフ・ナレーション:登場人物のセリフやナレーションのテキストを記述します。
  • 効果音(SE)・BGM:必要な効果音やBGMのイメージを記述します。(例:「ドアが閉まる音」「軽快なBGM」)
  • カメラワーク(任意):カメラの動き(ズームイン、パン、ティルトなど)があれば記述します。矢印などで表現するのも効果的です。
  • おおよその秒数(任意):各カットの長さを想定して記述しておくと、全体の時間配分を把握しやすくなります。

ステップ6:全体を通してレビューし、修正・改善する

すべてのコマが完成したら、最初から通して見てみましょう。

  • ストーリーの流れは自然か?
  • 伝えたいメッセージは表現できているか?
  • 各カットの繋がりはスムーズか?
  • ターゲットに響く内容になっているか?
  • 広告の目的に合致しているか?

など、多角的な視点で見直し、必要に応じて修正を加えます。チームメンバーや関係者に見せてフィードバックをもらうのも非常に有効です。客観的な意見を取り入れることで、より完成度の高いストーリーボードになります。

 

より伝わるストーリーボードにするためのTips

ステップ通りに作成するだけでも十分ですが、さらに効果的なストーリーボードにするためのヒントをいくつかご紹介します。

キーとなる瞬間(Key Moment)を意識する:広告の中で最も印象付けたいシーン、メッセージの核心となるシーンは特に丁寧に描き、情報をしっかり書き込みましょう。

  • シンプル・イズ・ベスト:情報の詰め込みすぎは禁物です。各コマは、ひとつの重要なアクションや情報に焦点を当て、わかりやすさを最優先しましょう。
  • 動きや変化は矢印で示す:人物の動き、物の動き、カメラの動きなどは、矢印(→)を使って表現すると視覚的にわかりやすくなります。
  • 感情表現を少し加える:登場人物がいる場合、簡単な表情(笑顔、困り顔など)を描き加えるだけで、シーンの雰囲気が伝わりやすくなります。
  • 一貫性を保つ:キャラクターの見た目や背景などの描き込みレベルは、全体を通してある程度統一しましょう。
  • 余白を恐れない:コマとコマの間、情報の間には適度な余白を持たせると、見やすさが向上します。
  • デジタルツールならコメント機能を活用:チームで共有する場合、デジタルツールならコメント機能を使ってフィードバックを直接書き込めるので便利です。

ストーリーボードは動画広告だけじゃない!

ここまで主に動画広告を念頭に解説してきましたが、ストーリーボードの考え方は他の場面でも応用できます。

  • Webサイトのユーザーフロー:ユーザーがサイトを訪れてから、特定の行動(資料請求、購入など)に至るまでの流れをコマ割りで示す。
  • プレゼンテーション資料:各スライドの内容と流れを事前にストーリーボードで構成する。
  • 漫画・イラスト制作:コマ割りや構図、セリフの流れを検討する。
  • イベント企画:当日の進行や演出の流れを視覚化する。

このように、時間的な流れや順序立てて何かを伝えたい場合には、ストーリーボードの考え方が役立ちます。

 

まとめ – アイデアを形にする第一歩を踏み出そう!

広告制作におけるストーリーボードは、単なる下絵ではありません。アイデアを具体化し、チームの認識を統一し、制作プロセスを円滑に進めるための、まさに「コミュニケーションツール」であり「設計図」です。

最初は難しく感じるかもしれませんが、特別な画力は必要ありません。大切なのは、広告のコンセプトとメッセージを、視覚的にわかりやすく表現しようとすることです。

今回ご紹介したステップやTipsを参考に、まずは身近な企画やアイデアでストーリーボード作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。

あなたの頭の中にある素晴らしい広告コンセプトが、ストーリーボードを通して形になり、多くの人に届くことを願っています!

 

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