英語・フランス語・ドイツ語など、欧文では単語を構成する文字のあいだよりも、単語と単語の間隔を大きくとります。これによって、特定のアルファベットのかたまりを1つの単語として認識できます。字間を広げる場合は、単語間はそれよりも大きくする必要があります。今回は、このような表記上のルールを無視して大胆な文字組みをしたデザイン例を紹介します。
整然と分解されたカルチャーイベントのタイポグラフィの例
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ドイツのトリーア市で開催された「Gedankenskulptur」(思考彫刻)というイベントの広告ビジュアルです。アート、音楽、スケートボード、科学、といった異分野をまたいで作品をぶつけ合い、融合させる試みです。いかにも知性と感性が刺激を受けそうな取り合わせです。このビジュアルでもイベント名をほとんどすべて文字単位に解体しました。バラバラに見えますが、文字は精密なグリッドにもとづいて正確にレイアウトされています。「GE」で開始され、途中の「ULP」に助けられて、ほぼ瞬時に単語として把握できます。
テキストの分析と解釈に基づいたレイアウト例
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ブエノスアイレス大学の建築・デザイン・都市計画学部でおこなわれたプロジェクトの作品です。「ガリバー旅行記」を書いた作家ジョナサン・スウィフトの「穏健なる提案」という著作物と、それに対する現代作家の注釈というふたつのテキストを題材にしています。それらのテキストの分析と解釈を、グリッドやテキストの密度、イメージとテキストのレイアウトの仕方など、各要素の視覚的バランスに反映させています。一番大きな文字は「ventajas」(利点)という1つの単語の字間を不規則に広げたものですが、単語として認識できます。
インタビューのドキュメンタリー冊子のエディトリアルデザイン例
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高い評価を得ながらもアルコール摂取面で問題を抱える、ある映画監督へのインタビューをまとめた印刷物です。誌面よりやや小さめのトレーシングペーパーに「The Director」(監督)という言葉が散りばめられています。見開きの左右に同じ言葉が少し異なるアレンジでレイアウトされているので、一瞬とまどいますが、インタビューの対象が映画監督ということもあり、すぐに言葉の意味が把握できます。別のページでは90度回転された引用文が大胆にレイアウトされています。一方、写真と本文のレイアウトはオーソドックスなものです。
いずれも実験的な例ですが、字間が大きく空けられているのは、1つか2つの単語にとどめられています。また、行の秩序を維持した中で文字が並べられています。つまり、テキストのベースラインを揃えて、最小限の単語に対してデザイン処理をおこなうことで、読者に意味が伝わるのを妨げないように配慮されています。
「デザインインスピレーション」のコーナーでは、世界中のデザイン制作事例をピックアップして紹介しています。※当ページは世界中のデザイン制作事例を紹介するコンテンツです。当サイトのデザイン実績ではありません。デザイン料金と作例
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