海外旅行に行って、古代遺跡を目の前にしたり、中世の建築に触れたりすると、どうして学生の頃、もっと歴史をしっかり勉強しなかったんだろう、と後悔することがあります。どういうわけか、私たちは過去に魅力を感じるようで、こと絵画や建築、彫刻、文学といった「芸術作品」が伝える、創作された時代背景といった様々な要素がむしろ現代では新鮮なのかもしれません。
時代の最先端をいく斬新なパッケージデザインが、有名な芸術作品のインスピレーションを受けていることは珍しいことではありません。今回は、インスピレーションの域を超えるのでは?というくらい大胆に有名な芸術作品の存在感を感じるパッケージデザインを集めてみました。現代でも新しい形で活躍する芸術作品をご覧ください。(※紹介するパッケージデザインは当サイトの制作事例ではありません)
使うとアートが壊れてしまう綿棒のパッケージデザイン
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ロシア・モスクワにあるデザイン学校「British Higher School of Art and Design」の生徒によるプロジェクトから生まれた綿棒のパッケージデザインです。「Art&fict」というブランド名で、「fict」には、英語の語源で「作る」を意味する部分にあたり、このブランド名が「芸術と創作」といったニュアンスをもっていることがわかります。芸術作品で遊ばせてもらいます、という若いデザイナーらしい堂々とした姿勢に好感をもってしまいますね。誰もが一度は見たことがあるであろうアンディ・ウォーホルのマリリン・モンローのモダンアートを綿棒で作り出すというのは、もはやパッケージデザインの域を超えています。
ちなみに、マリリン・モンローが採用された理由は、綿棒は化粧で使うものだから、と。さらに、この綿棒パッケージにはもう一種類あり、それはゴッホの自画像バージョンで、そこには「綿棒を使いすぎると鼓膜を傷つけて耳が聞こえなくなるかも」という警鐘の意味を込めているのだとか。いろいろな意味で、使うのをためらってしまうようなデザインに仕上がっています。
古代でも使われていたかもしれないヘアカーラーのパッケージデザイン
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タイの首都バンコクで製造・販売されたヘアカーラーのパッケージデザインです。古代彫刻がビビッドなピンクのヘアカーラーを付けているというのは、ミスマッチでありながら、あのカールはカーラーなしには作れないだろうなぁ、と妙に納得させられてしまいます。「このカーラーを使えば、古代彫刻が現代まで保存されているように、髪の毛のカールがしっかりキープされます」という機能性を表現したかった、というデザイナーの発想力には驚かされますね。
古代から現代に至るまでキープされてきた彫刻のヘアスタイルは、この製品でしか作れない!というユーモアのあるメッセージ性が、ピンクと白というシンプルでありながら清潔感と女性らしさを表現する配色と相まり、デザインとしてのまとまりと、ブランディングの妙を感じます。この写真では見えませんが、このパッケージの裏側は、カーラーを取って、ヘアスタイルが整ったのを鏡で確認して、何だか満足気な古代彫刻さんが描かれています。パッケージ全体でひとつのストーリーをもつことで、デザイン性を高めています。
芸術作品を履きこなせる靴下のパッケージデザイン
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トルコのお隣、ヨーロッパとアジアの間に位置するアルメニアで製造・販売された靴下のパッケージデザインです。このパッケージだけだと、まさか靴下だとは思いませんよね。このデザインのモチーフになっているのは、オランダが生んだ有名な抽象画家であるピエット・モンドリアンの「赤・青・黄のコンポジション」です。このまま絵画として飾っておきたいくらいの仕上がりですが、開けてみるとしっかり靴下ですね。この靴下は「Artsocks」とそのままのブランド名が付けられており、このピエット・モンドリアンバージョン以外にも、フェルメールの「真珠の耳飾の少女」やゴッホの「ひまわり」といった名画を題材にしたものがあり、全種類コンプリートしたくなるようなラインナップです。
実際、デザイナーが題材とする絵画を選定する際に、このパッケージが「sock paintings(靴下絵画)」のように壁を飾るようなレベルのものになるようにという意識があったとか。製品そのものではなく、梱包した状態で芸術作品を模酢ようなデザインを作り上げるというのは、斬新な発想ですね。パッケージのまま飾るのもよし、履いても何だかアーティーな気分になれそうな靴下です。
映画から生まれたビール
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ブラジル南部にあるイタペマという海岸沿いの街にあるビール醸造所で製造・販売されたビールラベルのデザインです。ここで大胆にモチーフになっているのは、映画作品です。そしてインスピレーションという域をはるかに超えて、これは大丈夫?というレベルで、しっかりとその作品がラベルに描かれています。デザイナーの意匠として、映画の名作がもつ普遍性や世界中で受容されている状態を表現するというものがあり、「インディージョーンズ」と「スターウォーズ」という世代を超えて愛されている名作が選択されています。
それぞれのビールの名前も、ギリギリなネーミングで、「インディーホップ」と「スターワイス」。「ワイス」はドイツ語で「白」を意味しており、「スターワイス」は白ビールということです。そして、醸造所は「Director Craft Beer」ということで、ここまで映画をしっかり意識したブランディングであれば、全てが許容されてしまいますね。クラフトビールファンだけではなく、映画ファンも手に取りたくなるデザインです。スターウォーズの次回作のお供になるビールはこれで決まりでしょうか?
「デザインインスピレーション」のコーナーでは、世界中のデザイン制作事例をピックアップして紹介しています。※当ページは世界中のデザイン制作事例を紹介するコンテンツです。当サイトのデザイン実績ではありません。
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