赤く着色された飲み物がグラスに入っていたら、どんな味をイメージするでしょうか。その色から、甘いのかな、と思ってしまうかもしれません。無意識のうちに、色や形状に対して、特定のイメージをもっているものです。ワインボトルのように形状がある程度定型化している中で、全く異なるボトルがあるだけで目を引きますよね。
今回は、そんな固定概念を心地よく裏切る意表を突くボトルデザインを集めてみました。その意外性を堪能してください。(※紹介するパッケージデザインは当サイトの制作事例ではありません)
心臓の形のワインボトル
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ブドウの血液という商品名のワイン。心臓の形のボトルは個性的で、一度見たら忘れられないインパクトがあります。実際の心臓よりもデフォルメすることで生々しさは排除しつつ心臓であることを印象付けます。西洋では特にワインを血に例える比喩が根付いていたこと、ワインに含まれるポリフェノールが心臓病に対し良い作用を及ぼすという説が一時期広まったこともあり、ワインと心臓というモチーフを関連して捉えることで「体に良い」イメージをユーモアたっぷりに伝えます。
魔法の薬瓶かのようなビールボトルデザイン
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カナダ・バンクーバーにあるビール醸造所「Brassneck Brewery」で製造・販売しているビールのボトルデザインです。どこか雑なタッチの手相のイラストが薬瓶のような無骨な黒いボトルに描かれています。その形状からなのか、ビール感は一切ありません。これを飲んだら運命が変わります、とでも言われそうな怪しい飲み物にすら感じてしまいます。あえて、飾り気のない、ゆるい感じのイラストを使いたかったというデザインの意匠も、2013年創業という現代に生まれたブランドだからこその発想なのかもしれません。
新しいことに挑戦し続けたいという姿勢も、ビールボトルという既成概念を簡単に覆すことが可能になった要因のように感じます。「酒は百薬の長」ということわざを勝手に連想してしまう、不思議でモダンなデザインがユニークなビールボトルです。
精巧さが高級さを引き立たせる蒸留酒ボトルデザイン
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ドイツにある蒸留所で製造されている蒸留酒のボトルデザインです。ドイツの税法上の都合で、ドイツ国内でしか流通していないにもかかわらず、世界的にファンの多いブランドとして有名。コルクキャップにラベルのデザイン、どれをとっても一昔前の薬瓶にしか見えません。ディテールにこだわる細かさが、高級感にもつながり、このままインテリアの一部として飾っておきたくなるほどのデザイン性そのものになっていますね。
この蒸留酒は、ドイツ・オーストリア・スイスの国境に位置するボーデン湖で収穫される貴重な洋梨を原料としており、その洗練された香りと風味は世界的に高い評価を得ています。2011年にはドイツ農業協会から金賞を授与され、その他にも様々な賞を受賞している高品質が最大のアピールポイントです。品質に圧倒的な自信があるからこそ、パッケージデザインでも精巧で繊細さが徹底されているともいえます。このボトルを開けた瞬間の香りに期待が湧いてくるような、控えめでありながら、独特のハイエンドな世界観を持ち合わせる有能なボトルデザインです。
高級な蒸留酒が入っていそうな地元感を美しく表現したオリーブオイルのボトルデザイン
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ギリシャで製造・販売されている「LIA」のエキストラバージンオリーブオイルのボトルデザインです。真っ白な陶器の質感があるボトルにゴールドのニュアンスがあるアーシーカラーのパターンとロゴが、ギリシャの建築物を彷彿させつつも、モダンで高級感のあるデザインとして、美しくまとまっています。キャップ部分のロゴを重ねてボトルのパターンとして使うことで、長い歴史の中で大切に守ってきた製法から生まれたオリーブオイルという、ブランドの歴史を表現した、とデザイナーが語っています。古代の調味料などの容器に使われていた形状をベースにし、そこにギリシャらしさを加え、ユニバーサルなトーンのパターンを組み合わせ、「LIA」というブランディングを美しくまとめあげています。
家族で代々受け継がれてきたオリーブの木から製造されているこのオリーブオイルは、家族という「木」の根元、そして幸せの根元であるという考えから、ボトルに「the roots of bliss(幸福の根」という言葉が刻まれているのかもしれません。このオリーブオイルがキッチンにあるだけで、そのキッチン全体がハイセンスに見えてしまう、芸術性の高いボトルデザインです。
ビール感満載の炭酸水のボトルデザイン作例
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スウェーデンで販売されたスパークリングウォーター(炭酸水) 「MERMAID」のボトルデザインです。この瓶の色と栓を見ると、自動的にビールをイメージしてしまいますよね。ここまで来るとビールに寄せているようにしか感じませんが、ラベルにも明確に書かれているようにスパークリングウォーター のボトルというところに、デザイナーのこだわりのようなものが見えます。ラベルのフォントや「MERMAID(人魚)」を連想する海の世界観が見えるデザインの繊細さは、ワインエチケット的な感じもあり、このボトルデザインに高級感を与えています。スウェーデン、人魚と並べると、「アンデルセン!」と連想ゲームを完成させた気分になってしまいますが、あのアンデルセンの人魚姫の銅像があるのは、デンマークのコペンハーゲン。
ただコペンハーゲンは、スウェーデンの街マルメにほど近く、しかもコペンハーゲンの人魚姫の銅像は世界中に出張展示のため移動するというのですから、世界の「MERMAID」なのかもしれません。このボトルには、透明の瓶のバージョンもあるそうで、そちらは、この洗練されたラベルの効果なのか「名水」にしか見えず、パッケージデザイン・ボトルデザインにおける色使いがどれほどイメージに影響するかを再認識させられます。他にないユニークさを存分に表現したボトルデザインです。
保冷パックの形をしたリキュールの容器デザイン例
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ドイツのメーカーが製造しているリキュール「Jaegermeister」(イェーガーマイスター)の「Coolpack」バージョンと呼ばれるボトルです。オリジナルボトルは一般的なウイスキーと同様の肩の丸い角柱ですが、このサンプルはアウトドア用などでよく使われる保冷パックの形をしています。
イェーガーマイスターは欧米では、もっぱらストレートで呑まれます。ハーブや果実など56種類もの材料から作られる複雑な味を楽しむには、マイナス18度まで冷やすのがベストだとメーカーは推奨しているのですが、ボトルを冷凍庫に入れる面倒などから、特に若い世代に浸透していませんでした。そこで、氷点下まで冷やすのがベスト、というメッセージをボトル自体で表現したのです。冷凍庫にも入れやすくなりました。容器はオリジナルボトルと同じガラス製です。
カットグラスを融合させたスピリッツのボトルデザイン例
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英国を代表するワイナリーのひとつ「Chapel Down」(チャペルダウン)から発売されているウォッカとジンのボトルです。とても印象的な形状です。全体的にはシャンペンボトルのようなシルエットをしていて、下半分がカットグラスになっています。カットのパターンはワイナリーのブランドロゴをモチーフにしています。斬新ながらも高級感があり、ウォッカやジンのある種のさわやかさも伝わってきます。スピリッツやスピリッツベースのカクテルが好きな人には、そそられるボトルではないでしょうか。
道路標識の形をしたパッケージデザイン例
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歴史的なシャンパン「ヴーヴクリコ」のキャンペーン用パッケージです。少し古風な道路標識をかたどった金属製のパッケージが作られました。パリ、香港、ケープタウン、リオデジャネイロなど世界の著名な29都市へ向けた案内標識には、それぞれパリからの距離も記されるなど遊び心にあふれています。コレクター心が刺激されてコンプリートしたくなるかもしれません。ヴーヴクリコは、郵便物、冷蔵庫、ファッション、折り紙などをモチーフにユニークで楽しいキャンペーンを盛んにおこなっています。
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