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実り

地味な畑作業があってこそ、ビジネスの実はよく育つ。

収穫の瞬間だけが全てではない。

僕は普段フリーランスのデザイナーとして仕事をしていますが、合間に“畑を耕す”ことも大切にしています。といっても、本当に畑で野菜を育てているわけではなく、これはビジネスの比喩です。大きな成果を得たいなら、まずは地味だけど必要不可欠な土づくりを続けなければならない…そんな意味合いを込めて「畑を耕す」と表現しています。

実際に農業でもビジネスでも、魅力的なのは「収穫の瞬間」ですよね。完成した製品やサービスが多くの人に使われたり、イベントで大盛況となったりする瞬間は、やっぱり最高に気持ちがいい。ですが、そこに至るまでの道のりは、地味な作業の連続です。ほとんどの人は表舞台だけを見て「いいなあ」と言いますが、それを実現するための裏のプロセスを知った途端、急に興味が失せてしまうことも多いんですよね。

僕が考える「土づくり」の大切さ

畑でいう「土づくり」は、ビジネスにおいては「基礎づくり」や「下準備」に相当すると僕は思っています。たとえば小さなプロジェクトでも、まずは調査や情報収集から始める。対象となる市場や顧客のニーズを把握し、自分のやりたいことを整理して、必要なリソースを検討する。この段階は、実際の成果物がまだ見えないのでモチベーションを保ちにくいかもしれません。

でも、土の状態が整っていない畑にいくら良質な種をまいても、思うように育たないのと同じです。土の中に石がゴロゴロしていたり、栄養が足りなかったり、排水が悪かったりすれば、芽が出てもすぐ枯れてしまうかもしれません。ビジネスだって同じように、地盤が固まっていないまま派手な施策を打っても、長続きしないですよね。

結局は泥臭い作業がものをいう

畑では雑草をこまめに抜いたり、適切なタイミングで肥料をやったり、水を与えたりと、地味な作業を日々続けなければなりません。放っておくと雑草が一気に広がって、作物が弱ってしまいます。地味だけど毎日少しずつ手をかけることで、ようやく健康な野菜が育つんです。

ビジネスでも似たようなことが起きます。たとえばSNSの更新一つとっても、定期的に続けるのは意外と面倒ですよね。だけど、ほったらかしにすると存在感は薄れていきます。いざ「何か新しい企画をやります!」と打ち出しても、普段から地道に発信していないと見てもらえない。それなら多少面倒でも、継続的に情報発信をしてファンとのやり取りを積み重ねたほうが、長期的には確実に実を結ぶはずです。

 

「秘伝のメソッド」を求めて去っていく人たち

デザイナー

僕が「畑を耕す」話をすると、「どうやって土を耕したの?」と聞いてくる人がいます。ビジネスにおいて「どうやって成果を出したの?」と尋ねられるわけですから、正直嬉しいですよね。自分のやってきたことに興味を持ってもらえるのはありがたいことです。

でも、実際に僕が話す内容は大抵、「定期的に検証を繰り返す」「失敗を分析して小さく修正する」「思ったより地味な宣伝をコツコツ続ける」といった当たり前の話ばかりです。すると、急に相手の目が虚ろになって「もっと簡単に成果が出る方法はないですか?」なんて話になり、最終的には去っていってしまう。

外から見れば畑の野菜がイキイキと実っているように見えるけれど、いざ聞いてみたら泥臭い作業ばかりだった…そんなギャップにガッカリするのかもしれません。

近道がないからこそ面白い

正直、僕だって可能なら最短距離でゴールにたどり着きたいです。でも、やっぱり近道はないんだなと実感します。畑なら自然のリズムがあるように、ビジネスでも時流や人の感情が相手です。好機が来るまでに準備しておくこと、こまめにメンテナンスすること、これらをちゃんとやるしかない。

さらに不思議なことに、地味な作業の中には学びが詰まっています。畑の土をいじっていると「ここは排水が悪いから少し傾斜をつけよう」といった改善策が見えてくるし、ビジネスでも「現場の声をもう少し聞こう」とか「売上以外の指標も定期的にチェックしよう」といった発想が生まれてくると思います。実際に手を動かしていないと見えない景色があるのは、どの分野でも同じなんだと思います。

地道に耕す人を大切にしたい

僕は、自分がやっている泥臭い作業をバカにされたくないし、同じようにコツコツ進めている人たちを尊敬しています。表に出にくい取り組みって、見えている部分だけでは想像がつかない苦労があるんですよね。だからこそ、そういった作業を続けている人に出会うと、勝手に親近感が湧いてしまいます。

急に大きく飛躍するのではなく、少しずつ成長を積み重ねていくスタイルは、はたから見れば時間がかかりすぎるように思うかもしれません。でも、その過程で築いた経験値や知見は、そう簡単に揺らがない強みになるはずです。

 

おわりに  – 小さな種を育てる喜び

農業

畑を耕しながらビジネスを思うとき、いつも「人に見えない部分が一番大事」だと再確認します。地味なタスクや下準備を怠らずに積み上げていくと、やがて見える形で成果が生まれる。そのとき「なんだ、そんなやり方か」と言われるかもしれませんが、それが本質なのではないでしょうか。

もし「実績を残したい」「成果を出したい」と思うなら、まずは畑を耕すように、地味な下準備や検証を続けてみてください。遠回りなようでいて、それが最終的には一番の近道かもしれません。そして何より、そのプロセス自体に気づきや学びがたくさん隠されているものです。

派手なイベントやカッコいい成功ストーリーだけを追いかけても、土台が育っていなければ根はすぐに枯れてしまいます。毎日のように土をひっくり返しては、不要なものを取り除き、水や栄養を与え続ける……そんな地道さの先には、予想以上にみずみずしい成果が待っていると僕は信じています。

小さな種を蒔いて、丁寧に育てていく。ビジネスもそんなイメージで地味に耕し続ければ、きっと美味しい実がなるはずです。

 

畑を耕すような地味な作業は、多くの人が真似をしたがらないんですよね。 やっとの事で実が成り、せっせと収穫していたら「美味しそうですね。私も作りたいのですが…」と尋ねられます。 『地道に畑を耕して…』と地味なやり方を伝えると、興味無さげに去ってしまうのであった…。

X (Twitter) – Apr 9, 2019



この記事は過去の自分のX(Twitter)のポストを元に、編集しています。

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グラフィックデザインを中心とした小さなデザイン事務所を経営しています。スタッフや外部のデザイナーさん・ライターさんに助けられながら、コツコツと地道に仕事をする日々が気に入っています。パッケージメーカーのデザイナーとして新卒入社→美容系のベンチャーに転職→家庭用品メーカーに転職...という流れを経て、その後独立しました。フリーランスデザイナーとして、10年以上の経験から学んだことや雑記をブログにしています。情報発信が趣味に近く、それが興じてPhotoshop関連の本を出版したり、noteを執筆したりしています。